タックルインプレッション

SHIMANO Tackle Impression

船船
[インストラクター]

TETSUYA TAKAHASHI

高橋 哲也

1965年神奈川県横浜市生まれ、沖縄県在住。小学生の頃から海釣りに親しみ釣りのとりことなり、高校入学と同時に三宅島へ転居。家業を手伝う傍ら釣りガイドや漁業で釣りセンスにさらに磨きをかけ、磯釣り、沖釣り、ボートフィッシングなど幅広いジャンルに精通。現在は沖縄に住み、自然保護活動などにも参加している。

存在感のあるデザインと最新の性能。
デカい回遊魚とも充分に渡り合えますね。

 新しくなったフォースマスター6000/9000。第一印象は、とにかくカッコ良くなった。特に太陽に照らされた時の青が凄くいい。見た目の存在感はビーストマスターにも引けを取りません。だから釣りをしている時のテンションもグッと上がります。性能的にはカーボンクロスワッシャを3組から4組に増やしたことにより、6000のドラグ力が30kgに上がっているので、私的にはこのリールはパワー勝負向き。50kgから60kgクラスのキハダなら余裕でしょう。カジキなら100kgでも行けると思いますよ。9000はラインキャパがたっぷりあるので、回遊魚のデカいのを掛けても安心して長時間ファイトが楽しめます。時間をかけることで6000よりもっと大物が狙えます。そして深場の大型ハタやクエ狙いにもバッチリ。
海底付近を釣る場合、特に大事なのはトラブル回避です。今回のモデルチェンジで新しくNEW海底・魚群水深表示が搭載されたので、これを活用すれば底付近をトレースしても根掛かりを未然に防ぐことができます。また、クラッチレバーが剛性感のある金属製に、ハンドルノブがCI4+製に変更されていて、細かい部分のクオリティも上がっています。テンションの上がるデザインに様々な性能がうまくバランスされているフォースマスター6000/9000で豪快な釣りを楽しんでほしいですね。

フォースマスター 6000/9000

高橋 哲也

新たに搭載された戦略頭脳で、バトルプランを臨機応変に構築。

泳がせ釣りをやっていると、魚を掛けたあと「パワーをどこでどれだけ使うか」「スピードをどう調整するか」に勝負の力点があるわけだけど、これって本当は高度なテクニックじゃなくて普通のことなんだよね。でも、何年もの間この当たり前の操作がなかなか難しかった。それが今回ビーストマスター6000がパワーアップしてさらに賢くなったことで、泳がせ釣りにおけるパワーコントロール、スピード調整、情報収集の3つがストレスなく普通にできる状況になったと感じるよね。
一見地味に思えるかもしれないけどNEW海底・魚群水深表示で海中状況を把握できるメリットは実は大きいんだよ。泳がせ釣りでもリアルタイムに状況把握できれば、例えばカケアガリに差しかかって素早く巻かなきゃいけないような時でも巻きっぱなしにするだけじゃなく、どのくらいの強さでいつ巻いて、いつ待つのか、ドラグ調整はどうするのか……という一歩踏み込んだ攻め方までプランニングできるよね。あえてゆっくり巻かないとハリが外れたり、口切れしてバラすこともあるし、パニック状態で慌てて巻いて逃げられるケースだって起こり得る。だからスピードコントロールを冷静かつ的確にこなすための補助機能が備わったことは心強いよね。
そしてタックルパワーが増すってことは、これまでフルで巻いていた状況でもその必要がなくなるってこと。ただゴリゴリやり取りするだけじゃなくて、その力をうまく使えば今まで以上にもっと大きな魚を獲れる可能性が高まる。NEWビーストマスター6000を大物狙いの泳がせ釣りで使ってみて欲しい。きっと今までよりもライトに、楽に感じられるはずだから。

ビーストマスター 6000

高橋 哲也

ゲームを制するスピードアレンジ、意のままに巻き、走らせ、そして獲る。

もちろん泳がせ釣りにパワーは大切だけど、それ以上にスピードが重要視される局面も多い。何でスピードかって?それは「外れにくい」っていう要素があるから。
例えばクエなんかは上がってくる時、深場ではグングン引くんだけど途中から引かなくなる。そんな時はスピードを緩めるんだけど、水面近くに上がると今度は水圧の関係でスピードアップして浮いてきちゃう。ここでゆっくり巻くと外れたりするし、キハダなんかのガーッと潜ってから一気に上がってくる時のスピードには追いつかないんだよ。だからスピードが必要になるんだ。カジキなんかでも反対に向かって走ってる時はいいけど、こっちに向かってくる時はものすごいスピードだから、どんどん巻いて距離を詰めないといけない。で、逆に走り出したら今度はパワーが必要になる。
とはいっても、スピードとパワー、アクセルとブレーキの使い方は魚種によって全然違う。表層のカジキやキハダ、宙層から海底付近のカンパチ、海底付近の根魚系それぞれ性質が違って、キハダとかは水面で喰って素っ飛んでくるから初めからドラグを閉める必要はない。最初に走らせて疲れさせて様子を見つつ寄せてくる。手前で大暴れすれば、またここでスピードが必要になる。
こんな感じで力とスピードの加減は魚種によって変わるから、どんな状態でも対応できるリールが必要なんだ。ましてや、これをスタンディングの手持ちで操作するんだから、手になじむものがいいに決まってる。で、それを支えるロッドの曲がり具合は人間に負担がかからないものがベスト。その微妙なバランスが今回のチェルマーレBGとビーストマスター6000の組み合わせで、より進化してるよね。

高橋 哲也

余裕のパワーと優れたドラグで、さらなる楽しさを演出。

生まれ変わった[ビーストマスター9000]を実際に使ってみたフィーリングとしては、さらに安定度が増したな……という印象だね。深場釣りはターゲットの引きはあまり強くはないものの、掛かる数が多い。重量があるから重たくて、けっこうな負荷が生じる。そのへんはハリスの号数だったり、掛かる魚の数に応じてドラグ調整して巻上げてくるわけだけど、実用巻上持久力もアップしてるから実釣では息継ぎも全然しなかったし、より安定して巻上げることができたという感触だね。
今回のテスト釣行では8~10本バリで水深250~500mの中深場から深場のカンパチ、ハマダイ、アオダイ、チカメキントキ、ヒメダイなんかを釣ったけど、2㎏前後の魚が仕掛け全部に掛かっても巻上げが途切れることなくスムーズに上がってきたし、確実にパワーがアップした感じだったね。それでいて相変わらず使いやすい手頃な大きさだから、中深場とかで遊ぶにはちょうどいい。ただ、深場の釣りだと、水圧の関係で浮き袋が浮いて上がってくる魚は初めが重く、上までグングン引く魚は最後まで引くからハリ外れもある。そうなるとドラグのスムーズさが重要になってくるんだよね。
このリールはもともとドラグ性能がいいんだけど、今回リニューアルによるパワーアップとともに、さらにドラグの滑らかさが際立った感じだね。モーターの制御改良でより力強くなって、ドラグ性能も申し分なし。もちろん気温が高く遮るもののない炎天下の船上で長時間使ってもリール自体が熱くなることもなく、熱によるトラブルも皆無。このリールを自分なりに工夫しつつ使いこなせるようになれば、深場の釣りをこれまでとは違う一段階高いレベルで楽しめるはず。

ビーストマスター 9000 [Beast Master 9000]

高橋 哲也

リールが即時ナビゲートする、より魅力的な深海ゲーム。

今回のビーストマスターにはNEW海底・魚群水深表示という、これまでになかった機能が搭載され、海底に関して「フラット」「かけ上がり」「かけ下がり」3パターンが表示されるから海底をイメージしやすくなった。それに海底までの距離がリアルタイムで表示される。特に底を這わせるような釣りの時には、これをちゃんと使いこなせるようになると実にいい目安になる。
起伏の激しいところは探見丸の映像と組み合わせるとさらに精度が上がる。キンメとかアコウダイなんかを狙う時のディープゾーンでも底取りしやすくなるし、底のほうを泳いでいる青物なんかを狙う時にも扱いやすい。複雑な海底をうまくかわせるから、根掛かりとか海底付近のトラブル回避に役立つよね。
で、掛けたあとはターゲットの動く先の海底形状が平らなのか、凸凹かによってリールの巻上げパワーやスピードを変える必要も出てくるし、デカいのが掛かった場合には根ズレで切れないようにファイトしたり……こんな一歩先の対策も立てやすくなる。どんな状況でも事前情報を知ることができるのは、大きなメリットだよね。
特に深場の海底付近の釣りってすごく厄介で、底付近を狙った泳がせ釣りだと、根掛かりと勘違いして合わせちゃったりする人もいるくらい。そんな時でも、海底形状を情報として入手していれば、タナを取り直してどのくらい切ろうとか、潮の流れを計算に入れてどのタイミングで巻上げよう……といった目安もつけやすくなる。それに魚群を感知するとアラームが鳴って、魚のいるタナ表示に切り替わる魚群水深表示機能もある。ヒットゾーンに仕掛けを投入しやすくなるぶんチャンスが広がるよね。

高橋 哲也

チェルマーレ BG[Chermare BG]

絶えず魚に負荷をかけるためにロッドアクションを駆使。

今回の新生チェルマーレBGは硬さがHランクになったわけだけど、ロッドが硬くなってパワーアップするとタックルバランスが大きく変化する。どんな釣りでもタックルはバランスが命。で、ロッドがパワフルになるとリールと人間に影響が及ぶ、つまり両者にしわ寄せがいくんだ。
ロッドにはアングラーが許容できる調子というものがあって、重心が先にいけばいくほど先重りして人間に負担がくる。元々チェルマーレのコンセプトには「手元重心で楽」っていう要素があったわけだけど、今回のモデルは、ほどよいパートに重心を持ってきて、ファイト中はアングラーの体力を温存して負担を減らす新チューニング。このロッドは従来の調子をキープしつつ、今までにないタイプのチェルマーレといえるだろうね。
実際使ってみたフィーリングも負担は感じなかったよね。さっきも言ったようにロッドが硬く先調子になるほど人間は辛いんだよ。これが5~10分のファイトだったら何でもないけど、30分、1時間ともなればアングラーは確実に体力を削がれる。ましてや50~100㎏もの大物になれば体力配分は非常に重要。大物相手だと多くの人は途中でバテちゃうんだ。
だったら「ラインを太くしてロッドも硬くしよう」と。ビッグゲームってそう思われがちなんだけど、実はこれ大きな勘違いなんだ。大きくなればなるほど、そう簡単には上がってこないわけだから「ちょっと時間がかかりそう……」と感じた時にはアングラー自身の体力を計算に入れながら「どうやって魚に的確にプレッシャーをかけるか」という戦略がポイントになってくるんだよね。
こんなことをベースに釣りを組み立てファイトする時に重要なのが「ロッドの重心をどのあたりに持ってくることがベストか」ってこと。それはロッドだけの問題じゃなくリールとのバランスも重要になってくるけどチェルマーレBGはHという硬さでありながらアタリを弾かないで喰い込ませる柔軟性もあるし、デカイ魚の突っ込みに負けない張りの強さと粘りがある。パワーの一辺倒で押し切るだけじゃない、懐の深さみたいなものが感じられるんだ。

高橋 哲也

高橋 哲也

進化を遂げた、軽量パワーブランクスの威力。

チェルマーレはグラス無垢じゃなくてUDグラス&カーボンを組み合わせたコンポジットチューブラー泳がせロッド。軽量でありながらブランクスは強靭。当然そこには素材とか内部構造が大きく関係するワケで、ネジリ強度とか、つぶれ強度って数字で言われてもちょっとピンとこなくても、手持ちで使っている時の軽さとか、ファイト中の竿ブレの少なさという部分はスパイラルXコアナノピッチ、UDグラス&カーボンの配合……といった最新ブランクス構造のおかげだろうし、何よりも強いことが精神的な意味でこれがあるから安心して使えるという点は大きい。
あと、釣りをしていると知らないうちにリールがカタカタと緩むことがあるんだけど、今回搭載されたシマノのオリジナルデザインアルミシートは一度きちんと締めればまず緩まない。余計な部分で気が散らないから釣りに集中できる。こういう部分はすごく大事。デカい魚相手だと危険も多いし、不安が一番の敵だから。危険はある程度自分で回避できるかもしれないけど、安心は道具によるところが大きいからね。それとこのロッド、見た目がカッコいいところもポイント高いよね。

気軽にパワーゲームに挑戦。
「大魚には大型リール」は、もう古い。

電動だからといってクラッチONで巻きっぱなしにするのではなく、巻いたり止めたり、使い方ひとつでその性能を100%、さらにそれ以上のポテンシャルを引き出すことができる。PLAYS3000XPは強力なMUTEKIMOTORが搭載されラインキャパはPE4号でも400mと充分。私ならこのリールで何十kgもあるGTや100kg近いカジキだって釣り上げることができると感じている。当然、本州沿岸のマダイや青物ねらいであれば余裕たっぷり。最近、磯釣りやジギングから船大物のエサ釣りに転向されるアングラーが多く、以前だったら「もう少しだけ奮発して上級機種も検討してみては?」と勧めていたが、今ではプレイズ3000XPがイチオシのエントリー機種。この価格帯なので誰もが気楽にパワーゲームの限界に挑戦できるはず。「大魚には大型リール」という概念はもはや完全に過去のものになったと思う。

プレイズ3000XP

高橋 哲也