へら釣り名手の釣行記 “一竿風月”

岡田 清×杉山達也
「普天元 獅子吼」共演。
2人のレジェンドが、休日の筑波流源湖を熱く釣る。【後編】

この2人が並んでいる姿を見るだけで思わず胸が熱くなってしまうのは、筆者だけだろうか…。
メジャー7冠。トーナメントモンスター・岡田 清。
不世出のウルトラスーパーテクニシャン・杉山達也。
ともにシマノのテスターを務めるレジェンド2人が今、「普天元 獅子吼」降臨を機に、大いに釣り、大いに語る。
舞台は日曜日の筑波流源湖。状況はこの2人を歓迎するかのように、流源湖では珍しいくらいの喰い渋り状態に…。
しかしそんな「緊急事態」も愉しんでしまうかのように、それぞれの持ち味を存分に生かした釣りを展開していくレジェンド達。
さあ、皆で幸せな時間を共有しようではないか…。

前編記事はこちら

予想外の展開

予想外の展開だった。 いくら日曜日とはいえ、そこは筑波流源湖。「朝は良くない」との最近の傾向からも、ウキが動き出せば問題なく釣れ始まるだろうとタカを括っていたのだが…。
「いやぁ、今日はおかしいですね。」
流源湖に慣れた杉山も、開始から3時間が経過してもいっこうに上向かない釣況に、異変を察知し始めていた。
岡田に至っては、1枚目を釣った後もまったくアタリが続かず、カウントは「1」のまま…。
「ちょっとエサを変えてみます。」
杉山はそう言うと、締めエサを「オペレーション」から膨らみのいい漂い系の「ニュート」にチェンジし、「動きを出す方向」にスイッチする。これでウキの動きは増えるが、「無理やり動かしている感じで、まだまだイマイチですね」と首をかしげる。
対する岡田も、「へらがいないわけじゃないし、まったくアタらないわけじゃない。もっと渋ればセットなんだろうけど、そこまでじゃない感じが逆に難しいよね。ハマってるよ(苦笑)。」と心境を吐露する。岡田の釣りに杉山も、「ちょっとブルーギルが多過ぎますよね。ギルが喰ってきちゃうということは、それだけへらにやる気がない証拠ですよ。」とコメントする。
「ちょっと方向性を変えてみるね。」
岡田はそう言うと、エサをスイッチ。

凄麩
200cc
バラケマッハ
200cc
カルネバ
200cc
浅ダナ一本
100cc
250cc
コウテン
100cc

思い切って「凄麩」、「マッハ」をベースにした開きのいいエサに変え、より積極的に寄せながら釣っていくパターンにシフトしてみる。ハリスも40-50cmに長くする。
しかし、これが不発。確かにアタリ自体はグンと増えたのだが、これがことごとくスレ。ほんの時折イレギュラー的に釣れるだけで、「これは違うね」と呟いて最初のエサ、ハリスに戻す。
「動かす方向にもっていくと動きは出るんだけど、だからって釣れるようにはならない。メーターもチョーチンも同じですね。」と杉山。こちらも苦心の釣りが続く。
予想外の喰い渋り。しかし、なぜか2人はますます真剣で、愉しそうにすら映る…。
「これでこそ日曜日の釣り。いいね。燃えちゃうね。」
岡田が呟く。
そしてそれに対し、杉山も小さく頷いた…。

「流源湖はスロースタートで、朝は意外に深いタナがいい」という傾向を熟知していた杉山は、「普天元 獅子吼」19.5尺のチョーチン両ダンゴからスタート。締まった小エサで拾い釣りに徹し、プランどおりポツポツ絞るが、時間が経っても釣況は上向かず…。

「『獅子吼』の短竿ラインのポテンシャルを証明したい」と、岡田は9尺メーター両ダンゴで流源湖に真っ向勝負を挑んだ。しかし時間が経ってもなかなか上向かない「緊急事態」に、苦心の釣りが続く。しかしある意味、それも岡田らしい…。

この日、岡田が持ち込んでいたのが、シマノ「へらバッグXT」シリーズの新色、「ブラックブラウン」。非常に大人っぽいカラーリングで、釣り場で目立っていた。

普天元 獅子吼」発売を記念し、写真のポーチが登場予定。万力や小物を入れるのにジャストサイズで、その質感も素晴らしい。「獅子吼」ファンは必携!

動く杉山。貫く岡田。

正午、杉山20枚、岡田12枚。完全な「緊急事態」である…。
「ここ連日のゲリラ豪雨が影響しているのでしょうか。今日は喰いが上向くどころか、逆に渋くなっていっているような気さえします。完全な雨待ち地合であるこことも影響しているのかもしれません。」
周囲からもボヤキが聞こえてくるほどの渋さで、杉山と岡田の釣果でも「釣っている方」なのである。
ここから杉山が、積極果敢に動く。
まず竿を19.5尺から、18尺に短く。「こういう時、1尺刻みより1.5尺刻みの方が、明確に違いを感じ取れて、かつ行き過ぎない感じがいいですよね。」と、竿替え直後に連続して良型を絞る。これは決まったかと思えたが、しかし、すぐにアタリを失ってしまった。
「もっと上ですね。いや、下にもまったくいないことはないし、いつもの流源湖ならどうにかなるんですが、この状況だと今日は深いタナは危険です。」
冷静沈着な杉山。18尺は20分ほどで切り上げ、ロッドケースから「普天元 獅子吼」12尺を取り出した。
「短竿だと岡田さんとウキの位置が揃ってしまうので、ちょい長めにします。」
12尺メーター。ウキはボディ6cmで、ハリスは35-45cm。ハリは6号。エサは「矢野ブレンド」(「コア・ペレ」100cc、「ピュア・アルファ」100cc、「コア・ライト」200cc、水200ccで30回ほど練り込み、「コア・ライト」100ccを入れて再度30回ほど練り込んだもの)のペレ宙だ。
流源湖では実績十分のペレ宙。期待が高まる。また「獅子吼」の中尺に関して、杉山は以下のように分かりやすく解説してくれた。
「よりしっとりと質感高く、かつ魚が『浮く』ようになった短竿。そして、よりシュっとして取り回しが良くなった長竿に対して、中尺は『よりオールラウンドになった』という表現でいいと思います。
中尺の竿って、浅ダナとかチョーチン、底釣り、ペレ宙など、色々な釣り方に使うと思うんですよ。だからこそオールラウンドでなければならないと私は思っています。1本で色々な釣り方で違和感なく使えて、大型が来てもかったるくなく、それでいてもちろん、『普天元』らしい世界観も存分に感じられる竿。特に10.5尺から13.5尺にはシマノならではの半無垢穂先が採用されていて、この穂先の動きがまた秀逸なんですよ。」
ペレ宙に変えるとすぐに1枚目を絞った杉山だったが、やはり後が続かない。
「下(チョーチン)より明らかに魚はいますが、やはり喰いは渋めで、そしてまだ微妙にタナが高いんですよね。」
この様子を見ていて迷いが吹っ切れたのが、9尺メーターを貫く岡田だった。
「達っちゃんの試行錯誤は、隣で見ていても本当にタメになるよね。」
何か閃いたのか、岡田はウキを「Dゾーン」5番にチェンジ。あえてウキの番手は上げたうえでハリスを40-50cmに長くし、メーターより上にいる大型に的を絞る。最初のエサには手水が入って極ヤワとなり、そのぶん、ハリを7号にサイズアップして「ギリギリ持たせる」。
こうなると岡田 清は強い。
状況が状況なだけにイレパクには程遠いものの、時折やってくる鋭い早めのアタリを確実にとらえ、ついにカウントが進み始める。
「さすが岡田さん。この状況でも、悪いなりに釣りを決めてきますよね。」
一気に巻き返し始めた岡田を横目に、杉山も燃える。
エサをペレット系から、「ザ・コア」、「ニュート」各100ccで30回程練り込み、さらに「コア・ライト」100ccで締めた「軽く、漂い系のエサ」にチェンジして、岡田同様、早いアタリで拾い始める。
「面白いですよね。今日一番型がいいですよ。」と杉山。釣り方がこの日の状況にマッチしているのか、ここにきてようやく流源湖らしい体高のあるキロクラスが交じり始める。そして、そんな大型が来ても「獅子吼」はビクともしないどころか、ゆったりタメているだけで静かに浮き上がらせてしまうのだ…。
「ほんと、釣り自体には燃えているんだけけど、魚を掛けた時だけは一瞬時が止まるというか、渋い状況を忘れちゃうよね。」
岡田の言葉に、杉山も笑顔で頷く。
正解を求めて積極的に動いた杉山と、「動かざること山の如し」でメーターを貫いて決まりを出した岡田。最終釣果は杉山35枚、25kg。岡田26枚、20kg。
残念ながら流源湖にしては想定外の喰い渋りとなってしまったが、渋いからこそ2人の持ち味が存分に発揮された、見応えある「共演」だったと思う。

9尺メーター両ダンゴを貫く、という「らしい釣り」を展開していった岡田。隣の杉山の釣りもヒントにしつつ、ラストは上のへらにターゲットを絞った迷いのない釣りで、ついにペースアップ。早いアタリで大型を立て続けに絞った!

チョーチン、ペレ宙、そして最後はライト系の浅ダナ…と納得いくまで「動いた」杉山。厳しい状況の中、いかにも彼らしい試行錯誤を続け、最後にはご覧のような流源湖ならではのキロアップをキャッチして会心の笑顔!

シマノフィールドテスター
岡田 清

1968年生まれ、神奈川県横浜市在住。
シマノジャパンカップへら釣り選手権大会は01年、02年と連覇し、03年は準優勝、09年に3回目の優勝をした。
ジャパンカップと同様に予選会のある全国大会で通算7度の優勝を記録。「日本最強のトーナメンター」またの名を「鉄人」「トーナメント・モンスター」とも呼ばれる。

シマノインストラクター
杉山 達也

1978年、栃木県生まれ。
03年シマノへら釣り競技会 浅ダナ・チョウチン一本勝負!優勝。シマノジャパンカップへら釣り選手権大会は05年準優勝、07年優勝、08年準優勝。 他、多数入賞。神の右手と称されるエサ合わせの妙技により、飛沫を上げ続ける姿から、人呼んで「スプラッシャー」の異名を持つ。

PAGE TOP