朝夕の冷え込みが増す中、海水温は相変わらず高くバケツの水に手を突っ込めば、つかの間の幸せ(ぬくもり)を感じる出船前のひととき。只今僕らは、関東で超人気魚種のカワハギ釣りに夢中になっています。
今年は悪いことに台風の発生や上陸が多発し、更に台風が秋雨前線を刺激するために全国に甚大な被害をもたらせています。フィリピン南東沖海域の海水温が上昇していることがその原因らしく、専門家はこれらの現象を暖海流に似た「エルニーニョもどき」と呼んでいます。
長引く高水温によってカワハギシーズン開幕直後(9月中旬)は、ベラやフグ、トラギス、ネンブツダイなど様々なエサ取りを招き、なかなかサシエがカワハギに当たるまでに至らない厳しい状況でした。
海水温が下がり、エサ取りの猛襲が一段落してから釣りに行けばいいのにそれまで待ちきれない僕らは永井さんに同行してもらいあちこちのカワハギポイントを釣り歩きました。
開幕当初、エサ取りは猛烈な勢いで仕掛けにアタってきます。仕掛けが着底すると同時にハリ掛かりしてくるベラ・フグのラッシュ。勢い余ってハリを飲み込まれるものなら枝針と幹糸を直結してある仕掛けは1本、2本とハリを盗られアッという間に歯抜け状態・・せっかくの仕掛けがすべてパァーになってしまいます。それでも懲りずに繰り返し仕掛けを付け替えては着底させエサ取りに悩まされる状態が続いていたのです。
カワハギ釣りといえば仕掛けを海底に接触させ微妙に持ち上げることがセオリーだと思っていたせいか、セオリー以外の釣り方にはなかなか手が出せないものです。もちろんカワハギに限らずどんな魚種にも同じことがいえるでしょう。

海底にビッシリと待ち構えるエサ取り軍団。カワハギが釣れる確率はエサ取り30匹に対し一匹の割合。誰一人として偶然以外にカワハギを釣り上げる人がいない状況下で、エサ取りをかわしてカワハギだけを引きずり出す方法を見つけだしたのは永井さん一人だけだったのです。
それは「たたき・たるませ・ききあわせ」といったセオリー以外の方法。海底から1メートル近くタナきった水深を集中して狙う「宙釣り」のような方法でした。50センチ前後であれば手を出せる範ちゅうでしょうが、僕たちのレベルでは1メートル近くとなると試みる範囲を超えてしまう気がします。永井さんはこのやり方で1匹目を釣り、直ぐさま2匹目を仕留めた時点でこの方法に確信を持ったのかみるみるうちに10匹を越す釣果を手にしたのです。この日は高水温でエサ取りに悩まされ、強風が吹き荒れ好ポイントには行けないというリスクを背負いながらも港口の通常ならば狙わないポイントで誰も釣れない時に見つけ出した貴重なパターンでした。
数日後、凪の日をみつけ再び僕らはカワハギの乗合船でポイントに向かいました。風もない釣り易い状況ではアタリが鮮明になりカワハギ釣りの最も面白い部分を存分に楽しめます。ハリの銘柄や枝バリの間隔を微妙に変えた仕掛けを用意し、更にカワハギ竿の硬いタイプと若干軟らかいタイプの2本を使い分けてみようと準備万端。
これまで竿にこだわる域にまで達していなかった僕が開眼したきっかけは、冬場の低水温時期にこれまた永井さんがしでかした、硬い竿の特性を利用して根の上で喰わせる「転がし釣り」のような釣り方を見せつけられたからです。
冬の終わりの最も海水温が低い時、入りくんだ根の周辺でなければ全くアタリが出ない厳しい状況でした。起伏の激しい海底状況なのに永井さんは根掛かりせずにカワハギの微妙なアタリを捕らえ一人で次々と釣っていたのです。当時、軟調のカワハギ竿を1本しか持っていなかった僕は根掛かりばかりで釣りどころではなかった苦い経験をしたのです。もちろん竿のせいだけではありません。竿の扱い方にも問題があったのでしょう。それ以来硬調タイプを追加し、2タイプの竿を用意するようになったのですが、その後水温が上がりはじめたのと同時にカワハギの活性も高まり、苦労せず釣れるようになってしまったのです。しかし、いつか役に立つだろうという思いと2タイプを使い分け楽しむことをおぼえたことでカワハギ釣りがより面白くなってきたのです。
あれから2年「クゥアハギ師」からやっと「カワハギ師」に仲間入りした気がします。とにかく釣りに行き続けることが上達の近道だと沖釣り界の横綱・永井さんは力説しています。僕はもう一段階カワハギ釣りが昇進したら現在使っている竿「ショートゲーム」から「バイオクラフトカワハギ」に持ち替えたいとやる気満々です。カワハギファンの皆さんシーズンはこれからです!一緒に頑張りましょう。
