COLUMN

リンカイ アートレータ

強さの中に柔軟性を持つ"勝負するためのロッド"
大知昭、NEWリンカイ アートレータを徹底解説

2008年に初代『鱗海スペシャルアートレータ』が登場。2013年に大きく進化して2代目『鱗海アートレータ』が登場。そして2019年、シマノ最新テクノロジーを搭載して3代目『リンカイ アートレータ』がフルモデルチェンジ!鱗海シリーズの最高峰「リンカイ アートレータ」を大知昭さんが解説!

攻撃的軟調子『リンカイ アートレータ』

リンカイ アートレータ』(以下『アートレータ』)。その出発点は「初代『鱗海スペシャル』(以下:「スペシャル」)の遺伝子を持ちながら、競技用に突き詰めたチヌフカセロッドを作り出す」というものだった。
最初に完成したのは「スペシャル」をベースにした『鱗海スペシャルコンペティションモデル』(2005年登場)。穂先をより繊細で柔軟に、しかしバットはたくましくチューンされ、多くのチヌフカセファンから喰わせて獲る「シマノチヌフカセロッドの最高峰モデル」として支持を得ることができた。
それから3年の歳月を経て2008年に登場したのが『鱗海スペシャルコンペティションモデル』をベースにした初代「アートレータ」だった。
この竿には当時シマノの最新技術だった「タフテックソリッド」を搭載。穂先はこれまでとは比較にならない強さと柔軟さを持ちながら高感度に仕上がった。そしてバット部にはたくましさをさらに上乗せしていた。

2008年に登場した初代『鱗海スペシャルアートレータ』。
タフテックソリッドを搭載し、鱗海シリーズ特有の胴調子はそのままにバットパワーを持たせたモデル。

「誘い喰わせる。掛けたあとはタメて怒らせずスピーディーに取り込める。ユーザーからは「攻撃的軟調子」と好評を得たモデルだったね。いまでも愛用している人がいるほど。それほどまでに市場には『なかった竿』だったと思うよ」
開発に携わった大知昭さんは当時を振り返ってそう教えてくれた。それだけに競技用のチヌフカセロッドではこれ以上のモノはそう簡単には生み出せないだろう……と大知さんは実感していたという。
しかしそれはあっさりと覆される。2009年に革新的ともいえる新技術が登場したからだ。現在シマノのロッド構造の中核である「スパイラルX」である。これが鱗海シリーズにも搭載され、『鱗海スペシャル』の3代目となる『鱗海スペシャルRB』(以下『RB』)がリリースされた。

2011年に登場したのが『鱗海スペシャルRB』。
タフテックソリッドとスパイラルXを搭載。鱗海シリーズの新しい原点となった。

「この技術は磯竿を大きく変えた。竿を細身にできるのにネジレにくく、粘り強くできるんだから。これは鱗海の最大の特長である細身で胴調子というコンセプトを最大限活かしてくれる。自分の理想とするチヌ竿にこんなに相性のよい技術はないと思った。同時にこれが『アートレータ』にも搭載されるなら、また予想を上回る竿ができるはずと感じたよ」
大知さんは「RB」に触れながらも「アートレータ」の進化を感じていたという。その予感は的中。2013年までに「タフテックα」などまた最先端技術が開発され、その粋を集めた2代目の『鱗海アートレータ』が完成したのだった。
「このアートレータはラインナップも含めて本当にもうこれ以上はない竿になったと思った。でもその後も「Xガイド」や「パラボラチューンR」などの新しい技術が生まれてきた。その度に前のモデルを超える竿が生まれると期待させてくれたよね」
こうしていつも名人の予想を上回ってきた鱗海シリーズ。そのなかで攻撃的軟調子のアートレータも大きく進化してきた。そのNEWモデルがついに登場となるのだ。

鱗海シリーズのポジショニング

現在のマスターチューン以上の鱗海シリーズには3つのラインナップがある。『マスターチューン』『スペシャル』『アートレータ』だ。喰わせる穂先にタメて浮かせる胴調子という鱗海の基本コンセプトを3つとも持ちながら、それぞれに志向が違う。

大知さんは「マスターチューン」を「粘」としてチヌフカセにおける基本の竿に位置づけ。「スペシャル」は「柔」。喰わせること、愉しむことを主とした竿。そして「アートレータ」は「強」。戦う、勝負する竿だと考えているのだと教えてくれた。

強さの中に鱗海らしい柔軟性を持つ NEW『リンカイ アートレータ』。

「「マスターチューン」は鱗海シリーズで号数、長さともにもっともラインナップが豊富。どれかが自分の釣りに合う。鱗海シリーズに触れるには最も適している竿だと思っているよ。」

鱗海の基本「粘り」を追求 『鱗海マスターチューン』(2017年)。

「「スペシャル」は喰わせること、曲げてタメることを重視している。チヌは引きを長く愉しむことがひとつの魅力。それを最大限に味わえる竿。チヌフカセにおける自分の理想を詰め込んだ竿。だから00号というこのモデルにしかない特殊な号数もある。」

喰わせ能力はシリーズ随一 『鱗海スペシャル』(2016年)。

「そして「アートレータ」は競技の釣り、限られた条件下で攻めていく竿。スペシャルとは使う場面や意識が違う。とにかく強さを求めてある。04号はその証」
大知さんはこの3モデルに、優劣があるのではなく、釣り人の志向によって使い分けるものだと教えてくれた。

これがNEWリンカイ アートレータ

今モデルの最大の特徴は「鱗海シリーズ最強のネジれにくさと粘り強さ」。これは「スパイラルXコア」「Xガイド」「NEWパラボラチューンR」の3つが生み出す「コアブランクス」によるもの。大知さんの評では「軽さ、細さだけでなく、仕掛けを遠投してもピシッと狙いの場所へ投げることができ、操作性も抜群。魚を浮かせるパワーも間違いなくシリーズ随一」とのこと。



シートも一新「Xシート」によるセパレートグリップは
しっかり握れて振り込み、操作性も抜群。

リアグリップをしっかりヒジに固定できるので強い締め込みにも安定して対応できる。
力勝負になるときは心強いよ。デザインも現代っぽいね。

大知さんは竿開発に携わるときに竿のネジレをとても気にしてきた。それは自身の代名詞でもある「遠投釣法」の精度に大きく関わってくることと、誰でも超遠投をしやすくすることの2つに大きく関わってくるからだ。
「近距離の釣りでは問題ないけど、遠投するときは胴をしっかり曲げ込んで仕掛けを投げないといけない。そのときに竿がネジれると、仕掛けの着水ポイントが狙いよりズレる。手元のネジレは距離を出せば出すほどズレと比例してくる。風があると竿はやはりネジれ、ブレる。でも新しいアートレータは思い切り振り込んだときにそのネジレをまったく感じさせなかった。これまでモデルチェンジのたびにこの点は改良されてきたけど、まさにシリーズ最強だね。風の中でも、足場が狭い場所でもどの方向からでも振り込めてしっかり飛ばせるよ」
ネジレなく飛ばせるということは、竿のパワーも最大限発揮されていること。それは魚とのやり取りでも大きな力を発揮するのだと大知さん。
「竿を曲げてタメて魚を浮かせると竿にかかる負荷が抜けてくるよね。それでまたタメて浮かせてという繰り返しで魚を取り込むわけだけど、ニューモデルは浮かせる力が強いぶん、タメて浮かせての繰り返しがスピーディーにできる。1匹にかける時間が短縮できるし、シモリや藻場、障害物なんかが多い釣り場で魚の走りを止め切ってくれる。これまで以上に安心してやり取りできる。このパワーは競技の釣りでも大きな戦力になると思うよ」
また「タフテック∞(インフィニティ)」とXガイドによる穂先も見逃せない。喰い込ませる力をアップさせ、アタリを明確にするのだ。近年、道糸にPEラインを使う大知さんにとってこの穂先はなくてはならないものだという。


「Xガイド」と「タフテック∞(インフィニティ)」による穂先は喰わせ能力と高い感度を誇る。
PEラインとの組み合わせによりさらに感度は高められるね。
小さなアタリがとれるし、喰いが渋い魚に喰い込ませることもできる。

「これまでに取れなかったアタリ、小さなアタリがとれるようになった。チヌの活性が低いときはこのおかけで1匹が引き出せるようになったし、サシエの有無の確認にもつながるので、無駄な流しがなく、手返しのよさにつながる。強風下など厳しい状況のなかで釣果を求められるような場面でも大きく活躍してくれるよ」


鱗海シリーズ初搭載の「コアブランクス」で投げる、掛ける、獲るという釣りにおけるすべての動作が大きく向上したといえる。
こんなチヌフカセロッドが実現するなんてね!

気になるラインナップはアートレータの特徴ともいえる04号をはじめ、06号、1号、1.2号、1.5号の5タイプ。長さは530がメインだが、もっとも競技の釣りで使われる1号はトーナメンターに支持の高い500もそろえられている。
「単にパワー設定されているだけでなく、それぞれのモデルを競技の釣りを中心にどんな状況でどう使うのかを想定したものになっている。号数別に紹介していこう」


04号 530
操作性重視のモデル。もっとも手返しを重視する競技の場面で活躍するモデルです。風があるなかでの釣り、繊細な仕掛けの操作が求められる状況でもその強さを発揮してくれます。近距離から中距離、遠投までこなし、40cmクラスのチヌが数釣れるような場面での手返しでは無類の強さを誇ります。0号感覚で攻めの釣りができる1本です。

06号 530
この06号は前モデルでも多くのユーザーが大会でも使う1本になっています。それは喰わせの柔軟さと操作性、パワーがいずれもほどよいバランスに設定されているからです。いわばアートレータの基本モデル。私が競技に挑むならやはりこの号数をメインに考えます。Lサイズの20gのウキでもしっかり飛ばせます。チヌ釣りに慣れた方には場所を選ばずオールマイティーに使える1本ですね。

1号 530
チヌのアベレージが大きい、55cmを超えるような大型のチヌがふいに喰ってくるようなエリア、周囲に取り込みの障害になるものが多い条件下で使う1本ですね。ジャパンカップクロダイの会場であった高知県宿毛や現会場である長崎県九十九島などにはとてもマッチしています。パワーがあるぶん、やり取りに不慣れな方でもしっかり曲げ込むことで大型のチヌとしっかり渡り合えます。そういった意味ではこのモデルもアートレータのスタンダードモデルでしょうね。

1号 500
トーナメントでは操作性を重視することからチヌ竿でも5mを支持される方が多くいます。わずか30cmで?と思われるかもしれませんが、操作性はやはり500が上。ハリスが短くなってでも操作性を重視するならこの1本で決まりです。前モデルにはなかった設定なのでファンには待望ではないでしょうか。ただ同じ1号でも530と500でトータルバランスが違うので、長短で判断せず、別な竿ととらえてください。

1.2号 530
競技ではリーサルウエポンといえる1本。60cmクラスのチヌとの勝負もこなせるパワーを持っています。取り込みがかなり限定された状況下でも大型チヌを取り込むことが可能です。また外洋エリアではエサトリに良型グレやブダイなど引きの強い魚が喰ってくることがあるのですが、そういった魚への対抗策にもなってくれます。正直いえば、瀬戸内ではオーバースペックですね。

1.5号 530
競技の釣りも含めて「最強の鱗海」と言うとしっくりきますね。「鱗海 マスターチューン」にも1.5号はラインナップされていますが、あちらが粘りを重視するとすれば、こちらは強さを重視しているので大型の魚をいとも簡単に止めて浮かせることができます。ロクマルチヌが期待できる場所で堂々とロクマルと対決するための1本です。もちろん大型の他魚への対抗もできるので、まさに最強チヌフカセロッドですね。