タックルインプレッション

SHIMANO Tackle Impression

鮎鮎
[インストラクター]

TADASHI SAKAMOTO

坂本 禎

1970年生まれ。栃木県宇都宮市在住。北関東の大鮎メッカ・鬼怒川で鮎釣りを覚え、瀬釣り釣技を研鑽。立ち込み、振り子抜きなど、荒瀬大鮎釣りを得意とする瀬釣りフリーク。九州球磨川スペシャリスト。尺鮎に拘る姿勢は他のトーナメンターとは一線を画す。

スペシャル トリプルフォース NM

使用モデル1

BG 98NM

10mより軽く扱いやすく
10mに迫る遠距離攻略力

オトリを入れることができれば一発で掛かる―。鮎師をせせら笑うかのように大河川の遠距離に輝く手付かずのサラ場。なかでも水量豊富な大場所には強烈に縄張りを主張する大鮎が楽園を築くこともしばしばだ。
遠距離攻略にはロングロッド。もちろんこの法則は不変ではあるものの、10m以上でなおかつ大鮎派を納得させるパワフルな長尺竿となると、やはり相応の重量と持ち重りはやむを得ない要素。シマノロッドでいえば尺鮎に真っ向勝負を挑むドラゴンフォース10、11m、アドバンフォース10mがまさにそのクラスといえ、球磨川をはじめとする全国の尺鮎河川の鮎師たちから絶賛されている。
一方、こうしたモデルの扱いにやや高いハードルを感じる鮎師にとっては、どのロッドを選択するか悩ましいところだ。ある程度の軽量性を維持しながらもっとタフなボディで果敢に大鮎ゲームに熱中できる一竿。そんなあなたには瀬竿超越パワーロッド・スペシャル トリプルフォースのポテンシャルがきわめて魅力的に思えてくるだろう。
10mクラスの遠距離攻略性を秘めながらドラゴンフォースよりも軽く操作性に優れ、競技系軽量ロッドよりも安心感のあるロッド。それがこの夏スペシャル トリプルフォースの系譜に新たに名を連ねることになった「ビッグゲーム98」なのである。
昨今、通常の数釣りロッドおいて90に迫る射程距離を確保しながらより軽く、より操作性に優れたショートモデルとして85ロッドが注目を集めていることは周知のとおりだろう。さらにシマノでは90に迫る攻撃力を有しながら持ち軽さを生み出す88という長さをスペシャル ラシュランにおいて実現し、その有効性を実証している。
これら経緯を踏まえ、今回我々がまさにビッグゲームのために用意した長さが98という新レングスだ。
ドラゴンフォース、アドバンフォースのロッドチューニングに携わった坂本禎は語る。
「10mクラスのロングリーチがありながら、パワーロッドとしては扱いやすい重量と操作性を追求した一竿です。実際手にしてみると10mより20㎝短いだけでも持ち重り感、取り回しがかなり向上すると感じられるはずです。ドラゴンフォース100|105とくらべると軽くてパワーもあるような印象を受けますね。
実釣テストは那珂川、球磨川、川辺川、三隈川、仁淀川、吉野川、四万十川で実施。球磨川、吉野川では29㎝までキャッチしました。全国各地の大河川で90では届かないサオ抜けを既存の10mより軽く取り回し性に優れた98レングスで緻密にねらい撃ち…そんなイメージで操作できる新たなロングロッドです」

軽い仕掛けで数釣り対応
大トロ泳がせも守備範囲

フィールドでの使用感はどうか。
「球磨川クラスの水量だとガンガン瀬などはちょっと厳しいですが、そこそこの瀬であれば対応可能。荒瀬クラスよりもしなやかなアクションなのでオトリのなじみ、泳ぎともによく、荒瀬竿よりワンランク細い仕掛けが使えます。同様に軽いオモリ、背バリで同じポイントに入れてもオトリが弾かれずに川底を粘って付いて来る感じで操作できますね。
球磨川でも尺鮎ねらいに限定せず、そこそこのサイズをねらうのであれば、こういったややライトなタックルのほうが数が釣れるはず。軽快に楽しめるサイズは25~30㎝。引き抜きなら27~28㎝。球磨川級の大河川は28㎝も寄せがオススメですかね。もっとも急瀬クラスのアクションなので基本的に尺クラスは引き抜きではなく寄せて取り込む調子設定です」
昨シーズン全機種一新したスペシャル トリプルフォースでは「急瀬G90」というモデルもチューニングに携わった坂本。GとBGの違いに関しては
「急瀬G90は瀬釣り攻略能力を高めた細身肉厚設計。今回のBG98はG90同様にパラボラチューンを採用していますが、大鮎攻略ロングロッドなので調子設定のコンセプトが異なります」と言いつつ「通常の瀬釣りで多用されるオモリ、背バリ使用に対応するほか、後期は大型オトリを使った泳がせによる大トロ攻略にもマッチする調子と長さ。特に九州、四国の大鮎河川の泳がせにはバッチリだと思います」と付け加えた。
実釣テストは昨シーズン10月まで最後のセッティングを煮詰めるために四国・吉野川、仁淀川で実施。吉野川では最大29.7㎝を寄せでキャッチしている。
従来90モデルのロングバージョンとして数多く見られた95ロッドの射程距離を凌駕し10mとほぼ同等の攻撃力を秘めながら、より軽く扱いやすさを追求したかつてない98レングス。届きそうで届かなかったあのサオ抜けにダイレクトにオトリを送り込み、会心の大鮎ゲームを堪能するための迫撃ロッド。その威力が新たな輝きを放つ。

使用モデル1

急瀬G 90

フラットな小石底河川
オモリ大鮎攻略に特効

大鮎で知られる鬼怒川をホームグラウンドにする坂本禎。今回坂本がチューニングを担当した急瀬G90は、鬼怒川をはじめ長良川下流部、魚野川、米代川など、比較的底石が小さく、岩盤相も攻略フィールドに入る河川の大鮎釣りを変革するために開発されたモデルである。
小石底や岩盤相は大石底と比較すれば、どうしても川底の流れが速くなりオトリを止めにくく、オモリ使用が不可欠となる。求めたのは流速ある表層流に負けることなくオモリを付けたオトリを底流れになじませ、意のままに操作し、次々と野鮎を挑発できること。掛けてからは波目の少ない川面でもねらった場所で掛かり鮎を浮かせ、引き抜くことができるロッドが求められる。さらに今回の急瀬G90では従来の急瀬クラスのゴツいイメージを一新するような使用感をも追求している。
坂本は言う。「この急瀬G90(H3・2相当)はトーナメントロッドのパワーバージョン的なイメージで開発テストが進みました。今までの急瀬竿やパワーロッドというと、ちょっとゴツさがあるので『自分には無理かな?』と敬遠される方も少なくなかったと思います。ですが、この竿はそんなイメージとは無縁。急瀬としてはバット部が細く、持った瞬間に『えっ、これが急瀬?』と感じられると思います。振った感じは先調子のようにシャキッとした張りがあり、荷重が加わればパラボラチューンの効果で、しなやかに曲がり込んで胴に入る。
まず開発テストは最適なバット形状の選択から始まりました。バットが太いと、どうしてもゴツく感じ、逆に細すぎると華奢に感じられるため、様々な太さや形状のバットのテストを繰り返しベストなものを追求しています。
那珂川、鬼怒川、魚野川、米代川、北上川、紀ノ川、徳島県吉野川など、各地のいろいろな大鮎河川で使いましたね。いずれのフィールドテストでも、この竿はロッド全体のバランスがよいのでオトリのつきもよく、押しの強い流れでもオトリが弾かれにくくオトリが引きやすい。ノーマル仕掛け、背バリはもちろんのこと、何といっても大鮎釣りに欠かせないオモリを使った釣りが非常に行いやすい。そこそこの大オモリを付けてもロッドが曲がり過ぎず、しっかり操作できます。エキサイトトップが搭載されているので従来の瀬竿を上回る感度のよさが期待できます。
掛けてからは掛かり鮎の大きさやパワーの違いに応じて負荷が乗り込む位置が変わり、やり取りも非常にスムーズ。曲がらないロッドはノサれやすく、反対にあまりにも曲がり込みの早いロッドだと一気に曲がり込んで釣り人の余裕を奪いがちだし、野鮎の抜けも遅い。この急瀬Gはそんな点を感じさせないバランスのよさで、大鮎ねらい、オモリ釣りを存分に楽しむことが可能。この竿の特徴を一言でいえば〝余分な物をすべてそぎ落としたシャープなパワーロッド〟。そんな印象がピタリと当てはまります」

大河川の26~28㎝を引き抜く
かつてない曲がりと信頼感

「今回特に印象に残ったのが魚野川での実釣テストですね。昨シーズン後半は下流域が絶好調でした。ここは川幅が広く水量も多く押しも強く、26~28㎝が当たり前のようにオトリに突っかけてくる。瀬にどっぷり立ち込んだ釣りだと、この急瀬G90のプロトじゃ正直キツイかな? と思いましたが、テストをしていくうちに自分も驚きました(笑)。
瀬の中で野鮎が掛かりロッドを立てると水面下まで掛かり鮎をしっかりと浮かせてくれる。この時、ロッドをタメた感覚が何とも言えず好感触なんですよ。一般的にロッドを絞り込んだ時に〝折れそう〟とか〝ノサれそう〟と感じる竿には常に不安感が付きまといます。逆にそういったことを感じさせないロッドをよく〝安心感がある〟と表現しますが、この急瀬Gは安心感というよりも〝信頼感〟という感じ。〝このロッドだったら大丈夫。イケる! 抜ける!!〟釣り手にそう思わせる感覚で、掛けるにしろ、取り込むにしろ常に積極的な釣りを展開することができる。1匹のバラシがオトリ循環を大きく狂わせてしまう大鮎釣りにおいて、この信頼感は非常に大きなメリットといえますね。
ほとんどのポイントで掛かってもそこから竿を絞ればロッドパワーが湧きあがるように発揮され、幅広のヘビー級を飛ばすことが可能です。また今回『POWERSELECT SYSTEM』採用のパワータイプ替穂先も標準装備。パワータイプ穂先を装着することでより大鮎対応力がアップする(H3・2相当→H3・5相当)ほか、大型オトリや大オモリ装着時の操作性の向上、タメ性能の向上(野鮎を水面まで浮かす、走りを止める)、抜き性能の向上…と、掛かり鮎が大きい時や押しの強い瀬では、格段に仕事が早いロッドに変身。回転率が格段にアップします!」
パラボラチューンがもたらす独特の胴の粘りで釣りづらい流れと大鮎を手玉に取り、ねらいどおりの場所から掛かり鮎を飛ばして着実にタモへと導く。しごく当然ともいえるこの一連動作を、急流大鮎釣りにおいて破綻なく行えるロッドは一体どれほど存在するだろうか? 曲がりで獲る急瀬G90。かつてない大鮎攻略力を全身で体感していただきたい。

使用モデル1

急瀬S 85

85の絶対的軽さ
7本継のパワー

瀬釣り攻略に主眼を置いた従来のパワーロッドといえば90がスタンダード。さらなる遠距離攻略を視野に入れた場合には95、100といったロングロッドも選択肢に入る。しかしロッドが長くなれば当然のように重くなる。ましてや軽くなったとはいえ、急瀬クラスともなると体力的な負担は増し、意のままに操作できる鮎師は限定されてしまうことも事実だろう。
今回新たに誕生した急瀬S85はヘビーウェイトになりがちなパワーロッドの世界に新風を吹き込む一竿として開発がスタートした。急瀬(H3相当)でありながら225gという軽量ボディ。さらに他のスペシャル トリプルフォースが8本継ぎであるのに対し、それらとは一線を画す独自の7本継ぎ設計が採用されている。
坂本は語る。「今回スペシャル トリプルフォース・シリーズに新しく急瀬S85がラインナップされました。近年終盤になると鮎が大型化する河川が増え、小河川でもその傾向が見られます。パワーロッドが必要な場面が多くなりましたね。
やはり小河川ではピンポイントにオトリを入れて操作したり、木が被るポイントなどは当然のように短竿が有利ですから、そんなフィールドにはパワーショートロッドはピッタリでしょう。
実釣テストは那珂川烏山エリアを中心に行いました。23~24㎝を相手にしたテストで感じたのは『細身で胴に乗るアクションだ』ということ。パラボラチューン搭載の7本継ぎなのできれいに元竿付近まで曲がり込んで粘りを発揮する。8本継ぎロッドとは一味違う使用感です。オモリ、背バリを使用しましたが、ともに使い勝手は良好です。
もちろん85なので繊細操作は得意技。細身軽量パワーショートロッドなので体力的に不安があるベテラン鮎師のなかでも『年はとっても大鮎瀬釣りの魅力を満喫したい!』という方にはうってつけ。また、従来の急瀬90クラスの瀬竿だと一日手にするのは少々シンドイ……そんな方々はこんな軽量ショートロッドに注目しても面白いと思います。
また、普段H2・6クラスの競技系軽量モデルをメインロッドとして楽しんでいる方にとっても、このS85は非常になじみやすい急瀬ロッドだと思います」

立ち込むほどに光る85
使い方は自由自在

短竿パワーロッドの軽量性、優れた操作性は体力的な負担を軽減しイージーな楽しみ方を演出する一方、超攻撃的なスタイルを生み出す起爆剤にもなる。
「九頭竜川など流れにどっぷりと浸かって攻め込む本格派の瀬釣り師が80、85といったショートロッドでガンガン攻めるように、体力充分、立ち込み技術に自信のある方なら、このロッドとともに流れにガンガン立ち込み、ショートロッドならではの緻密なロッドワークで攻めまくって入れ掛かり! そんなスタイルも面白いですよね(笑)。
また、大中規模河川の強風時や時間帯で風が吹くような河川など、他の鮎師がロッド操作に悪戦苦闘するなか、ワンランク上のオトリ操作で一人だけ入れ掛かり…なんて使い方も当然ありです。
対応野鮎サイズは立ち込んでいなければ25~26㎝、立ち込んだら23~24㎝が引き抜き好適サイズというイメージ。急瀬G90よりこの竿のほうがソフトな感じなので、盛期から幅広く使用できますし、解禁から野鮎が大きい河川では初期から活躍してくれそうです」
従来85クラスのパワーロッドといえば太くて張りのある瀬竿がほとんど。操作性に優れる急瀬クラスの85ロッドは盲点ともいえるジャンルだった。しかし細身7本継ぎとパラボラチューン効果できれいに胴に乗り込み、軽快なロッドワークでイージースタイルにも、超攻撃的スタイルにも対応できるこの急瀬S85は過去の瀬竿を超えた存在として輝きを放つ。またこの竿はパワーセレクトシステムによりH3相当からH3・2相当へと変貌する。単なる剛竿ではないパワーショートロッドの登場によって新たな世界がもたらされるに違いない。


島 啓悟インプレッション

急瀬T 90

粘りの胴調子、操作の先調子
要望に応える真逆の2モデル

大鮎瀬釣りに必要不可欠な急瀬の9mロッド。今回のスペシャルトリプルフォースはこのロッドカテゴリーにG90、T90という二つのモデルをラインナップさせている。前者は小石底のフラットな流れをベタ竿オモリで攻略するスタイル。一方、後者は比較的底石が大きくヨレや波目のある変化に富んだ流れを時には立て竿操作もまじえながら攻める釣りに適したチューニングだ。
一口に急瀬アクションといってもフィールドに応じた鮎師のニーズは実に多彩。それゆえにシマノはパワーロッドにおける新たな選択肢としてG90、T90という真逆のアクションを同一カテゴリーにラインナップさせ、より鮎師のスタイルや好みにマッチしたパワーロッドの世界をおくりとどけたいと考えているのだ。
長良川育ちの島啓悟が急瀬T90を使い込んだ感触を語る。
「まずこの竿を手にして最初に感じるのは『持ち軽さ』、手元の操作を行いやすい『張りのある調子』という印象です。20㎝以上の良型オトリを的確に感じながら穂先で操作でき、掛けてからのパワーは『この軽さで!』と思うほどの安定感があります。
瀬竿の急瀬クラスともなると、操作性以上に曲がりとパワーが強調され持ち重りを感じてしまいますが、今回の急瀬T90はスムーズに曲がり込むパラボラチューンをあえて採用しないことで、オトリ感度を優先して仕上げた、まさにテクニカルに使える一本。
従来のトリプルフォースは純粋な瀬竿なので操作性に関してはベタ竿の引き釣りメインに調子設定されていましたが、今回の急瀬T90はベタ竿操作もできるうえ、さらに競技系ロッドにも通じる数釣りにも対応可能なように、穂先を使ったオトリ操作が行いやすい調子になっています。
長さに対する操作性、パワーに対する持ち重りといったデメリットを軽減することで、とにかくこの急瀬T90は『操作で掛ける竿』というイメージ。急瀬P93の長さのバランスとしなやかさや、急瀬G90のパワーやしっかり感に対し、この竿特有の能力は、瀬の中にあるポイントをさらにピンスポットで絞り込んでオトリを的確に止め、野鮎をテクニカルに狙い撃ちできること。ロッドでオトリを操作して瀬の良型を掛けにいくなら急瀬T90の出番だと思いますね」

急瀬にあるまじき持ち軽さ
操作して掛ける攻撃力

「板取川、長良川、九頭竜川、神通川といろいろな条件でテストをしましたが、最初プロトを渡された時には『大丈夫? これ本当に急瀬なの?』と思うくらい、従来の急瀬クラスより持ち重りが少なかった。全体的に張りのある先調子という印象でしたね。
でも、いざオトリを操作すると穂先にほどよい曲がりがあって引く、止める、操るといったオトリ操作のキーポイントを手元で行いやすいんですよ。流れの強弱、オトリサイズに応じた情報を穂先の曲がりや手元の感度から把握して水中をイメージしやすい。こうした情報をキャッチしながら臨機応変に操作できるのは、今までのパワーロッドにはない醍醐味でしょう。
特に瀬の鮎は反応がよいので従来の瀬竿より前アタリがよく分かる。ハリ掛かりした瞬間もよく分かるので、魚に先手を取られる前に釣り人が主導権を握り、ノサれる確率も軽減できると感じました。
野鮎が反応しやすいオトリ操作は時期によって河川によってさまざま。その点、軽く操作性に優れた急瀬T90はそのさまざまな要求に応じられる。もちろん瀬釣りに欠かせないオモリを付けても感度や操作性がボケることはありません。オトリの状態を常に感じられる強みを生かした釣りの展開が可能です。
対応野鮎サイズは20~25㎝。腰くらいの水深まで立ち込んでねらえる早瀬や急瀬、変化に富んだ中規模河川の瀬、攻略ポイントを細かく区切りたい起伏に富んだ河川、小河川、渓流相から飛び出す後期の良型……などがこの竿の得意フィールドです。
『競技系パワーロッド』的に使うことができるのでシーズン中盤からの瀬釣りの良型を中心に、ベタ竿の引き系釣技や竿の角度を変化させる泳がせ系の釣り、ウエイトのあるオモリを使った釣りなど、競技系軽量ロッドで対応が難しいと思える状況でも、テクニカルな釣り方で対応できるのが急瀬T90最大の強みでしょう」
急瀬というパワーロッドでありながらオトリの状態を常に感じつつ軽快操作を楽しむために、意図的にパラボラチューン非搭載で生み出された先調子的なセッティング。さらにパワーセレクトシステムによりH3相当からH3・2相当へと変化するこの竿はテクニカルの頭文字「T」のイニシャルが示す通り、操作して掛ける大鮎攻略にかつてなくマッチする。


島 啓悟インプレッション

急瀬P 93

90並みの軽さながら一歩先を釣れるメリット

立ち込み困難な瀬にかぎらず、後期には大鮎の宝庫と化す広大なトロ場攻略において、長竿のメリットは確実に存在する。しかし従来の瀬竿急瀬クラスであれば95、100と長くなるにしたがい当然のように重量が増し、一気にマニアックな様相を強めることになる。
誰もが軽快に操作でき、しかも長竿が生み出す数々のメリットを損なうことなく体感できるロッドバランスとは? 今回シマノが出した結論が「93」という長さである。昨シーズンデビューを飾ったリミテッドプロTF 急瀬テクニカル93、リミテッドプロFW ベリーベスト93はロッドタイプこそ異なるものの「93」という新たな長さのメリットを追求したモデルとして、多くの鮎師から高い評価をいただいた。
島啓悟はパワーロッドにおける93のメリットを語る。
「手にした時の持ち軽さは従来の瀬竿の90クラス。そこにオトリ操作のキモになるポイントへの有利なアプローチ能力、スムーズなオトリのなじみ、長さの効果がもたらす動きの幅、流速のある瀬でも引きやすく底流れから弾かれにくいしなやかさ…など、プラス30㎝のメリットが感じられますね。また掛かり鮎に対しても90よりもタメが利くので安心感があります。
たかが30㎝と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、やはりオトリのなじみ、動き、泳ぎ、移動距離がかなり違ってきます。ほぼ90感覚で操作できるにもかかわらずオトリ操作に余裕が生まれ、鋭角な引き系攻略時の『縦のライン』と、広角な泳がせ攻略時の『横のライン』、双方ともかなり広がります。大河川などでは縦横無尽な攻略術に幅が出るので有利です。
ポイントをねらい撃ちするのが得意な急瀬T90に対し、いわばこの急瀬P93はポイントを探る『探知機』ですかね。ポイントが定まらない河川や川底がフラットなフィールドは広く探れるほど有利なので、探りながらポイントを見つけていくようなパターンなら急瀬P93ですね。93のリーチ、パラボラチューン特有のしなやかさと安心のタメ性能で瀬の良型をうまくイナしてタモに導くことが可能です」

オトリが左右に動いてオートマチックに挑発

一方、島は単純に「長い」という物理的な優位性だけでなく、ロングロッドが生み出す90にない独特の効果に着目する。それはオトリ管理に余裕を生み出し、半ば自動的に野鮎を挑発するプラス30㎝のマジックといってよい。90でも通じる河川においてさえ、一部名手があえて93を手にする理由も実はここに存在するのである。
「実際釣ってみると90ロッドより操作性がよいというか、93ロッドはプラス30㎝のリーチが釣り手の操作を補ってくれる感じがするんですよ。竿全体の長さと穂先周辺のしなやかさで、良型オトリを操作すると、流れになじみながら左右の動きが出る。これがポイント周辺の野鮎にアピールする状況を多く作ってくれるというか…。
瀬釣りというと流れが速いので、どうしてもオトリの動きが硬くなる傾向にありますよね。動きを作り出そうとして穂先にオトリを乗せるだけでも、流れによってはオトリが簡単に浮き上がって流されるので、良好なオトリポジションをキープしづらい。それが93だと特別な操作をしなくても90よりオトリに動きが生まれるように感じます。
今回テストした河川の一つ、8月の神通川では例年とは異なり23㎝級がアベレージ(!)。広大なポイントで数を掛けるためには93のロングリーチが活躍しました。ポイントを広く探りつつ、アプローチは川底のオトリポジションが安定してないと野鮎の反応や前アタリが減るといった状況です。ここで操作を優先させる釣り方=釣り手が積極的にオトリを動かす攻め方ですぐに別のポイントにオトリを移動させてしまうと、せっかく掛かる鮎がいるのに掛からない。瀬といえども待ちが重要になる状況下、この竿ならではのオトリ管理の威力を実感した場面です。
得意なフィールドとしては比較的フラットな川相の早瀬から急瀬、長さがほしい川、オトリを楽に上流に引き上げたい、鋭角でオトリを引き上げ距離を多くしたい、オトリを広角に送り出してから動かしたり泳がせたい、スムーズになじませたい、オトリポジションを安定させたい……など、瀬はもちろん、さまざまなフィールドに必要な操作を竿自体が演出してくれる。急瀬P93はそんなロッドといえるでしょう」
パワーセレクトシステム採用によりH2・9相当からH3・2相当へと変化。「たかが30㎝」と決して侮ることなかれ。「されど30㎝」が生み出す新たな入れ掛かりの感動を、このセミロングパワーロッドで存分にご体感いただきたい。


小澤 剛インプレッション

早瀬V 90

瀬竿と競技ロッドの境界で入れ掛かる竿

近年の傾向として注目される後期の良型大鮎ねらい。大河川におけるガンガンの瀬釣りだけがフィールドになるわけではなく、一般的な早瀬やトロ場、急瀬程度の流れが恰好のポイントになるケースもしばしばだ。多くの鮎師によって攻められやすい場所だけに野鮎はややナーバス。繊細なオトリ操作が会心の入れ掛かりを手にするために欠かせない。
いってみれば従来の瀬竿ではオーバーパワーかつ操作性に劣るが、さりとて競技系軽量ロッドではパワー不足で強度が不安、という、ありがちな状況だ。早瀬V90はそんな状況で威力を発揮するために誕生した新たなパワーロッドである。小澤剛は語る。
「僕が瀬竿をテストするのは今回が初めてでした。自分自身、瀬竿と呼ばれる竿をしっかり使い込んだことはないのですが、僕がいつも瀬竿に対して感じていたのは『ちょっとゴツイなぁ』ということです。
もっと普通の河川でも使えて、バーサトルやFWとまではいかないまでも、さらに操作性のよい瀬竿がないかなぁ…と、ずっと思っていましたね。今回それを形にしたのが新しいスペシャル トリプルフォース早瀬V90です。
イメージしたのは膝から腰くらいまで立ち込んで、20~22㎝前後の鮎を安心して取り込み、操作できる竿。僕の勝手な思い込みかもしれませんが、瀬竿はどうしても操作性が劣ってしまうと感じます。もっともこれは当たり前なのですが重量を増やして安心感を持たせれば、どうしても競技系軽量ロッドのような操作性はなくなります。
今回は『そこを何とかしよう』と、できる限りテストしました。その時にイメージしたのは那珂川の町裏や小川地区。盛期の桂川。長良川の大和、郡上、美並。九頭竜川の勝山。揖保川。立ち込んでサラ場を釣るのではなく、ある程度魚がスレていてオトリをきちんと操作しないと釣果が上がらないような、ちょっと水量があって、そこそこ野鮎が大きくなるような河川で自信を持って使える竿を目指しました」

FWの如き掛け能力
小澤剛の新たな左腕

「僕はいつも、河川規模や野鮎の大きさに対して『少し、しなやかすぎるかな?』と思うくらいの竿を選びます。’15年ジャパンカップ全国大会の九頭竜川では、その年に発売されたスペシャル競FWのH2・6を使用したくらいです。その時はかなり限界に近く、ちょっと無理があったかなと思いますが(笑)。今回は、そんな時に迷わず自信を持って手にできるような竿の仕上がりをイメージしました。
パワーランク的に早瀬ということもあってゴリゴリの瀬竿ではありませんが、バーサトルやFWではちょっと物足りない時に、しっかり使ってもらえるようなロッドです。
その特徴を一言で表わすならば『FWっぽく使えて鮎が掛かった時に安心してタメられる竿』。もちろんFWとまったく同じとはいきませんが『オトリをしっかり操作して掛けられる竿』に仕上げたつもりです。
ポイントとしては一般的な流れから早瀬をメインに、ちょっとキツめの急瀬もカバーできると思います。野鮎が大きくなった時や少々水量が増えた時に、普通に使える瀬竿。競技系軽量ロッドではちょっと怖い場面でも安心して竿を絞ることができます。
今まであまりなかった『しっかり操作できるのに、安心感のある瀬竿』。よいできになったと自負していますので、一度手に取っていただければと思います」
FWが小澤剛の右腕とすれば、この早瀬V90は覇者の左腕。FWの延長線上にある感覚はパワーロッドにあるまじきゼロオバセの取りやすさ、従来にない戦略的なオトリ管理を追求した、いわばマッスルボディを身にまとったマイティFW。競技系軽量モデルを初~中期の主力ロッドとして手にする鮎師も、後期はこんなパワーロッドで痛快に入れ掛かる。それが現代という時代なのである。

アドバンフォース NW

手にすれば分かる王道瀬竿の真骨頂

まずは手にしていただきたい。店頭で振りくらべれば、このロッドが真の瀬竿であることを実感できるはずだ。そしてこの竿とともに迷わず急流へとオトリを送り込んでほしい。その瞬間あなたは生まれ変わった王道瀬竿の威力の虜になるに違いない。
瀬竿の中の瀬竿・アドバンフォース。上位大鮎ロッドに先鋭的なパワーロッド・スペシャル トリプルフォースがあることで、この竿を単なるリーズナブルな大鮎竿とイメージする鮎師もいると聞くが、それはまったくの誤解であると坂本禎は力説する。
「よく言うんですけどアドバンフォースは、単なるリーズナブルロッドではありませんよ。瀬竿としての性能を妥協なく追求した手に入れやすい本格派ロッドと言いたいです。全アイテムパラボラチューン搭載でライト瀬釣りから豪快荒瀬釣りまで。強度、感度、パワーともに同じクラスのどんなロッドと比較しても負けない竿です。特に盛期、瀬の中で真っ黄色な良型が入れ掛かる時は迷うことなくこの竿の出番です」

早瀬93から荒瀬90まで妥協なき調子を徹底研鑽

全機種チューニングを手がけた坂本が使用感を語る。

使用モデル1

早瀬93

「当初90のほうがよいのでは?と思いましたが、非常に魅力的なロッドに仕上がりました。普段、競技系軽量ロッドを手にごく一般的な河川で数釣りを楽しんでいる方が、梅雨明け盛期に水量豊富な神通川などの天然遡上河川に持って行く1本として強力におすすめします。非常に汎用性が高いので9mしか持っていない方が長さ違いを求める場合にもよいですね。特にちょっと高水になった場合などはこの30㎝リーチの恩恵を感じるはず。サラ場ねらいでも有利。瀬釣りビギナーの最初の1本としてもよいですね。
元竿までしっかり曲がって流れと引きを受け止めるアドバンフォース調子のなかでは、わずかに元に張りを持たせているので肉厚設計の93でも持ち重り感がありません。野鮎サイズ18~24㎝が軽快にやり取りでき安心して引き抜けるサイズです」

使用モデル1

急瀬90、95、100

「瀬竿の王道アドバンフォースの真骨頂を体感できるのが急瀬アクション。特に前モデルで調子的に非常に完成度が高かった90、95は長所をそのまま継承していますので、前作愛用者が手にしてもまったく違和感を覚えないはず。一方、100は今回細部にわたり瀬竿に特化した作り込みを行い、感度、パワーともに前作よりも向上しています。
対応野鮎サイズは23~28㎝まで引き抜きOK。パワー、トルクとも急流で荒っぽく使ってもヘコタレない、返し抜きに好適な安心パワフルチューニング。瀬の中で大きなオモリを付けて引いては掛け、ガンガン返し抜きを決めたい状況にピッタリ。仕事の早い竿。盛期を熱く過ごす瀬釣り師ご用達ロッドです」

使用モデル1

荒瀬90

「急瀬よりもパワーがあるので荒い場所でも1歩も下らず真っ向勝負を挑めます。急瀬クラスのしなやかな調子を利用してオトリをなじませるのではなく、大きなオモリで沈めて大きな鮎を掛ける釣りにもってこい。豪快な瀬釣りの魅力を追求する鮎師の相棒。対応サイズは25㎝~尺鮎まで。本州の河川であれば尺鮎も飛ばせるはず。個人的にはドラゴンフォースのショートバージョン的な位置付けです」
さらに島啓悟もこの竿のテストで大鮎を仕留めた。

POWERSELECT SYSTEMでさらなる能力を引き出す

質実剛健。胸躍る瀬釣りのステージで痛快勝負を楽しむために鍛え上げた性能は、スペシャル トリプルフォース愛用者にとっても大きな魅力を秘めている。
「スペシャル トリプルフォース急瀬Gなどは、より軽くてシャープでオールラウンドプレーヤーというイメージがある一方、このアドバンフォースは〝瀬釣りの良型入れ掛かりに特化した竿〟だけにしっかりとタメられ、強引な操作、返し抜きを多用するなど、多少ラフに扱ってもビクともしない安心感があります。POWERSELECT SYSTEMの採用でさらにパワーアップ。トリプルフォースがあっても盛期の入れ掛かり瀬釣りには迷わずこのシリーズ!私が長年この竿を愛用する理由がここにあります」(坂本)
流れの中で意のままにオトリを操り、痛快に掛け、自在に振り抜く爽快感は今回新たに採用したPOWERSELECT SYSTEMと響きあい、さらなる高みを追求する。王道瀬竿としてより進化を遂げた新生アドバンフォース。同クラスはおろか上位モデルをも脅かす入れ掛かり対応力を、その手で感じていただきたい。

ドラゴンフォース NP/ZP

日本一を追い求めた 個性異なる3モデル

「2009年に登場した初代ドラゴンフォースは日本一の荒瀬大鮎ロッド。それは大河川における夢の大鮎、記憶に残る1匹を狙って獲ることができる竿であり、大鮎との真っ向勝負に全幅の信頼を寄せられる安心感を生み出すロッドということで開発しました。 初代ドラゴンフォースは90、95、100が同じ調子でラインナップされていましたが、今回新たに生まれ変わった新生ドラゴンフォースは100-105のズームモデル、110、100の3タイプ。これは長さも異なれば、硬さと調子も違う設定です。」

100-105ZP

使用モデル1

100-105ZP

最もソフトな100-105 引き抜き27㎝ タメ寄せで尺鮎

「100-105はシリーズ中最も柔らかい50㎝ズーム搭載モデル。あえてパラボラチューンなしで仕上げることで荷重バランスを元の方まで乗り込ませず、そのかわり操作性を重視して持ち重り感が軽減されています。深瀬、深トロなどで最大限力を発揮するチューニングは一般的な河川なら27㎝クラスの引き抜きもOK。尺オーバーの巨鮎とのやり取りはシッカリとタメて寄せて獲るスタイルで対応。体力や腕力にあまり自信のない方におススメしたい『柔よく剛を制す』ロッドといえるでしょう。」

110NP

使用モデル1

110NP

巨鮎の聖域を直撃する 大物師待望の11mロッド

「110は一番長い期間テストしました。どうしても大鮎用の11mが必要だと、開発陣に無理なお願いをし『やってみましょう』と初代ドラゴンフォースと同時にテストがスタート(つまり実は10年近くテストを繰り返した)。尺前後にねらいを定める大鮎用なので実釣できる期間が短いことで苦労しましたが、毎年球磨川でもテストを繰り返し尺オーバーを多数手にしています。大鮎を掛けてからの安心感、操作性、持ち重り感の軽減、ロングロッド最大の敵である風対策…など、問題点を1つクリアすると他の課題が出る…。そんなことの繰り返しでしたが、ついにシマノロッドらしい持ち重り感を極力排した操作性のよい11mが完成しました。従来の長さでは届かない遠距離ポイントを攻略可能なエリアへと変える『長さ』という最大の恩恵のほか、風切りのよいロッドバランス、長さとしなやかさが生み出す押しの強い深瀬ポイントにおけるオトリのなじみのよさ、長竿ならではの掛けてからのアドバンテージ、パラボラチューン採用でタメが利き、取り込みもスムーズ…と規格外の11mだけがもたらす数々のメリットを実感できます。球磨川でのテストの際、釣り仲間から『もう歳で自分が立ち込めなくなってきたから、早く11mをリリースしてほしい!』というお声をいただきました。一般的に年齢を重ねれば短く軽い竿を求めるようになると思いますが、やはりそこは尺鮎の聖地・球磨川。いつまでも尺にかける熱い思いとロッドに求めるニーズが違うと思いましたね。」

100NP

使用モデル1

100NP

尺を抜く!! 秀逸バランス光る10mモデル

「100は初代ドラゴンフォースのアクションをそのまま受け継ぐモデル。荒瀬に潜む大鮎との真剣勝負、尺オーバーも抜き上げるパワーを徹底追求。この竿も初代ドラゴンフォースが発売された年からテストを開始。さらなる性能アップをテーマにスパイラルXの採用で強度と操作性を向上させ、エキサイトトップを搭載させたことで感度も格段に引き上げられています。荒瀬の大鮎に負けないパワー、自信を持って曲げ込める信頼感あふれる強度を手に積極果敢に攻め、ためらうことなく真っ向勝負に挑める大鮎ロッドです。」