へら釣り名手の釣行記 “一竿風月”

「嵐月」&「閃光L」で挑む。
岡田 清、三島湖桟橋で、“聖地”の大型と知恵比べ。【前編】

三島湖ともゑの桟橋に、超大型の気配あり――――――。
そんな情報をキャッチした我々は、意外なこの人に実釣取材をオファーすることにした。
泣く子も黙るトーナメントレジェンド・岡田 清だ。
すでにみなさんご存知のとおり、岡田は野釣りのスペシャリストでも何でもないが、それだけに、読者のみなさんと同じ新鮮な気持ちで“聖地”三島湖と対峙してくれると思ったのだ。
「ほんと、ワクワクする! やってみたい釣りもあるし、俺なりの釣り方のイメージはあるので、どうなるかは分からないけど、ありのままを書いてもらえればいいと思う。ある意味釣果度外視の部分もあるので、まったく釣れなかったら…ゴメンね(笑)」
聞けば尺半クラスの「巨べら」も交じるという、ともゑ桟橋。しかしそれだけに数は望めず、一歩間違えば貧果に終わることも十二分に予想された。しかも釣り人は、基本、管理釣り場が釣行の主である岡田 清だ。
しかし岡田は、氏ならではの「浪漫」と「こだわり」も見せつつ、自分なりのやり方で三島湖の超大型ににじりよっていくのだった。

三島湖「ともゑ」桟橋!

12月9日(水)、トーナメントレジェンド岡田 清は、意外な釣り場にいた。野釣りの”聖地“、千葉県房総のダム湖、三島湖である。
 「今日は本当に愉しみにしてきたんだ。ワクワクするよね。」
 舟宿「ともゑ」に到着すると、さっそくスタッフの森 和人さんをつかまえて状況を確認。今日の狙いはボートではなく、ズバリ「桟橋」での釣り。近年「ともゑ」ではボートに慣れない初心者や女性の方達のことも考慮して桟橋釣りを整備、推奨しているのだが、その桟橋の岩盤向きで、尺半クラスの超大型が狙えるのだという。
「型が型だけに数は望めないかもしれませんが、もしかしたら50cmクラスも夢じゃないかもしれませんよ。」
 森さんの言葉に、岡田の眼がさらに輝きを増す。
 トーナメンターのイメージが強いが、岡田は何も「野釣りはやらない」などという野暮な釣り師ではない。その逆だ。春になれば乗込みの巨べらを追い求めて走ることもあるし、チャンスがあれば三島湖のようなダム湖の釣りも若い頃から愉しんできた。
 そんな岡田だが、謙虚にこう話す。
「野釣りのスペシャリストのみなさんからすれば、俺なんて素人同然。でもそれでもいいかな、と。読者のみなさんと同じ視点で今回の三島湖を愉しめそうだからね。」
 そんな岡田のアングラーとしての姿勢も見越して、「ともゑ桟橋で超大型が喰っている」との情報をキャッチした筆者は、あえて野釣りのイメージが薄い岡田に今回の釣行をオファーした。歓んで小躍りするように快諾してくれた岡田に、良い取材になる予感を感じて――――――。
 しかし、さすがに初冬のダム湖。しかも相手が百戦錬磨の三島湖の超大型とあって、予想以上の苦戦が展開されていくこととなる・・・。
 取材日は朝からあいにくの小雨。しかも気温も6℃と低く、最悪のコンディションとなってしまった。しかし颯爽とダウンウェアを着込み、ウエストタイプのライフジャケットを装着した岡田は、長いともゑの階段をスキップでもするかのように桟橋へと降りていくのだった。

“へら鮒釣りの聖地”として古くから燦然と君臨する三島湖。ボート釣りがメインの憧れの釣り場であるが、近年、舟宿「ともゑ」では「初心者大歓迎」の姿勢を明確に打ち出し、手軽な桟橋での釣りも積極的に推奨している。広大な湖面に漕ぎ出すボートの釣りはもちろん魅力的だが、初心者や女性の方達にとっては少し敷居が高いのも事実。しかし舟宿下の桟橋釣りなら安全面や食事(ともゑでは昼食として美味しいカレーやピラフなどを用意)、そしてトイレの問題等も全て解決。また、エサを打つ場所が固定されていることで魚の付きも良く、「釣れる」。近年はバスフィッシングとの共存も果たし、関東の淡水釣り場の聖地としての地位も確立しつつある三島湖。ボートが苦手でも、手軽にダム湖の釣りを愉しむことができるようになっているのは嬉しい限りだ。

釣り可能なドン深のエリアにはガッチリとしたスノコが敷いてあり、まさに管理釣り場感覚(大人数での利用時は事前に要確認)。特別な用意は一切不要で(ただしライフジャケットは必ず着用のこと)三島湖の釣りを存分に愉しむことができる。
事前情報ではかなりの大型が釣れているということで、「今日は数はいいんだ。1枚でもいいから、できるだけ長い竿、深いタナで三島湖ならではの大型の引きを愉しみたいよね」と、岡田も眼を輝かせての入釣となった。

●竿
シマノ【朱紋峰 嵐月】16.5尺
●ミチイト
0.8号
●ハリス
上0.5号 下0.4号 30-70cm
●ハリ
上 8号 下 4号 
●ウキ
一志【PCロング】
(PCムクトップ仕様 羽根B11cm ※エサ落ち目盛は全13目盛中、7目盛沈め)
●タナ
チョーチン

●バラケ

コウテン
400cc
段差バラケ
200cc
カルネバ
200cc
250cc
浅ダナ一本
100cc

●クワセ

グルテン四季
50cc
75cc
グルテン四季
20cc

岡田がイメージしてきた釣りは、こうだ。
釣り方自体はオーソドックスなチョーチンのバラケ&グルテン。しかし無垢な新べらではなく、その真逆であるかなり手強い三島湖の地べら化した大型が相手ということで、管理釣り場的なアプローチを試みようとしていたのである。
具体的には、まずバラケは野釣りらしからぬしっとりめで、当然ナジミは浅め。ロングムクのウキと長めの上ハリスでそんなバラケをゆっくり漂わせ、落ち込みで十分にサワらせておいて、さらにはクワセのグルテンもあえて開くタイプを使ってクワセへのウケも誘発し、早いアタリを狙っていく・・・という作戦だった。
あとは竿の長さ、つまりは「タナ」だが、「浅めでもアタる。ウキの周りにはへらが見えるくらい」という事前情報から、まずは中間的な「朱紋峰 嵐月」の16.5尺をチョイス。そこから実際にエサを打っていって上か下か判断する腹づもりだったが、「せっかく三島湖に来たのだから、出来れば長めの竿で釣りたい」と、短竿での管理釣り場的な釣り(例えばウドンセット等)は封印してきたという。そのあたりには岡田ならではのこだわりというか、釣り師としての「矜持」を感じさせた。
さて、準備が整った7時過ぎ、冷たい小雨がパラつく中で第1投を綺麗に落とし込んだ岡田。目前には三島湖独特の地層模様を擁する岩盤が迫り、まるで豚小屋ロープでボート釣りをやっているような雰囲気だ。
「ん? もう気配が出てきたよ・・・。」
僅か5投目。なんと、ウキには早くもモジモジとしてサワリが出始めていた。そして驚くべきことに、ウキの周りに数枚のへら鮒の影がはっきりと。もしかしてこれはイージーな展開になる?
いやいや、そんなことはなかった。

取材日は朝から小雨が断続的に降り続くあいにくのコンディション。そのせいか舟宿のスタッフによると「意外とタナは高めかもしれません」とのことで、岡田が想定してきた最短の長さである「朱紋峰 嵐月」16.5尺から釣りをスタートする。釣り方は竿いっぱいのバラケ&グルテンの深宙釣りだ。
こういった野釣りでは、中尺まではシマノきってのオールラウンダーである「朱紋峰 嵐月」、そしてそれ以上の長さは軽量な「飛天弓 閃光L」のコンビでいくという岡田。「嵐月」はどんなシチュエーションにも似合う使い勝手のいい硬式先調子でありながら、「嵐水」、「嵐馬」…と着実に進化してきた歴史を感じさせる、シマノらしい淡麗感溢れるしっとりとした感触もある「間違いのない」オールラウンダーに仕上がっている。

軽くしっとりとしたバラケ、開くクワセ、ロングムクのウキ、沈め気味のエサ落ち設定、長めの上ハリス…。一筋縄ではいかないであろう三島湖の大型を相手にイメージしてきた岡田の釣りは、明らかに「落ち込み勝負」を意識した、非常に「らしい」ものであった。へらの気配も早めに出て、イージーな展開すら予想されたのだが、しかし、それはあまりに甘過ぎた・・・

どちらかといえば両ダンゴのベースエサである「コウテン」を主役に、「カルネバ」や「浅ダナ一本」で軽さとネバ感を強調したバラケを小さめに付けて打っていく岡田。さらに特徴的なのが長めの上ハリスとムク系のウキ。気難しいであろう三島湖の大型を落ち込みの早いアタリで攻略するべくイメージしてきた攻め方だった。クワセにあえて膨らみの早い「グルテン四季」をチョイスし、ボソを強調する作り方をしたのも、そんな狙いだったのだが・・・。

岡田 清
シマノインストラクター
岡田 清

1968年生まれ、神奈川県横浜市在住。
シマノジャパンカップへら釣り選手権大会は01年、02年と連覇し、03年は準優勝、09年に3回目の優勝をした。
ジャパンカップと同様に予選会のある全国大会で通算7度の優勝を記録。「日本最強のトーナメンター」またの名を「鉄人」「トーナメント・モンスター」とも呼ばれる。

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