フィッシングコラム

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ON THE STREAM

VOL.46 「今更ながらC&R:群馬県神流川」

里見栄正氏東北や関東のいくつかの流れは、いわゆる安全基準値を超えた放射能が検出されたということで、渓魚は出荷停止となり、それと釣りとをどう結びつけるのか不可解な点がないとはいえないのだが、いずれにしても自由に釣りをすることができないこととなったケースが少なくない。
それでも、釣った渓魚の再放流を前提に、とりあえず釣りは可能という流れがある一方、釣りそのものを自粛する、つまりは釣りをしてはいかんよと、お上から漁協に対する通達が出た流れがあって、これには僕達釣り人はもちろんだが、漁協側も混乱ぎみで、釣りができるようなできないような、もうひとつ納得のいく説明がないまま解禁シーズンを迎えていた。

その上、今年はなかなか気温が上がらず、季節の進み具合は非常に緩慢で、流れの活性が思わしくなかった分、より釣り場の選択肢が限られるという傾向が強かった。そんな中で例年にも増してその存在感が光ったのがC&Rの釣り場だっと言えるかもしれない。全てが、というわけではないにしろ、少なくとも僕やその周辺の釣り仲間にとっては実に有難い存在として機能していた。

群馬上野村漁協管内の神流川では、解禁日からライズの嵐となって、マッチザハッチのF・Fを求めて訪れる釣り人は日増しに増えていた。近隣の渓流が目覚める前の時期にも関わらず、ここだけは別天地の様相を呈していた。もちろんそういった需要に応えるだけの魚が確保されていればこそなのだが、根底には『持ち帰らない』という現実の積み重ねが存在している。未だにC&Rには賛否両論あり、眉をひそめる人もいる。しかし、魚が残されることによって多くの釣り人が恩恵を受けることもまた事実なのだ。そして時にはそれが自分自身の釣りにも跳ね返ってくることを、少しでも考えてもらえたら、と僕は思うのだが・・・・・。

釣果釣果というわけで、神流川や渡良瀬川ではしばしの時間、忘れかけていた春のマッチザハッチのF・Fを堪能することができた。それは一般的な渓流が本格的なシーズンを迎えるまでの幕間繋ぎということになるのかもしれないが、やや堅苦しい言い方をするなら、河川の有効利用という流れに沿ったものとしては評価されるべきだろう。

季節は進んで、4月の中旬過ぎには神流川の『毛鉤専用釣り場』が開いた。ここはさらに一歩進んで、名前の通りF・Fやテンカラのみを対象として、一日の入川を7名に限定した、もちろんC&Rエリアである。排他的といえばそうなのかもしれないが、それによって具現される釣り場の実例としては非常に貴重な存在であり、ひとつの方向性や可能性を示唆しているといったら大袈裟だろうか。
開設6年目を迎えるのだが、オープン当初はジャブジャブの成魚放流に負うところ大だった流れも、漁協の努力と釣り人側の協力の下、自然再生された渓魚で溢れる渓へと変貌していた。渓流魚は決して湧いてくるものではなく、数多くの親魚が残っていなければ世代交代すらままならないのは自明の理だ。そのあたりを理解してくれる多くの釣り人が禁漁期には参集し産卵床作りに汗を流す。こんな渓の姿に触れると、僕もその中のひとりとしていくらかは役に立ったかと思えてもくる。

渓に降りるとまだ冷たい空気に包まれる。芽吹きも始まっていない流れは一瞬ニンフか、とも思わせたが、終わってみればドライフライオンリーで問題はなく、尚且つ直前に放流された魚ではないピンシャンだけが勢揃いで、プラウデス7'3"は忙しい。特にイワナに関しては放流実績がなく、全てがネイティブ。しかも出れば尺クラスという贅沢さだ。今後時間の経過と共にスレてくることは避けられないとはいえ、比較的安定した状況が終幕まで続き多くの釣り人が思い出を共有するはずだ。綺麗ごとではなく、魚がいるから捕る、では済まなくなりつつある時代の小さな救いを、僕はこの渓に見たような気がした。