タックルインプレッション

SHIMANO Tackle Impression

へらへら
[インストラクター]

KEIZO KOYAMA

小山 圭造

1942年生まれ、東京都在住。
名門・浅草へら鮒会で年間優勝3回、3位入賞2回。 個人の記録としては、豊英湖で213枚、分川池で126kg。
この頃に故・門倉親水氏から「激釣」「速攻」と呼称される。
「浅草へら鮒会」会長、「山水へら鮒会」会長、「KEIZO CLUB」会長。

特作 天道(とくさく てんどう)

小山 圭造

天然竿を彷彿させる釣り味。
常識を覆す硬式胴調子竿。

『特作 天道』は、意味のある「重さ」を生かした厚みのある釣り味を実現。
継数を減らすことで細身に仕上げ、あえて重量のある塗りでデザインした逆段巻を採用するなど常識を覆した意欲作。

竹竿の愛好者としても知られる、シマノアドバイザー小山 圭造氏。長年カーボンロッドの開発に携わってきても、比較対象となるのは竹竿になります。

小山「よほどの長竿でない限り、自分は竿の重量って必要なものだと考えています。竹竿の重量感って大事でね、握りの大きさなどを気にするのも、手応えにこだわるからなんです」

“手応え”とはいえ、硬さランク9~11の硬式胴調子というのは、なかなかイメージがしづらいという声もあります。

小山「先調子という言葉が硬さをイメージするため、胴調子という響きに軟らかさを感じて戸惑うのでしょう。少なめの継数なのに、硬式であることも違和感を覚えるのかな。そうだな、硬式といっても強い張りで反発する感じではなく、胴に乗ってくる硬さがあるんですよ。魚に絞り込まれたとき、竿の胴へ力が流れてくる手応えがあるんです」

具体的に『特作 天道』で、どんな釣りをしたのかを尋ねると、

小山「管理釣り場は、清遊湖など大型放流がされている釣り場で出してみました。野釣り場は数釣りのできる所へ行き、型の割に引きの強いことで有名な湖でチョウチンを試しました。なかでも早霧湖、一碧湖における13尺チョウチン両だんごは楽しかったな。『特作 天道』はね、硬いといっても喰わせた魚が飛んできちゃうような、先調子の感覚じゃない。穂先が太いせいかも知れないけれど隅々まで力が行き届いて、力が逃げず竿全体が働いている感触があるんです」

小山氏といえば有名野釣り会を主催する会長でもありますが、例会における『特作 天道』の存在についても伺いました。

小山「自分の会は野釣りの舟釣りだから一年中、長竿を振っています。『特作 天道』は7~15尺なのでタイミング次第ですが、夏の精進湖や三名湖といった魚影の濃い釣り場だったらチョウチンの勝負竿になり得ます」

小山氏は重厚なる娯楽の釣りをする一方で、例会でも勝負できる竿だと期待していました。

朱紋峰 本式

朱紋峰 本式

竿づくりの方向性が一致した。

 30数年前、へら竿に関しては後発メーカーだったシマノは起死回生のチャンスを窺っていた。そして参入に際して、ある雑誌社に企画を助けてくれる人はいないだろうかと相談を持ちかけた。そして出会ったのが小山圭造だった。当時小山は、競技会でも活躍しており、名高い「浅草へら鮒会」で二年連続年間優勝を遂げるなど、ちょうど脂の乗った頃だった。 「当時はいろんなメーカーからカーボンのへら竿が出揃った頃でしたね。シマノってへらの世界では、とくに関東では失礼ながらあまり知られていなかったけど、デカい会社でしょ。そんなところからの依頼で最初は戸惑いました。もしうまくいかなかっ たらどうしようと。でも自分はへら釣りが大好きだし、竹竿で育った自分の思う竿と、当時のカーボン竿ではなんか違うなという気がしてました。カーボン調子でいいじゃないかと世間はいうけど、へら竿は違うんじゃないかって」(小山。以下同)  シマノはへら竿の市場に本格的に参入するにあたり、自分たちが理想とする竿を作ろうとしていた。それはカーボンで竹の調子に迫る竿だった。市場の人気に左右されない、伝統の竹調子。それこそがシマノのへら竿づくりの柱になると考えていた。  今のカーボン竿はどこか違うと漠然と竹竿の魅力から離れられなかった小山。カーボンで竹調子に迫りたいと思っていたシマノ。両者の竿づくりの方向性が一致したのだった。

小山とシマノのコラボが生んだ、〈竹にも勝る掛け調子〉。

 やるとなったらとことんやる。そんな物づくりへの取り組み方も一致した。双方とも妥協は許さない。シマノが本社を構える大阪堺市と小山の住まう東京。開発スタッフはサンプルを抱えて新幹線で何度往復したことか。 調子が決まるまで相当時間がかかった。「軽けりゃいいってもんじゃない」「先が軽すぎる」「この腰じゃ尺には持たない」「両ダンゴを打てる竿が欲しい。竿がね、エサを運んでくれなきゃ。釣り人が振って打つんじゃないんですよ。釣り人が手首を返すとね、あとは竿が仕事をしてくれるような」「寄せでもそう。カーボン竿は掛けたらすぐ手で引こうとする。軽いからできちゃうんだけど、そんなこと一日繰り返していたらどれだけ疲れるか。魚が向こうを向いている間は竿を立ててタメられて、こちらを向いたら竿の粘りですうっと寄せられる。そんな調子が欲しい」「流行のカーボン調子ならこれでいいけど、つくりたいのはこれじゃないでしょ」小山にはやるからにはという釣り師としての意地があった。シマノは後発メーカーながら何とか市場に入り込みたいという思いがあった。そして小山の言葉に可能性を感じていた。  試作に試作を重ね、調子が決まると今度はデザインだった。小山は朱の総塗りを提案した。竹の竿師の中には特別な竿ができたときに朱の総塗りで仕上げる名匠もいたという。シマノは画期的なカーボンの構造体であるハイパワーXを表現できるよう、Xラインが残るデザインにこだわった。  そして出来上がったのが、朱の総塗り本体に墨のかすれ文字にも似たXラインが浮かぶ竿だった。「先日雑誌の取材でこの朱紋峰を使う機会があったんですよ。20数年ぶりに振りました。しかしこれが実にいい。この30年、シマノと一緒に竹竿を意識して作ってきた方向性は間違ってなかったとはっきり思いました。今でも十分通じる竿でした」〈竹にも勝る掛け調子〉というキャッチフレーズとともに、シマノのデビュー作は予想以上に市場に受け入れられた。

カーボン竿らしいデザインから竹模様へ

当時はへら釣りがマニアの釣りから一般の人へと広がり始めた頃で、競技会が頻繁に開催されていた。競技会は時間勝負の釣りだ。いきのいい魚を素早く取り込める硬くて引ける竿が人気となった。そんな時代にあってシマノはあえて流行に乗らなかった。竹竿がもっている釣り心地のよさをカーボン竿で表現することにこだわり続けた。竹竿で育ち、釣りの趣き、竿の味わいを大事にする小山にどっぷり感化されたのかもしれない。竹竿がもつ振り心地のよさ、掛け合わせたときの充実感、引き寄せたときの達成感。カーボン素材の竿でどこまでこれに迫ることができるか、シマノはこだわった。朱紋峰シリーズでは「硬式」、「ぬけさく」、「飛ぬけ」、「競」と発表した。いずれも総合性能の高さとプラスアルファの特性をもったモデルだった。しかしシマノは、デザインに関してはカーボン竿らしさを残したいと考えていた。あくまで工業製品である以上、逆に竹竿にはないデザインで仕上げたかったのだ。しかし、小山はいう。「へら師は古風な人が多いんですよ。竹竿で育った人は、素材はカーボンでも仕上げは竹模様がいいんです。そのほうが落ち着くんです、気持ちが。若い人だってへら竿は竹模様を漠然とイメージしている」へら師の意識がそこにあるのなら、竹模様でいこうじゃないか。開き直りというより、世間を受け入れたといったほうが当を得ているだろう。「朱紋峰 先ぬけ」では竹の中でも希少な紋竹風に仕上げて世間を驚かせた。竹を模範とするというひとつの方向性が決まったことで、シマノの仕上げへのこだわりはますます強くなる。「その後普天元が出たでしょ。実に見事な竹模様だった。立体的な節まで作っちゃった。シンプルで綺麗な竿だけど値段が高かった。シマノはあまり売れないだろうなあと思っていたかもしれないけど、これがよく売れた。釣り場でね、竿掛けに置いたとき竹模様だとすごく映えるんですよ。美しい。人の竿を横で見ているとシマノと竹竿は見分けがつかない。シマノと他社の竿は見分けがつくけど」

いい竿は夢を見させてくれる。

朱紋峰は実に30年という年月を積み重ねてきた。新作「朱紋峰 本式」は16代目だ。これに賭けた小山の思い、そして出来映えはどうなのだろう。 「いい竿の基本的な条件はまずエサを打ちやすいこと。食わせてからは極端な話、どんな竿でも釣りになるんですよ。でもエサが打てないと釣りそのものが始まらない。柔らかいエサでも打てる竿全体がしなる調子が欲しい。『本式』はしなやかに曲がる胴調子ではなく、全身にスッキリと芯が通っている感じ。クセのない本調子で柔らかいエサでも、小さな軽いエサでも打てる」 「競技会には硬くて引ける竿でないと勝てないという人もいるけど、腕で引いていると疲れるんですよ。朱紋峰は全体的に軟らかいと思われているけど、竿を立ててタメていると魚が寄ってくるんです。竿が仕事をしてくれる。結果的にこのほうが疲れない。軟らかい竿は競技に向いているんです。こんどの『本式』はその点、これまでのシリーズより腰が強めになっていて、幾分世間でいう『引ける竿』に近づいているけど、硬いんじゃなく粘り強い  小山がいう「いい竿」は、どこまでも竹の銘竿のイメージがつきまとう。それは実釣機能というより釣趣、釣り味へのこだわりといえるかもしれない。 「それとね、いい竿には夢があるよね。ああ、この竿であの釣り場の魚を掛けてみたいと思わせるような。光景が浮かんでくる竿、眺めていると使ってみたくなる竿、どれだけ見つめても見飽きない竿、いつまでも拭いていたくなる竿」 「これまでずっといってきているように、竿はただ魚が釣れればいいというものじゃない。これを使ったときの楽しさがないと。そういう意味で『本式』は夢があるよね。見ているだけで使ってみたいとわくわくする」 「開発段階で最初に驚いたのが、このスパイラルX。これまでもブレを抑えた竿をつくってきたし、スパイラルXは『本式』が初めてではないけど、これを振ると目が覚めた気がした。ほんとうにブレを抑えた竿ってこれのことなんだって。竿が曲がってぐっと振り込んでいくときのカブリも感じられない。バランスがいいよね。魚が掛かった瞬間の乗りの違い、これもぐっとよくなった 「とくに短尺がすごく変わった。まず穂先が強くなった。それと、のされそうになったときにも魚を止めやすくなった。長尺は長さを生かして寄せられるけど、短尺だとそういうわけにはいかない。握りのすぐ前あたりがもうちょっと強くならないかと注文をつけたら『本式』でやってくれた」 「フィールドテストでこれほどいろんなサイズの魚を数多く掛けたのは初めて。良型が数釣れればある程度竿のテストになるはずだけど、今回の要求はすごかった。小さな魚はそれなりに楽しめなければならない。それはすぐにクリアできた 「さらに大きいのを掛けたときの竿の曲線、これが課題になった。短尺から長尺まで、一尺ごとに大きいのを掛けてその曲がり具合をチェックする。これが大変だった。大きい魚がいる釣り場といっても大きいのばかりが釣れるわけじゃない

「本式」があればどこへ行ってもいい釣りができる。

「竿は中味のよさ=実釣機能も必要だけど見た目も重要な時代。いい竿の条件にデザインが占める割合は非常に大きい。その点。『本式』は野釣りで映える色だよね。鮮やかな緑や綺麗な水の釣り場にすごくよく似合う「シマノのへら竿は『普天元 独歩』がフラグシップモデルだけど、普天元の調子が世間一般の集約点かというとそうではない。どちらかというと釣り味に寄った調子になっている。その点この『本式』はセンター、一般的な好みのど真ん中の調子だね「それでいてちゃんと小さなエサも打てる。ウキを馴染ませるとき、合わせるとき、寄せるとき、そのどのシーンでも意に沿うというか、やりたいことを分かってくれているという感じを受ける。それでまた、そのときの働き具合が一歩先を行っているというか、なんか頼もしいんですよ「この30年、シマノに驚かされてきたのは『こんなのが欲しい』というと、いつもちゃんと形にしてくるところ。『ここが違う』というと次に会うときには改良されてくる。『できません』とはまずいわない。これにはつくづくすごい会社だと思ってきました。あるとき『段巻きの数を増やして』といったときは断られた。『コストが高くつきます』が理由だった。普天元だと許されても朱紋峰では限界があるんですよね「よく釣り場で『小山さん、竿は何を使ったらいいんですか』って聞かれるんです。これまでは『朱紋峰 神威』がいいよって答えてた。間違いはないって。しかしこれからは断然『本式』だね。短いのから長いのまで揃えたら、どこへ行ってもいい釣りができる。本体がしっかりしているけど、浅いタナで小さなウキが打てる。軟調子の竿は魚がややこしいところに潜り込んだら取れないと思われてるけど、『本式』なら取れる。野釣りでも使いやすい「開発者は『特長のないのが特長』なんていってるけど、新しい素材、新しい設計を感じるよ。たぶんそれが頼もしさだと思う。初代から30年だけど、初代は今でも十分通じる竿だし、20周年記念の「朱紋峰 凌」は名前の通り、初代を凌駕していた。そしてあれから10年、「本式」は10年分の進化を見せてくれてます

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朱紋峰 本式

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朱紋峰 本式

登場タックル

#163 へら竿にかける情熱 晩夏の精進湖を堪能する

- いつでも釣り気分!

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登場タックル

飛天弓 皆空(ひてんきゅう かいくう)

飛天弓 皆空(ひてんきゅう かいくう)

釣技研鑚、上達するには枚数の経験。

小継(こつぎ)で軽い、しっかり引ける竿です。そして高い振り込み性能。野釣りなど障害物の際(きわ)へ、正確に打てる振り込み性能は大事ですよ。そこで喰わせてアシとか、オダとかに駆け込まれないように魚を抜いてこられる。こういうエサ打ちから取り込みまでコントロールできる竿っていうのは、競技に限らず幅広く使えるものなのです。