タックルインプレッション

SHIMANO Tackle Impression

渓流渓流
[アドバイザー]

HISAO ISHIGAKI

石垣 尚男

昭和22年、静岡県生まれ。
シンプルで趣のあるテンカラに魅せられて約40年。フロロカーボンの単糸を用いたレベルライン釣法の第一人者。 明快な理論と実戦的なタックル論、そして穏和な人柄で全国に多くのファンを持つ。テンカラ先生、テンカラ大王とも呼ばれている。

本流(ほんりゅう)テンカラ NP

本流(ほんりゅう)テンカラ NP

テンカラの魅力

テンカラとは毛バリを用いた日本古来の伝統釣法で、もともとは山間部の職漁師たちが編み出したもの。 テンカラの魅力は、まず竿、ライン(糸)、毛バリだけのシンプルな道具立てで気軽に楽しめるところにあります。 初めて目にした人はマニアックな印象を受けるかもしれませんが、誰でも簡単に入門できる間口の広さがありながら、のめり込むほどに新たな発見と驚きがある奥深い釣りです。
魚が毛バリに出る瞬間を見て掛けるという遊び心とゲーム性もテンカラならではの趣きです。毛バリといっても魚から見ればエサをイミテートした「ニセモノ」。 これをどのように使って魚の食性のスイッチを入れるかが、この釣りの一番難しいところであり、最も楽しい部分ともいえます。
あともうひとつ、テンカラのスポーツ的な要素も魅力です。 川を遡行しながら喰い気のある魚を釣っていくという動的な面もそうですが、エサに頼らず毛バリという「人間の知恵」のみで魚と対峙するフェアな面も、 私はスポーツとしてとらえています。
テンカラのターゲットはヤマメやアマゴ、イワナがメインで、場所によってはニジマスも対象になります。 考えたこと、工夫したことに対して、魚は素直に応えてくれます。 渓流域に棲む警戒心の強い魚がバシャッと水面を割る瞬間は、テンカラを始めて40年経った今でも興奮を覚えてしまいますね。

テンカラのタックルってどんなもの?

テンカラのタックルは実にシンプル。竿とライン、ハリス、毛バリだけで魚を釣ることができます。 ラインは数本の糸を縒り合わせた「テーパーライン」、そしてフロロカーボンの単糸を用いる「レベルライン」と2通りのスタイルがありますが、 現在は後者のレベルラインが主流になりつつあります。
テンカラではこのラインの重量で軽い毛バリを飛ばすわけですが、いくら比重の大きいフロロカーボンといえども鉛ほどの重さはありません。 そのため、テンカラではコンパクトなスイングでも曲がり込んでラインの重みを乗せられる、独特の調子の竿を使います。 特にテンカラはキャスティング(振り込み)の動作が多い釣りで、その回数は他の釣りとは比較になりません。
したがって、テンカラ竿は軽くて振り抜けがよく、身体に負担を掛けないものであることが第一条件。 そのうえで、軽い毛バリを狙ったポイントへ正確に落とせるコントロール性能も必要です。 また、魚を掛けるためのフッキング性能、掛かった魚を取り込むためのランディング性能も不可欠です。 優れたテンカラ竿は、「キャスティング」「フッキング」「ランディング」の3要素を兼ね備えたものといえるでしょう。

軽やかに、そして伸びやかに。「本流テンカラ」という竿の個性

かつてのテンカラは主に渓流域での釣りでしたが、現在は本流域でのテンカラが脚光を浴びています。 これに呼応すべく生まれたのが「本流テンカラ」という竿です。 川幅の広い本流域で、ときとして8mものロングレベルライン仕掛けを振り込む釣りにあって、 「本流テンカラ 44 NP」は、4.4mとレギュラーアイテムよりも長い仕様になっていますが、 だからといってテンカラ竿の命題ともいえるキャスティング性能が低下してもよいという理由にはなりません。
1日の釣りで1,000回以上キャストを繰り返すテンカラにおいて、キャスト時の軽快さは何よりも大切な要素です。 そのためには竿そのものが軽いことが必要ですが、実際に竿を振ったとき体感的な軽さをもたらすのは、ブランクスの空気抵抗にあるのです。 竿を軽くするのは簡単。ブランクスの肉を薄くすればよいのです。しかし、いたずらに肉を薄くすると破損のリスクが高まってしまいます。
空気抵抗を小さくするには竿を細くすることですが、肉厚だけは確保しなければなりません。 これを実現するため「本流テンカラ44NP」は1本の節を長めにし、継ぎ数を1本少なくしました。 これによってブランクスが細身肉厚となって空気抵抗が大幅に低減し、これまでにない振り抜けの軽さを実現しています。 竿の全長は、自重と振った際の重さのベストバランスを探った結果、4.4mに落ち着きました。 軽さだけではなく、シマノロッドテクノロジーの採用により、強度やパワーも飛躍的に向上させています。 プロトモデルによるテストでは、50㎝オーバーのブラウントラウトや45㎝級のニジマスに対しても竿がのされることなく余裕を持って取り込めました。
パワーがあるといっても、ただ硬いだけの強さではテンカラ竿として失格です。 なぜなら、ブランクスはしなやかで弾力に富んだものでないと、細いレベルラインで毛バリを飛ばしにくいからです。 「本流テンカラ44NP」は穂先~3番節をやや太めに設定しており、バックキャストからフォワードキャストへ移る際にナチュラルな弾力が作用して、 力を入れずともラインと毛バリを楽に運んでくれます。
また、グリップもこだわった部分です。コルクよりも弾力があって手にやさしいEVAを採用。 素材だけでなくその形状にもこだわりました。 やや中央部を絞ったグリップ形状は、個人差のある握り込みスタイルに対応するためで、ここを持つという特定のポジションはありません。 手の大きさは人によって様々ですし、グリップフォームも人それぞれ。 特に長い本流用の竿は手への負担が大きいものですが、「本流テンカラ44NP」のグリップ形状は誰の手にもフィットし、 疲れたときも好きな部分を握り直すことで、疲労を低減することができます。

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#092 伝統の釣りテンカラ シンプルに渓魚と遊ぶ

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