タックルインプレッション

SHIMANO Tackle Impression

鮎鮎
[インストラクター]

TSUYOSHI OZAWA

小澤 剛

1970年生まれ。愛知県豊田市在住。ホームグラウンド・巴川。’03年第19回・09年第25回・15年第31回シマノジャパンカップチャンピオン。他にも数々の大会で王座、上位入賞を手にする現代最強のトーナメンター。

スペシャル競(きそい) FW NA

穂先を柔らかく
2~3番を硬く
「今最も釣れる調子」に変化

「今までロッド開発に携わってきたなかで気付いたことといえば、基本的に僕個人が好きなアクションは〝胴がしなやかで穂先部分は少し硬めの竿〟だということ」と語る小澤剛。もちろんそれは「小澤剛の勝負竿」として数々の競技会を制したスペシャル競 FWシリーズも例外ではない。しかし今回2019シーズンのフルモデルチェンジに際し、従来と異なる新たなアクションを加えることになった。
「今までのアクションにちょっと食傷気味? といいますか(笑)、今回のFWは少し変えてみようと。今の自分の釣りが普通にできて、しかしもう少し皆さんにも使いやすい竿ができないものか? と考えまして…。
どちらかといえば今まで僕がチューニングした竿は、自分の釣りやすい部分に照準を絞った“尖った感じの竿”が多かったので、それをもう少しマイルドに扱いやすくしたら良いのでは? というイメージです。
個人的に流れが強いところを釣ることが多いので、そのオトリ操作を支えるにはどうしても頭(穂先)が硬くないとやりにくかったんですが、リミテッドプロFWベリーベスト85から自分の好みよりも少し頭を柔らかくするかわりに2番、3番を若干硬めにして頭を支えるようなチューニングにトライしてみました。これが『すごくいい!』という声を多数いただき、自分自身で使ってみても細かい操作や泳がせ的なオトリ管理も非常にスムーズに行えると感じられました。これが、今回新たなアクションを取り入れてみようと考えた理由です」

引き+泳がせ操作
さらに入れ掛かるための何でもできるロッド

小澤剛といえば「引き釣り」の第一人者というイメージがあるが、現在の競技会をはじめ混雑した河川でコンスタントに数を叩き出すためには「泳がせ」的な要素を臨機応変にミックスさせることが欠かせない。平成最後の夏、さまざまな大会などで見せた立て竿操作でねらいを付けた一点を撃っていくような小澤流点撃ち泳がせ。イメージとしてはゼロオバセを基軸にわずかに泳がせ寄りの操作ということだろうか?
「そうですね。島啓悟さんなんかは頭が柔らかいRSソリッドで、そんな釣りを多用しますよね。僕の場合はソリッドまではいかないけれど、新たなチューニングでそんな釣りもしやすくなりました。どんどん泳がせるわけではないけど、オトリを目の前においてコネコネ動き回らせて泳がせまくるような。
つまりオトリ管理のテンションが弱い時は穂先で支え、強くなるにしたがい2番、3番で支えるイメージですね。特に今回のH2.6は完全にそういったチューニング。H2.75は北関東の河川をイメージしたのでH2.6に比べると少し穂先が強めですが、それでも今まで僕がチューニングした歴代ロッドに比べれば柔らかくなっています」
ということは、現在は穂先の柔らかい竿のほうが釣れるということだろうか?
「いや、そういうわけでもないです。極端なチューニングをしてきた部分が大きかったので、やっぱりスペシャル競 FWというロッドはある程度“何でもできる竿”でなければなりません。ロッドテンション系の釣りをもっと簡単にできないかと思ってそれを形にした感じですね。頭が硬い竿はゼロ感度に優れますが、そのかわりオトリ操作はよりシビアになりますから。ニューモデルはそこを少し柔らかくして“もっとイージー”に。で、2番、3番を強くして強い流れでオトリを抑え込むイメージです」

スパイラルXコア
エキサイトトップⅡがもたらす絶妙アクション

FW=「フェザーウェイト(羽根のような軽さ)」の名の通りクラス最軽量を追求したモデルである。しかし、その圧倒的な軽さゆえに華奢なイメージを覚えてしまう鮎師もいる。この軽さはそのままに、ブランクスにかつてない安心感を与えることでしっかりと曲げ込め、タメられるFWを世におくり出すことができれば歴代最強ではないか?
そこで今回開発陣は一般的な構造に対してネジリ強度で約1.4倍、つぶれ強度で約2.5倍ものブランクス性能を発揮するスパイラルXコアを採用するとともに、従来FWに用いられることのなかった設計手法を導入。その結果、曲げても今までにない安心感で確実に絞り込むことができ、ノサれる場面が激減。
さらに前記したように小澤剛が追い求める最新FWアクションを表現すべく穂先にはエキサイトトップⅡを採用。さらなる感度アップとともに引きも泳がせもより自在に管理できる絶妙アクションを生み出す陰の立役者とした。
「基本的にサオは曲がり込んでいくと、どこかでカチッと止まる瞬間があって、そこから先は浮かせる力に変わります。その時さらに強い力で魚に引かれると竿が持っていかれるようになって“折れるんじゃないかという怖さ”を感じるんですよ。
その点、今回のニューモデルはスパイラルXコアを採用したことで今までのモデルと比べるとその怖さがまるでありません。しっかり曲げ込めるので自然とパワーを発揮できる。竿をしっかり絞ってタメられるアクションに変貌しています。その証拠にH2.75なんてめちゃめちゃ曲げ込めるので、パワーロッドではないもののスペシャルトリプルフォース早瀬Vクラスをほうふつとさせるタメ性能がありますよ。
まぁ、普段あまり意識しないですが、いい意味での穂先のマイルド化といい、こうしたタメ性能の進化といい、やはりスパイラルXコアエキサイトトップⅡといった新しいロッドテクノロジーで竿の土台や細部をしっかりと作り込んでいるから…という印象を受けますね」

念願の初優勝
猛者揃いの競技会で証明
ニューFWの威力

昨夏、小澤剛はこのプロトタイプの竿を相棒に「小澤剛のラストピース」ともいうべき、どうしても掌中におさめたかったビッグタイトルを手にした。新生FWの今までにない能力が鮎釣り界のグランドスラマーともいうべき存在になるための原動力になったことは、数多くのロッドテストのなかでもひときわ強い輝きを放っている。
「そうですね、やはり新しいFWは自分のなかではガラッと調子設定を変えた感覚だったので、果たして大会で通用するだろうか? と。そんな時に猛者揃いの大きな大会で優勝できたことは、すごい自信になりました。これはもう間違いないと」
新たに誕生した今作のラインナップはH2.6 85、H2.6 90、H2.75 90の3モデル展開。どのモデルも歴代FWの長所を受け継ぎつつ、各機種とも新たに個性的なフィーリングを楽しむことができる。
「取り回しに優れるH2.6の85は新潟県北部に点在する天然遡上河川、紀伊半島の有田川上流、古座川上流、琵琶湖の安曇川のような小規模河川で威力を発揮すると思います。もともと個人的に短竿はオトリをピンポイントでウロウロさせるような釣りをイメージしてチューニングしていたんですが、この85はもっと広範囲にオトリを動かして探れる竿です。
H2.6 90は自分自身が普段使いできるように仕上げましたので、それこそプライベートだろうと競技会だろうとシーズンを通じて各地の一般的な河川のどんな場面で使っても、引いてよし、泳がせてよし…とにかく何でもできる非常にバランスが取れた竿に仕上がっています。どのモデルも真剣にチューニングしましたが、自分のなかではこの竿が最も好みのモデルかもしれません(笑)。H2.6の好適野鮎対応サイズは15~22㎝です。
H2.75 90は水量が多く規模の大きな河川の初期から盛期の釣りに気に入ってもらえるイメージに仕上がっています。胴にしっかりとした張りがあり、長良川郡上、那珂川、九頭竜川鳴鹿堰堤下流域などで18㎝超がガンガン掛かる時に使えば文句なし。好適野鮎対応目安は17~25㎝。応用力に優れるH2.75だけに一般的にはこのモデルを手にされる方が多いかもしれません」
クラス最軽量の軽さの追求はそのままに歴代最高の安心感でパワフルにタメられ、小澤 剛入魂の最新チューニングでかつてないアクションを身にまとったスペシャル競 FW。またひとつ覇者の利き腕が新たなる輝きを放つ。

プロセレクト TF NA / ZA

小澤剛が舌を巻く
驚異の完成度が光る早瀬90アクション

スペシャル トリプルフォース早瀬Vの開発に携わった小澤剛。新たに誕生したプロセレクト 早瀬90をテストした際の印象とは?
「う~ん…ビックリですよコレ(笑)。本当にこの価格帯でこんな竿作って大丈夫なの?と思うくらい、できがよいですね。
僕が担当したのは早瀬(H2.75相当)ですが、そこはやはりTFアクション。五ヶ瀬川でロケを行った際、現地を案内してくれた方が僕の釣りを見ていて『20㎝超がそんなに簡単に抜けるの!?』と驚いていました。
アクションとしてはクセのないパワーロッド。シーズンを通して安心して使っていただける仕上がりです。水量が多く押しの強い場所にマッチするので長良川、九頭竜川下流域、那珂川などのほか、神通川、相模川といった人気河川もバッチリでしょう。
スペシャル トリプルフォース 早瀬Vと比べるとブランクスに粘りがあるのでサイズ的には18~25㎝なら個人的にバンバンいけます。実際には独特のしなやかさもあるのでもっと幅広く対応できる印象です。パワーロッドながら小型は15㎝くらいまで対応可能。いやぁ~恐ろしい竿ですよ(笑)。コレ、一度使ってもらったらスグに分かります!」

プロセレクト FW NM

Very BEST 90NP

覇者が唸った脅威の好敵手
その手応えスペシャル競級
名手が認める驚きの完成度

リミテッドプロ、スペシャル競で磨き上げたロッドクオリティーをより身近に感じることをテーマに生まれたプロセレクト・シリーズ。2017年は小澤剛入魂の専用チューニングにより、従来このグレードでは追求できなかった感度、調子、軽さを獲得。まったく新しいFWアクションが誕生。「スペシャル競シリーズと言って手渡されたら、分からないかもしれない。ほとんどチューニングし直すところがない」と小澤に言わしめたほどの完成度を誇るプロトロッドをベースにさらなる入念テストを実施。「サブロッドとしての出番が多い80は上流域、支流、強風時をイメージした最も硬めの調子。85はメインロッドにもサブロッドにもなるため80と90の中間の硬さにセッティング。操作性も感度もよく、しなやかでオトリもよく泳ぐ80と90の長所が融合。90は最もしなやかでオトリが簡単によく動くうえ、弱りにくい。那珂川、相模川、狩野川、長良川など、どんなタイプの河川で使っても満足できるバランス」。現代屈指のトーナメンターをも納得させるプロセレクトFWの使用感。リミテッドプロFW、スペシャル競FWの牙城に迫る脅威のライバルは、このロッドかもしれない。

リミテッドプロ、スペシャル競で磨き上げたロッドクオリティーをより身近に感じることをテーマに生まれたプロセレクト・シリーズ。
昨年度鮮烈デビューを飾ったVSアクションに続く第二弾は、シマノ最新鮎ロッドの中軸を担うFWアクションがついに登場。
小澤剛入魂の専用チューニングにより、従来このグレードでは表現不可能だった感度、調子、軽さ、パワーを追い求めた、かつてないFWアクションが誕生。
リミテッドプロFW、スペシャル競FWの牙城に迫る脅威のライバルは、このロッドかもしれない。

覇者が認める
ジャイアントキラー

「これスペシャル競では?」
小澤剛を唸らせた驚きの完成度

リミテッドプロ、スペシャル競シリーズで実証した数々の競技会優勝実績がこの竿のポテンシャルを物語るように、現代鮎釣りにおけるひとつの指標として多くの鮎師を魅了するFWアクション。この夏、シマノは昨シーズン誕生した注目の最新グレード・プロセレクトのさらなる可能性を切り拓くべく、かつてないFWをラインナップに加えた。
チューニング担当は愛機リミテッドプロFW ベリーベストとともに’16年ジャパンカップ連覇を果たした小澤剛である。
「待ってました! プロセレクトFW。実をいうと僕はこのくらいのグレードの竿を真剣にテストして作り込んでみたいと、ずっと思っていたんですよ。’15年に誕生した新グレード・プロセレクトは第1弾としてVS85、90、93が発売されており、かなりできがよいと聞いていました。今回『プロセレクトFWを出しましょう』と言われた時は、楽しみで仕方ありませんでしたね。
テストしたのは80、85、90の全3モデル。どの竿もかなりの自信作になりました(笑)。もともと『こんな感じでどうでしょう?』と、最初にプロトを手渡された時、どの竿も『これはスゴイ!』と感じさせるほどの手応えで『これってプロセレクト・シリーズですよね?』と聞き直したくらいですからね(笑)。
『スペシャル競シリーズ』と言って手渡されたら、分からないかもしれない。ほとんどチューニングし直すところがない、という感じでした(笑)。
長良川を中心に矢作川、馬瀬川でいざ使い込んでみると、どの竿も問題なく使えましたがシーズンが進んで鮎が大きくなってくると掛かり鮎の『浮き』が遅く『FWにしてはちょっと粘りすぎる』。『抜き』のタイミングがつかみにくいのが気になり始めました。あと、オトリの動きを感じる一般的にいう「ゼロオバセ」が、もうちょっと分かりやすかったら、もっとFWっぽくなるのになぁ。で、穂先を硬くしたいとお願いして、少しずつ先の方を硬くしていきました。こうすることによって『浮き』も『ゼロ感度』もかなり高いレベルになり、僕のチューニングが盛り込まれた自信作、プロセレクトFWが完成しました」

80、85、90で入魂チューニング
長さと要望を見据えた専用調子

「80はサブロッドとしての出番が多いと思ったので、上流域、支流、風がかなり強い時をイメージして3本の中では一番硬めの調子にセッティングしています。この味付けによって、オトリをスムーズにポイントに打ち込んで操作したり、風切り性能が非常によくなったと思います。
85はサブで使うにはもったいない完成度です。普通にメインロッドとして使っても、きっと満足できます。サブ的な使い方もできるし、もちろんメインロッドでもいけるように使用感を80と90の中間の硬さにセッティング。85だから操作性も感度もよく、しなやかさもあるのでオトリもしっかり泳いでくれると思います。80と90のよいとこ取りになったと感じますね。
90は3本の中では一番しなやかにチューニングしました。オトリも弱りにくく、簡単に動くようになっています。FW調子なので、もともと操作性がよく、止めてよし、動かしてよしの、かなりの好バランスに仕上がっていると思います。那珂川、相模川、狩野川、長良川など、どんなタイプの河川で使っても満足できるバランスです。
この竿の特徴を一言で言うなら『THE FW』って感じですね。FWに必要な性能をすべて備えていると思います。逆に何で今までこのグレードでこうした竿ができなかったのか? と感じるほどの仕上がりです(笑)。
今まで『リミテッドプロやスペシャル競にはちょっと手が出ない。でもFW調子には興味がある!』と思っていた方に、ぜひ手に取っていただきたいですね。このクラスで過去にない感度、操作性、シャープな使用感が体験できると思います。感度がよいと友釣りがもっと面白くなりますよ!」
かつて実現不可能とされた、屈強の競技者をも納得させるプロセレクトの使用感。それはシマノが誇るロッド開発技術の進化と、この釣りと真摯に向き合い続けることで手にした豊富な実釣データの結晶にほかならない。 頂点に輝くリミテッドプロを見据えつつ、スペシャル競に肉迫するほどの能力を秘めた新たなプロセレクト。小澤剛入魂のFWアクションが、さらなる入れ掛かりをあなたにおくりとどけるに違いない。

PROSELECTの真実
シマノ開発陣の挑戦

PRO SELECT。文字通り鮎釣りのエキスパート達(PRO)が選んだ(SELECT)シリーズの意。この名前が復活した背景には、今の鮎釣りシーンに対してのシマノの本気が潜んでいる。ハイエンドモデルだけが最先端を行く鮎竿ではない。今こそ、リーズナブルかつ過去の歴史からは考えられないような高性能な鮎竿を。その構想を抱いて早何年。試作とテストを繰り返し、ようやく結実したものが2016年に発売されたPRO SELECT VSである。そして2017年、PRO SELECT FWが満を持して登場。シマノが鮎竿のセンター調子と考えるVS調子、そして今やシマノの代名詞FW。我々の本気が垣間見えてきたのではないだろうか。
鮎竿はなぜ釣り竿の中でここまで高額なのか。話はここから始まる。鮎竿は、長い。同じく長い本流竿よりも、硬さと感度が求められる。これは竿先で水中を感じ、掛かった魚を抜くためだ。長いだけならまだしも、硬く、軽く作る必要がある。自ずと必要とされるのは弾性率と呼ばれる数値が大きい(大雑把にいえば硬い)高弾性なカーボン材料である。しかし、カーボン材料は一般的に弾性率が高くなるほど飛躍的に高価になる。そして鮎竿はずば抜けてそのカーボンを使用する。カタログを見ていただきたい。鮎竿のカーボン含有率はほぼ100%に近い値を示している。つまり鮎竿は価格が低いものであれ、余計なものが一切ない、カーボンの塊。そうすると必然的に竿の性能(主に軽さ)を決めるのは、カーボン材料でしかないという、現実に直面する。そう、鮎竿の価格差というのはカーボン材料の差によるところが大きいのだ。
LIMITED PROクラスには惜しげもなく最高級材料がそれこそふんだんに使われている。PRO SELECTでその材料を使うことはできない。もちろん、他の釣り竿と比較すれば高弾性ではあるのだが。ではできないからと、価格が違うからと諦めるのか? そこにチャレンジしたのがPRO SELECTである。
大きく分けて二つのチャレンジがあった。

①PRO SELECTに使用する材料ならではの特性を利用すること。

②徹底的にフィールドテストを行うこと。

①弾性率の高い材料が万能であるかと言えば、シマノはそうではないと考える。確かに弾性率の高い材料を使えば使うほどに、同じ硬さの竿であれば肉厚を薄く作れ、軽さが出て、感度も向上する。しかし、独特のハリ感も生まれるのだ。これには好き嫌いがあると考えている。いわゆるピーキーな竿、遊びがない竿と感じる要因にもなる。これは鮎釣りのプロフェッショナルに、ある意味では照準を絞ったセッティングである。何が言いたいのか。つまり材料の弾性率が低くなると、同じ鮎竿を作ってもマイルドさが感じられるようになっていく傾向があるのだ。LIMITED PROがF1カーだとすればPRO SELECTが体現したのはスポーツカーといったところか。PRO SELECT VSにしろ、PRO SELECT FWにしろ、あえてしなやかさを意識したセッティング。LIMITED PROやSPECIALクラスに比べ、オトリ操作時の感覚は同程度、掛かってからは上位機種に比べてロック感を薄めてタメやすく感じられる硬さ、これを目指した。

②我々の過去の経験から導かれた一つの結論として、設計の腕の見せ所は、ハイエンドではなくその下位機種、である。ハイエンドは最高級材料が使えるがゆえに必然的に軽く高感度なロッドを作りやすい。それを材料の限られた下位機種の中で最適解を見つけられるからこそ、設計の腕が発揮されるのだ。そして、その設計ひとつ、セッティングひとつで、上のクラスに匹敵するロッドを作れる世界、それがPRO SELECT。VSしかりFWしかり、テスター陣がテストに費やした時間はLIMITED PROクラスを凌ぐ。じっくりと煮詰め、これならば文句なし、そういえる状態で登場したのがPRO SELECTなのである。

リミテッド プロ FW ベリーベスト NP

ゼロ管理の次は動きが必要 小澤剛が語る2代目進化論

「リミテッドプロFWベリーベストは僕がチューニング担当した初めての竿。ですから、このモデルに対する思い入れは相当なものがあります(笑)。
初代ベリーベストの開発では自分の釣りのキモである、オトリの重さや動きを感じる『張らず緩めずの釣り』=俗にいう『ゼロオバセ』と野鮎からの信号である『前アタリ』を感じながら探ることを誰にでも、どんな状況で使っても感じてもらえるような竿に仕上げることを目標にしました。
近年インストラクターとして実釣講習会や大会などで色々な方の釣りを見る機会が増えました。そこで実感したことは多くの釣り人が高いレベルで『ゼロオバセ』の釣りと『前アタリ』を感じながら釣っている…ということです。ただ僕から見るとゼロオバセの釣りを意識するあまり、オトリの移動距離が少なくなってしまっている方も多い。つまり『もうちょっと竿先を使ってオトリを動かしたほうがよいのに…』と思う場面が多くあるのです」

'15年H2.6で3度の優勝 硬すぎない竿がよく釣れるという事実

今回このオトリの動きを優先させるためシマノ開発陣は初代ベリーベストがH2.75であったのに対し、今作ではH2.6というワンランク柔らかい新たなアクションを用意した。釣りやすい野鮎はすぐに抜かれてしまう現代のフィールド事情、鮎師全体のレベルアップ、そして名人がしのぎを削る競技会を考慮すると「実際に硬すぎない竿のほうがよく掛かる」と小澤剛はその優位性を口にする。実際に小澤は,15年ジャパンカップでは九頭竜川の急瀬を舞台にスペシャル競H2.6で優勝を飾ったほか、今作ベリーベスト90プロトロッドでJFTアユトーナメント優勝、全日本鮎釣チーム選手権優勝(ともに長良川)、93プロトロッドでJFT全日本アユ釣り王座決定戦3位入賞(九頭竜川)など、目を見張る戦歴でその事実を証明している。
そんな点も考慮し「新作ベリーベストはオトリを引きやすく、オトリが動きやすいように何度もテストし、セッティングしました。ゼロオバセや前アタリを明確にしてエキサイトトップの性能をフルに発揮させることで、そこから先の『竿先を使ってオトリを広範囲に動かす』操作もしやすいように意識しました。初代ベリーベストで『ゼロオバセ』と『前アタリ』がわかっていただけたと思うので、ゼロオバセの釣りを基準にそこからオトリを引けるような釣りを意識してもらえれば、新作ベリーベストのポテンシャルを最大限に引き出せると思います。『ゼロオバセの釣りはわかった、もっと釣果を伸ばしたい!』という人にはぜひ使っていただきたいですね」

Very BEST 85

使用モデル1

Very BEST 85

シャープ感と風切りのよさ 滑らかなオトリ操作を追求

昨シーズン、新たなる「覇者の指先」としてフルモデルチェンジを果たしたリミテッドプロFWベリーベスト。小澤剛の愛機として’16年ジャパンカップ連覇を果たすと同時に名だたる競技会でも王座に輝き、優れた能力を実証したほか数々のベリーベストユーザーから新たな賛辞を頂戴した。
この夏、そのベリーベストにシリーズ初となる短竿モデルがラインナップされることになった。90の射程距離がありながら80の軽さと操作性に肉迫する、近年大注目の85レングスである。
「今回『ベリーベストの85を追加モデルとして出しましょう』と言われた時は『傑作チューニングしてやる!!(笑)』なんて思いましたが、いざ、どんな調子にしようか? と考えると僕は今まで80や85という長さの竿をテストしたことがなく、なかなか竿全体のイメージがわいてきませんでした。そこであらためて自分が短竿に求める性能は? 調子は? 今まで使ってみた80や85でよかったものは? ダメだと感じたものは? …と、考えていくと『こんな竿にしたい』というものが何となく見えてきました。
自分が短竿に求める性能は『シャープ感と風切りのよさ』。調子はあまりにも胴調子すぎないもの。今までよかった竿は胴がしっかりしていて、竿先がある程度しなやかなもの。短竿で胴調子すぎるというか、柔らかく感じすぎてしまう竿は、短竿のよさが消えてしまうと感じました。
この竿の個性を一言で表現するなら『85のよさであるシャープ感と風切りのよさは残しつつ先端部を少ししなやかにして、オトリの滑らかな泳ぎを消さない竿』というイメージです」

Very BEST 85

85だけのベストアンサーがH2・6寄りのH2・75調子

「,16年にベリーベスト90と93が出ました。両者の特徴は、硬さをH2・6にセッティングしたことです。その理由はオトリが滑らかに、広範囲に動くように「もっと竿を使ってオトリを動かしてほしい」という思いからです。ここにこだわって少し柔らかめのH2・6にしました。
実際に河川の水量や規模、野鮎のサイズに対して硬すぎる竿は『オトリが弱りやすい』『オトリの沈みが悪い』『オトリの動きが硬い、広範囲に動きにくい』といった理由から、釣果が伸びにくいと感じます。これは僕が長年友釣りをやってきた経験則です。だから僕は『今の河川状況ではちょっと柔らかいかなぁ』というくらいを選ぶようにしています。これがオトリの弱りが遅く、沈みもよく、オトリが滑らかによく動き、勝手によく釣れる要素だと思います。
ですが、今回のベリーベスト85は硬さをH2・75にチューニングしました。『何だ! 柔らかめの竿が釣れるんじゃないの? 矛盾してるじゃないか!』と言わないでください(笑)。これは僕が短竿に求める性能である『シャープ感と風切りのよさ』が竿をしなやかにしすぎると、あまり感じられなくなってしまうからなんです。だからH2・75なのです。
しかしこの85はH2・75でも少し柔らかくしてあり、H2・6に近いH2・75になっています。また、竿先部分をややしなやかにすることにより硬さはH2・75だけれど、操作感やオトリの動きはH2・6感覚で使えるようにしました。『短竿のよさを消していない、しなやかな短竿』。うまく仕上がったので、ぜひ一度触ってみてください。
今回の85は『こんなふうに使ってほしい』という縛りは特にありませんが、昨年発売された90、93同様に竿先を積極的に使ってほしいと思います。90、93の時もそうでしたが、FWに特に苦手な状況はないと思っています。25㎝を超える魚ばかり掛かる時や大河川の立ち込み釣りは無理ですが、一般的な河川で一般的な野鮎サイズならば、どんな状況、どんな釣り方でも対応できると思います。僕自身は『軽い万能ロッド』だと思っていますね。ですから85もどんな河川でも安心して使ってもらえると思います。
ただでさえ軽く、操作性がよいベリーベストの85。短竿にすることでランクアップした感度、操作性、軽さを、ぜひ体験していただきたいですね」(小澤 剛)
短竿ならではの操作性と風切り性能を追求しながら、理想のオトリ操作を表現できる能力を身にまとった戦略的なH2・75アクション。軽量性と取り回しのよさでスレた激戦区に斬り込むもよし、強風に悩まされる状況下で手にするもよし、体力的な負担をカバーし楽々と至福の入れ掛かりを堪能するスタイルも85ロッドの特権といえる。この夏さらなる能力に磨きをかけた覇者の指先を使いこなすのは、この竿を選ばれたあなたなのだ。

Very BEST 93NP

使用モデル1

Very BEST 93NP

糸張りだけでオトリが動く 新たに生まれた93の威力

そして今作ベリーベストに93という新たな長さが加わった。「93は僕が『もっと簡単に広範囲にオトリを動かせる竿がほしい』とわがままを言って開発に至ったもの(笑)。モロに自分の好みで『こういう竿がほしい!』と言ってチューンさせてもらった竿です。上でも述べましたがオトリをもっと広範囲に動かしたほうが野鮎からの反応がよい場合や、オトリを大きく動かした釣り方が合う河川に向くような竿に仕上げています。軽く糸を張っただけでオトリが暴走するというか、オトリが簡単に動きだします。90より30㎝長いだけですがオトリを引いた時の突っ張り感も消え、余裕を持って滑らかにゆったりとオトリを引けると思います。また30㎝長い分オトリとの距離や引き上げられる距離も大きく感じられるはずです」

Very BEST 90NP

使用モデル1

Very BEST 90NP

90は川底変化に富む河川 フラットな釣り場は93攻略

「90、93とも、どんな釣り方にも、どんな釣り場でも問題なく使える得意不得意の少ない竿ですが、90は大石が点在するような変化の多い河川で竿の性能をフルに発揮してもらえるはず。93はどちらかといえば変化の少ない河川、川底がフラットな河川で威力を実感できるでしょう。また両者は同じベリーベストですが、けっこう調子が違います。93は90の延長線上にある竿ではありません。それぞれ個性があるので自分の好みと『こんなふうに使ってみたい』といったイメージに合うほうを手に取ってみてください。きっと強力な武器になってくれると思います」小澤剛が注目する釣れるオトリの動きを演出するH2.6アクションで生まれ変わった2代目ベリーベスト。単なるゼロ管理を軽々と超越し、さらなる世界を創造する競技系軽量オールラウンダーの新たな頂点の輝きに触れるのは選ばれたあなたなのである。