へら釣り名手の釣行記 “一竿風月”

トーナメントモンスターが魅せる、
「春セット」の極意。【前編】

新機軸として話題を読んでいる「ボーダレス」シリーズ。釣り方のみならず魚種さえも超越した、まさに「境界なし」の全18種にも及ぶニューロッド群が大いに話題を呼んでいる。そしてついに発売された「へら鮒釣り」を中心に据えた「ボーダレスGL Nモデル」。コイやレンギョ等が掛かっても微動だにしない「剛」の印象から、春の野釣りシーズンとも相まって、今のところ大河川等での超長竿がクローズアップされている。
しかし、そこに待ったをかけたのが「トーナメントモンスター」の異名を取り、シマノフィールドテスターでもある岡田 清だ。
「ボーダレスは短竿も最高だよ。特に椎の木湖なんかはベストマッチで、例会やトーナメントでも『飛天弓 皆空』と並ぶファーストチョイスになるんじゃないかな」
管理釣り場、しかも椎の木湖で「ボーダレス」…。
筆者は半信半疑で初春の椎の木湖を訪れた。
そこで展開されたのは、抜きバラケを駆使した春らしいメーターウドンセット。
そして、「ボーダレス」の意外なまでのマッチングと驚きの戦闘力だった…!

管理でも「ボーダレス」。

じっくり、何かを探るように…。
快晴の椎の木湖。岡田 清のメーターウドンセットが、不気味な安定感をもって前進する。
「まだ冬を引きずっている感じかな。でも、思ったよりアタリはもらえているよ」

「一度使っちゃうとやめられないよね」。この日、新登場の「へらキャリーバッグXT」を椎の木湖に持ち込んでいた岡田。駐車場から釣り座までの移動が大幅にイージーとなり、結果的により多くのアイテムやエサを持ち込むことも出来る。別売りのクッションやサブバッグをスマートにドッキング出来る構造もグッドだ。
岡田は「カーボンブラック」を愛用しているが、すでに所有していた「メタルレッド」のクッションと取っ手で差し色を入れていた。すでに「XTシリーズ」をお持ちの方なら、岡田のようにあえて異なるカラーの「キャリーバッグXT」を購入してカスタマイズを楽しむのも一興だ

サングラスの奥のその目には、明らかな手応えと自信。そして右手に握られているのは、見慣れないブラックロッド。
"BORDERLESS(ボーダレス)"の8。

もはや説明不要のトーナメントフィールドである椎の木湖。釣り方はメーターウドンセット。そして、岡田が迷わずロッドケースから引き抜いたのは「飛天弓 皆空」でも「普天元 独歩」でもなく、「ボーダレス GL Nモデル」の8だった。「意外?いや、これがいいんだよねぇ」。確信めいた表情でロッドを継いでいく岡田。この後、剛と柔を兼ね備えた「ボーダレス」短竿仕様の意外な性能に、筆者も驚くこととなる

この春、ついにそのベールを脱いだ新機軸「ボーダレス」。

魚種をも超越するチャレンジングな硬式ロッドは、今のところ「外道にもビクともしない、野の大場所で使う剛の超長竿」のイメージが先行しているが…。
「いや本当の話、椎の木湖なんかでの短竿はかなりいいよ。今季のトーナメントは全てこの竿で戦おうかな、と思えるくらいにね」
3号桟橋536番に座っていた岡田。釣り方はメーターウドンセット。攻め方は、いわゆる「ほぼゼロナジミ」の「抜きセット」だ。
時折わずかにバラケの重さがトップにかかるが、かかっても半目盛から多くても2目盛まで。即座にスッと返してくる。
「真冬だったらハナから上抜き(水面に近い位置でバラケを抜いてしまう)だけど、今はオモリ付近まで下ろしてきてから抜いているイメージ。それが一番合っている感じだね」
むろん、打ち始めは決めつけることなく「水面抜き」から3目盛以上ナジむところまでをじっくりと探った岡田。その上での「オモリ付近抜き」なのであることは言うまでもない。
「抜きなのにエサ落ちを4目盛も出してるとか。今風じゃない?でも春って色々なパターンの釣りが成立するから、探りを入れる意味でも『釣り幅』を持たせておきたいんだよね。これが最初から『クワセを付けて1目盛出しで鬼ゼロ』…って制限しちゃうと、もういきなりそこから抜け出せなくなる。春は特に、釣り始めの『決めつけ』は厳禁だよね」
バラケのサイズは冬を意識した「小さめ」。へらの寄りの範囲が横に広がリ過ぎないように気を付ける。そして、持たせ方は、時折、「ズッ」と軽くバラケの重さがかかる程度。前述のとおり「オモリ付近まで下がったあたりで上バリから抜ける」イメージだ。これでタナ付近に喰い気のあるへらを凝縮させ、下バリのウドンをフォーリングで喰わせていく。

「アタリ的には、バラケが完全に抜けた後、1、2、3、4、5…くらいでスパっといく感じだね。アオリが続いていればもう少し待つこともあるけど。実はこの持ち上げるようなクワセへの『アオリ』が出やすいよう、エサ落ちを出し気味にしているんだ」

何かを探るように、抜きセットでジワジワとカウントを重ねていく岡田…

椎の木湖のキロフィッシュをジワジワと仕留めていく岡田。同湖は久しぶりというが、さすがに長年にわたって通い慣れた釣り場である。その表情には自信がみなぎり、組み立てにもスキがない。そしてその手には…

「いやこの竿、本当にいいよね」
ストレートな表現で右手で操る「ボーダレス」を表現する岡田。
管理でも「ボーダレス」。基本、硬式ではあるが、棍棒のような硬さではない。岡田が使用した8は、筋の通った強さの中にシマノらしい「しなやかさ」を内包した、椎の木湖に素晴らしくマッチした竿だった。その先鋭的なデザインも、「トーナメントロッド」として不思議なほど違和感がない。
さて、朝の2時間ほどをかけてじっくりと水中の状態を探るように悠然と釣り進んだ岡田。さあ、さらに釣りを「追い込む」としようか…。

製品名「ボーダレス GL Nモデル」の「GL」はガイドレス=のべ竿の意味。また「N」は並継の意味。「スパイラルX」の最外層から、さらに追加されたカーボンテープをX状に締め上げていく「ハイパワーX」、玉口部の「Gクロスプロテクター」、「タフリリアン」、カーボン地をあえて見せるデザイン、EVAタイプの握り…とこれまでのへら竿の概念を覆すロッドだが、「普天元 独歩」でもなく、「ボーダレス GL Nモデル」の竿掛けとしっかり馴染むから不思議だ。また、もっと意外だったのは椎の木湖の釣りとのマッチングの良さ。「硬く、強いが、シマノらしくしっかりと曲がる」という竿の性質は、実は大型池におけるトーナメントロッドとしても無類の戦闘能力を内包していたのだ。
一言で言って、「とにかく取り込みが速い」。喰わせた魚は言うに及ばず、仮にスレで掛かった場合でも速やかに回収出来るので時短効果が絶大なだけでなく、結果的に魚に与えるダメージも最小限に抑えることも出来る。
現時点では「ボーダレス」というと野釣りの大場所等での超長竿の「強さ」がアピールされているが、短竿ラインも非常に魅力的。例えば「飛天弓 皆空」のような「トーナメントロッド」としても大きな可能性を秘めていることがしっかりと確認出来た。「皆空」よりはっきりとした硬さがあり、パワー系のチョーチンなども面白いだろう

シマノインストラクター
岡田 清

1968年生まれ、神奈川県横浜市在住。
シマノジャパンカップへら釣り選手権大会は01年、02年と連覇し、03年は準優勝、09年に3回目の優勝をした。ジャパンカップと同様に予選会のある全国大会で通算7度の優勝を記録。「日本最強のトーナメンター」またの名を「鉄人」「トーナメント・モンスター」とも呼ばれる。

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