フィッシングコラム

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ON THE STREAM

VOL.43 「道東のアメマス II」

里見栄正氏泥濁りの流れでスタートしなければならないのは、去年と同じだった。違っているのは、ま、何人かの同行者がいて、多少賑やかなことくらいか。地元での評価がどんなものなのかは定かではないのだが、秋を迎えた道東の流れに巨大遡上イワナを求めて遠征する知り合いも年々増えて、近隣の川でさえ滅多に顔を会わせることのない友人に偶然出会ったりして、笑ってしまうことがあるくらいだ。

もっとも、朝の便で羽田を発てば、昼過ぎには流れでロッドを振ることができる手軽さなのだから、多少の出費を厭わなければ、北海道とはいっても、変に気負うこともないということなのだろう。そして何より、圧巻はその魚影だ。年によってその数にはバラつきもあるのだろうが、少なくとも初めて目の当たりにするその光景には、誰もが絶句するか、はたまたそれとは全く逆に驚愕の声を上げるのが常だった。

が、残念なことに、今年はそんな驚きの顔を拝むことはできる状況ではなかった。30ミリほどの降雨だったはずだが、目的の流れは濁流と化して川底は全く見えない。しかし、気持ちだけは前のめりになっているものだから、状況はお構いなしで、到着、即、釣りである。普段はまず使うことのない特大のビーズヘッドニンフを3Ⅹ、時には2Ⅹのティペットに結び、これまたF・Fをやっている限り無縁といっていい、4Bのガン玉というセッティングである。とてもまともなキャストなど望むべくもないが、皆事前に誰かから仕入れた情報を持っているらしく、思い思いに釣りを開始する。

しかし、始めてみれば当然のように根掛かりの連続で、いつもと勝手が違うことに閉口ぎみなのが僕としては笑える。僕は自分の釣りもそこそこに、フォローする側に回るのだが、一年ぶりに訪れた流れは極端に埋まっていて、一見深く、アメマスが留まりそうに見えるポイントも、根掛かりしたフライを回収するために恐る恐る入ってみれば、ヒザまでもないような水深ということが多く、マグレを期待するしかなかった。

2日目も最上流部の天候が思わしくなく、再び濁りの洗礼を受けると、さすがに意気消沈した顔が並ぶ。引率係りの僕としてはつらい立場であるが、さらに各々の意見が対立して、アメマスは諦めようという空気も流れ始めていた。もはやニジマスでも何でも・・・・なのである。最終日を残すのみとなっては、致し方ない選択ではあるかもしれないが、川を変えたところでいい釣りができるという保障はどこにもなく、なんとか思い留まらせるのが最善の策だと説得して3日目を迎えた。

早朝から空は晴れ渡り、色付き始めた景色がいくらかではあるが気持ちを和ませていた。
いくつかの有望ポイントに車を停め、川の状態を確認しながら最終的に入渓点を決めようとするのだが、さすがに晴天の日曜日だけあって、これまでに経験したことのない混雑ぶりで、渓底からはクマ鈴の甲高い合奏が騒がしい。こんな光景も、本州でヤマメやイワナを釣るというのなら、すぐにUターンであるが、ほとんど関係ないのがアメマス釣りのいいところ。

釣果とりあえず、すっかり濁りのとれた流れに魚影を探すと、ひとりずつ決めたポイントに押し込み、後はどんなアプローチでもいいから好きなように・・・・・でお役御免となった僕もプラウデス8'1''で今度は自分の釣りを堪能する。さすがに重いフライを投げるのに多少の違和感はあるものの、掛けた後に待っている悦楽の時間を思えば、やはりこいつに限る。荒瀬から時折顔を出す70cmオーバーのフレッシュランの逸走も、ひるむことのない曲がりが難なく受け止め、意図するままに誘導されたアメマスがネットに収まる。

「これだよ、これ」やっと辿り着いたユートピアに同行の仲間も歓喜の声をあげている。あれだけ他の川に、と言っていたのがウソのようなハシャギぶりと「来年もまた来ましょうね」という言葉に僕はホッと胸をなで下ろしたのだった。