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素晴らしき投釣りワールド

【素晴らしき投釣りワールド】:VOL.212 ~2017シマノ ジャパンカップ投げ(キス)釣り選手権全国大会を振り返って~

草野 満
草野 満
富山県黒部市在住。シマノ・インストラクター。
幼稚園の時に釣りを始め、投げ釣りは小学校3年生から始める。
ジャパントップキャスターズトーナメント優勝 7回、第24回シマノ・ジャパンカップ優勝。
投げ釣りが中心だが、プライベートではルアー、船釣り等も楽しんでいる。

投げインストラクターの草野です。先日行われた2017シマノ ジャパンカップ投げ(キス)釣り選手権全国大会において、2008年の大会に続き2回目の優勝をすることができました。そのことについて振り返ってみたいと思います。

昨年はインストラクター争奪戦に初めて勝つことができ、7年振りにファイナルに出場し、何と3位に入賞できたおかげで、今回はシード選手として出場することができました。一昨年までは自分の得意とする遠投での釣りでは釣果がぱっとせず、6年連続でインストラクター戦で敗退し、暫くファイナルに縁のない状態でした。だが、昨年あたりから弓ヶ浜では遠投のほうが釣果を得られることが多くなり、自分の長所を活かす釣りができ、昨年度もファイナルで3位に入賞することが出来ました。今年も事前の情報では遠近両方で十分釣れているという話が伝わったので、今年も何とか3位に入り、翌年のシードを獲得できれば十分という思いでした。

大会の前日9時ころに弓ヶ浜に到着し、久しぶりに使うスピンパワーSC405X2にスーパーエアロキススペシャルのコンビにKISU SPECIAL EX4 PE テーパー0.3号を巻き、タングステン34.5号の錘を付け、本番と同じタックルでの試し釣りを行いました。仕掛けは掛けキス5号5本針にイシゴカイをつけ、1投目から思い切りフルスイングです。糸ふけを取り9色目の半ば付近からキスのいる場所を確認するため、ゆっくりさびいていきます。ところが9色目はあまり反応がなく、小さな反応を感じつつも大型サイズのシグナルがありません。8色目に入るとすぐにいいアタリがあり、竿先にゴンゴンとアタリが出ます。この距離でのいいアタリは、間違いなく良型のキスであり、巻き上げると20cm超えが2匹と15cmサイズが2匹の4連でした。この後は何処でも同様に釣れて来るので、明日からは自分の得意とする遠投一筋で勝負することに決め、早々に試し釣りを終えました。

さて初日です。1試合目はBブロックでの勝負です。タックルは試し釣りと同じで、エサだけがチロリに変わっただけであり、1投目からフルスイングです。近場を攻めるつもりは全くありませんが、周りの選手たちは朝の時間帯なので近場を攻めているようです。周りを気にするのをやめ、竿先に集中すると9色目半ばからアタリが入り、今日も沖にキスがいる事が確認出来、気分が楽になりました。8色目に入り回収を始めると、すぐにいい感じの重量感を感じ、ワクワクしながら回収すると20cmを頭にまあまあサイズが数匹ついていました。「よし、この調子で1回あたり100gは釣るぞ!」という気持ちでフルスイングの連続です。2投目以降もさびいている途中で大きく喰い上げるような大型キスのアタリが毎回あり、毎回素針なしの状態であっという間に90分が終了しました。プライベートでキス釣りを楽しむような状態で、途中からは自分の釣りで忙しく、全く周りを見ていませんでしたが、検量に行くと他の選手はそれほど多く釣っていないようです。結果は1200g余りを釣り、2位の人の倍以上の釣果で断トツの1位。自分の釣り方が、間違ってないことを確信し2試合目以降も遠投一辺倒で望みました。
 第2、3試合目は陽も高くなり、1試合目ほど多くの釣果はありませんが、9色目には必ずアタリがあり8色目に入りしばらくで回収するパターンを機械的に繰り返すことで、素針なしで回収することが出来、全ての試合で1位通過することが出来ました。ここまでの3試合は、最初に入った場所から一切移動せずに釣っていたことから、今年の弓ケ浜は、場所にあまり関わらず、遠投さえすればキスは釣れるという自分にとっては好都合の条件が揃っていたようです。

その夜の懇親会は、3試合とも1位だったこともあり、気分よく参加者の皆さんと懇談し、胃袋が満たされない状況だったので日置さん、山本修さん等と2件目の中華料理でさらに腹を満たし、明日へのエネルギーを充填し、ぐっすり睡眠をとりました。

さて勝負の2日目です。これからの試合で順位を悪くすればあっという間に3位以下になってしまうので、全く気の抜けない勝負になります。5試合を実施するというシステムは、初日の上位者にとっては、逆転される可能性が十分残る非常につらいシステムですが、逆に初日が中位までの人にとっては、十分にチャンスが残っている状態になるので、選手が真剣に5試合を戦うことが求められるシステムになっています。「偶然やラッキーの割合を少なくし、真の実力を決める方法」ということをシマノスタッフが言っていましたが、選手にとっては肉体的にも精神的にも非常にタフなものとなります。若いと思っていた自分も40台最後の歳になり、30代までの頃の勢いはもうありませんが、ここまで来ると心で負けないように気合を入れての勝負です。

4試合目も昨日同様に1投目からフルスイングです。問題は沖に魚が居るかどうかだけです。
 幸いにも1投目よりアタリが出て魚影があることを確信し、昨日と同様に遠投釣法に徹しトラブルなくあっという間の90分が終了です。釣果は昨日と比べていまいちでしたが、周りはさらに釣れておらず、結果は何とまた1位で通過です。これで5試合目は、ブロック中位までで決勝進出が決定です。気分が楽になったせいもあり、5試合目はかなり楽な気分で臨めました。試合では、関東の河合選手が前日に宣言していたとおり、自分の右隣に入って来られて、二人での遠投勝負です。ここでも気持ちよく遠投の釣りを従来どおり実施出来、それなりの釣果を得ることが出来、あっという間の終了です。そして何と5試合目も1位通過です。予選5試合とも1位通過という夢のような結果で終了です。しかも5試合目は占有率約40%と5試合の中で最も良い占有率での終了です。出来すぎの結果での予選終了となりました。

さて、決勝は河合選手、清水選手との勝負です。30分ずつ3ブロックを回るというシステムは時間が短く苦手な戦いです。しかも予選で使用していないエリアを使うので、近場で釣れたら圧倒的に手返し回数の多くなる近場が有利になります。嘆いてもしょうがないので、従来どおりの遠投一辺倒で勝負です。ホイッスルが鳴りフルスイングで遠投しますが、未使用の場所の割にアタリが少ないし、大型特有のアタリもありません。釣れない事はないのだが30分では3回か4回しか投げることができません。河合選手は隣で良型を釣っているのが見えてきます。この5試合で体験しなかった「焦り」というものを始めて実感する展開となりました。自分も釣れないわけではないのですが、大型サイズが居ない、数もイマイチという状態が続き、従来まで感じていた手応えがない。この状態はブロックを移っても続き、「焦り」が高まる一方です。そして残り5分、ラスト一投と思い、渾身の力でフルスイングした瞬間「プツッ」という音とともに道糸が切れ、5分残して終了です。もう準備しても時間がありません。「あと一投したかった」とう悔いを残しての終了は情けない限りです。心の乱れがキャスティングに影響を及ぼしたのだと思います。「ああ、負けた。予選5試合とも1位だったのに情けない。」という思いのまま運命の検量です。清水選手、河合選手もそれなりに釣っておられます。ただ、想像していたより大型は多くいません。自分の魚は大型こそ居ませんが、手答えがなかった割に、そこそこサイズが数多くいます。結果は負けたと思っていたのに100g差での優勝です。もう夢のような心地です。「もう勝てることはないだろう」と思っていたジャパンカップに40台最後の歳に優勝出来、感無量です。

今回は、たまたま自分の釣りが、今年の弓ヶ浜の状況に適合しただけで釣技でなく、キャスティングで勝たせてもらったようなものです。来年はディフェンディングチャンピオンとして2連覇を目指しますが、釣り方は変えず結果を気にしないよう頑張りたいと思います。