COLUMN

リンカイ アートレータ

遠投・高速スルスル釣法が強さの秘訣
百合野崇、NEWリンカイ アートレータでチヌを攻略

第9回シマノジャパンカップクロダイで見事優勝した百合野崇さんの得意な釣りは、沖で魚を寄せて掛ける遠投釣法。PEラインを使いこなした者がトーナメントを制すると言われて数年が経過したがその予言が的中。軽く細い高比重のPEラインが超遠投釣法に欠かせないアイテムだということは誰もが認めるところとなった。では、そもそもなぜ遠投した方が釣れるのか。そんな素朴な疑問から百合野さんの釣りに迫った。

遠投とマキエの拡散性

遠投と一口にいってもPEラインを使っている人と使っていない人ではその概念は違ってくる。PEラインを普段から使いこなしている釣り人であれば仕掛けを軽く振り込んで20~30mは飛ばすことができるだろう。軽い力で仕掛けを投入する利点は振り込むとき力まないのでツケエが外れにくい。これはPEラインとスパイラルXコア搭載のNEWリンカイ アートレータならお安い御用だ。
ところで、沖のポイントを攻めるメリットは「遠投すれば潮の流れもあるのでマキエが拡散することで広範囲からチヌを寄せることができます。私の理想は着水と同時に割れる固さのマキエです。それと釣り人から離れた場所にいる魚は警戒心が薄く数釣りや型狙いでも釣果が上がるのです」と百合野さん。そして拡散したマキエの集魚効果により、重たい粒のエサが溜まっているポイントへチヌを寄せることができる。
百合野さんはファイアブラッド チタン遠投ヒシャクの80cmを握りマキエを30m先へと打ち込む。「このポイントは遠浅で足元は白くなっているでしょ。海底は平らな砂地ですし、マキエが溜まりやすいカケアガリは水面の色が濃くなっています。35mくらい仕掛けを飛ばして、そこから5mほど引き戻せば、ちょうどマキエの煙幕の中で同調する計算ですね」
まずは地形と海の色から30m沖に狙いを定めたようだ。

仕掛けを遠投するより大変なのはマキエの遠投だ。
ファイアブラッド チタン遠投ヒシャクの80cmで
30~40m沖のポイントを狙う。

高速スルスル釣法とPEライン

百合野さんの同調術は、まず仕掛けを投入した後、余分なラインを巻き取る。そしてウキ目掛けてマキエを打ち込むと、ツケエがマキエと同調しながら沈下していく。マイナス浮力のウキは着水して10秒もすれば完全に海中の中に沈んでしまい視界から消えてしまう。ウキが沈むことでラインは表層の風や波の影響を受けにくくなる。そしてウキは海底まで沈んでしまうわけではなく、水圧に押されて中層でホバリング状態となる。その間、極細のPEラインはウキの芯をスルスルと抜けていきマキエの中に収まってしまうのだ。浮力がマイナスのためウキが下へ沈もうとするベクトルが働き、道糸を張ってもその抵抗があるので浮き上がりにくくなる。そのためウキから下のハリス部分は自然に漂うことができ、一方で1.31のライン比重がウキから海面までのラインに一定の張りを持たせる。百合野さんの得意とする高速スルスル釣法はマイナス浮力ウキと高比重のPEラインを使う点が重要なのだ。そして一番肝心なポイントは海面から出て穂先までのラインの変化でアタリを取ることにある。30m先の海底付近でチヌがエサをくわえたかどうかが、わずか手元から5m足らずの近くのラインの変化で手に取るようにわかるというからこの釣法を参考にしない手はない。

仕掛けが潮の中に入ってしまうまでは風に煽られる部分は極力無くしておく。
ウキが海中でホバリングし始めてからラインにゆとりを持たせる。

横風によりできたPEラインのカーブ。
このカーブが変化すれば何らかのアタリまたはその前兆となる。

風が強くなってくると竿先を下げる。
竿先から海面までの50cmほどの長さであってもアタリはわかる。

カーブの変化で海中をイメージ

タックルの性能もフルに活用する。NEWリンカイ アートレータに搭載されているXガイドは仕掛けを振り込んだ後、穂先のブレの収束が速く糸ガラミも少ない。芯が入っているPE G5+は水切れも良くラインメンディングしやすいのでマキエの筋を外さない。アタリを取るのは竿先から海面までの縦のライン曲線を基本とする。だが、横風に煽られると横にカーブができる。よほどの強風でない限りその風はPEラインに自然な張りを持たせ、そのカーブの変化でもアタリを取ることができる。PEラインの弱点と思われていた風もこの釣法ではアドバンテージにもなるというわけだ。

アワせたあとはマットラバーコーティングされたバットエンド部を
肘にしっかりと固定。
新設計セパレートグリップは腕への密着性が高く、
片手でタメたときでも安定感を発揮。

ラインの変化だが、例えば、エサを口の中に入れて反転すればラインが伸びてカーブは直線になる。あるいはジワーッとラインが横に移動していくのもアタリだ。ネリエサの重さで張りを持たせていてラインの張りがフッと軽くなったらエサが取られたことがわかる。軽くて細いラインが織り成すさまざまな表情を観察していると今まで分からなかった海の中の魚の動きがイメージできるようになる。

コアブランクスならではの張りのある強さと柔軟な調子は
ロッドが大きく曲がれば曲がった分だけ素早く魚を浮かせることができる。

歩幅でアタリを誘導

百合野さんが着用しているNEXUS・DSタフレインスーツ
特殊撥水加工による、
高い耐久撥水性能のハイパーリペル200採用。

この日まずアタってきたのはキビレチヌだった。アタリはラインがスススーっと張っていったという。
次に本命のチヌがアタってきたときはラインにモゾモゾとした違和感があったため穂先でラインを少し張ってやると重みが乗ってきた。
3尾目はマキエの効果も効いてきたころで、エサを取り合うチヌがエサをくわえて反転しラインを引ったくっていくそんな元気なアタリだった。
最後に百合野さんは、PEラインを指差し
「今アタっていますが、おそらく居喰いしています」というとアワセを入れないままゆっくり1歩後退りした。リールのハンドルを1回転してしまうと1mくらいすぐにエサが動いてしまう。だから微妙なアタリのときは歩幅で誘う。これは居喰いしているチヌからエサを引き離そうとすると慌てたチヌが一気に喰らいつくことを狙ったものだ。もう一歩、歩幅分だけラインを引っ張って本喰いへと導く。波風の強まる中、NEWリンカイ アートレータを奇麗に曲げた良型のチヌはかなり慎重な変化しか見せなかった。だがPEラインを使っていたからこそ察知できたアタリとも言えるだろう

鱗海タマノエは細身の高弾性ブランクスとエアアシスト尻栓の採用で、
角度のつきにくいフィールドにおいてもハイスピードフィニッシュが可能だ。

PEラインを武器とする百合野さんのチヌ釣法は
NEWリンカイ アートレータの登場でさらに完成度が増した。

PEラインを使うことで、マキエの拡散性と集魚力を最大限に生かせ、攻める範囲も広がった。そればかりか、極小さなアタリも見逃すことなく釣り人から仕掛けていくこともできる。百合野さんの遠投・高速スルスル釣法の完成度はPEラインによってさらに磨きがかかったのである。