釣り情報

高橋哲也「気ままにESSAY。流れをつかめ!」

VOL.47 「憧れのブルーウォーター」(前編)

赤道付近でシートベルト着用サインが点灯後、しばらく眠っていたようだ。
目が覚めると飛行機の揺れは納まっていた。

マイナス58℃の外気に白く眩しい光が差し込んでいる。
最寄りの大地はオーストラリア。眠っている間に赤道から大きく南下し、南半球の真ん中を飛行していた。

朝食の準備に追われる乗務員。上空で清々しい朝を迎えた乗客のおしゃべりはこの時を満喫しきっている様子。日々迎える朝にない特別なひとときがやけに新鮮だったのだろう。 自分にとっても、いつにない朝である。

機体はオーストラリア・グレートバリアリーフを右後方に見ながらタスマン海流が南下する上空を徐々に降下していく。オークランドまであとわずか。
 海面が近づくにつれ、上空から50キロを超す「ヒラマサ(King FISH)」が見えないものかと童心に返る・・この海域に棲む魚たちを想い描いて期待が膨らむ。

ようやくオークランド空港に到着した。長いようで短い10時間のフライト。日本と季節が逆さまなニュージーランドはこれから秋を迎えようとしている。とても過ごしやすい気候だ。現地在住の日本人ガイド「玄さん」と合流し北島・北東部の海を目指す。ここから車で6時間をかけた移動が始まる。

オークランド〜ハミルトン〜タウランガ、この日の最終目的地は「ファカタネ」という港街。都市部を抜けるまではアッという間。道端には次々と牧草地が広がりはじめる。牛・馬・羊、滅多に見かけることのない鹿の姿もあった。
 平地を縦断する真っ直ぐな道をとことん行けば、濃緑深い山にぶつかる。この地では平屋造りの住宅がほとんどで、屋根の一部がポツンと周囲の森から顔を出す情景が広がる。

必要以上を必要としないNZの習慣・・

人の手で芝を貼り替えることなく、丈の長い独特な芝が自然と生い茂る。植物・水・陽・風の関係。

ニュージーランドの森

物云わぬ自然がつくるものに、いちいち考えさせられる・・ 

車を走らせる玄さんは言う。「昼間ならまだしも・・交通量の少ないニュージーランドでは、夜間の単独事故は小さなケガでも命を落とす大事故に繋がることもありますよ・・」
ガードレールに守られた日本の道。

ガードレールのない開放感溢れるニュージーランドの道。道を行くだけで清々しく自由な気持ちになってしまうのはガードレールに守られた日本での習慣からくるものか・・
ニュージーランドの道をひたすら走る開放感に、自己責任がつきまとうことをふと忘れてしまう・・それでも過ぎゆく景観に気をとられてしまう。

山麓の緩やか傾斜。緑を敷き詰めた牧草地に白く点々と見えていた羊の姿を見かけなくなった・・海が近い。緑の中にわずかな海の藍色。木々の隙間から実に狭い海が見えた。風波、ウネリのないことを願いながら車は海岸線に近づいていった。

途中、海を一望できる高台に立ち寄る。海岸線から7、8マイルまでは緑掛かった海水が広がり、そこから先は「ブルー・ウォーター」と呼ばれる藍色の海に姿を変える。

ニュージーランドのブルー・ウォーター

ニュージーランドのブルー・ウォーター海域こそ、自らが目指す憧れの海域である。

実は、数年前ニュージーランドに訪れた時、大きな低気圧が通過した影響で、河の濁り水が海に溢れだし、見渡す限りの海水が真っ白く濁り何マイルも沖合まで広がったため、ニュージーランド滞在中に海が回復することなく帰国した苦く貴重な経験をした。

美しく、心地よい自然ばかりが自然ではない。全く正反対な自然の猛威、破壊もまた自然である。人は、ただただ自然と過ぎゆく時間を待つことしかできない。その後の回復も手伝うことが可能なものとそうでないものがある。広大な海域、莫大な海水を変色させてしまう自然のパワーに手も足も出せず圧倒されるだけだった。

自然の成すがままに振り回されることを承知の上で釣りをする

その時もまた、自分のそばにはイイ仲間がいてくれた。

ニュージーランドのガイド「ピヒ」。コンディションの善し悪しに一切の愚痴もこぼさず白く濁った海をガイドする直向きな姿勢に今も感謝している。ピヒは今でもNZの磯に立っているのだろうか・・

ホワイトアイランド

いよいよファカタネ・港街に到着した午後6時。まだ夕方を感じさせない明るさである。水平線にはポツンと浮かぶ火山島「ホワイトアイランド」が見える。特別白く見える島ではないが、噴火の影響で山頂には木が無い。三宅島の雄山と似た姿に親近感がわく。

シーブリーズというわけではないが、海岸に立つ樹が北西の風を受けてザワついている。

明朝から玄さんをはじめ、どんなガイド仲間と海の時間を過ごすのだろうか・・

海や魚、気象のご機嫌は如何なるものだろうか・・

夕日

Chermare & Remare という頼りになる釣り道具と、日本での辛く厳しい自らの経験を活かして、ニュージーランドのガイド仲間たちと思い出に残る海時間を刻もうとお世話になるロッジで釣り支度をする。

夕食を済ませた午後8時。ようやく夕焼け空と、夜空の入り混ざる赤紫の色が空を染める。窓から見える大きな樹の枝は微動だにせず凪ていた。

どうやら天候に恵まれた釣り初日を迎えられそうだ・・

*今回のニュージーランド釣行は2009年5月4日と2009年5月11日(同年5/18・5/25は再放送)の23時〜BS TBSで放送予定です。