2019

2019 シマノ ジャパンカップ 磯(グレ)釣り選手権大会

2019 シマノ ジャパンカップ 磯(グレ)釣り選手権大会 2019 ジャパンカップ 磯(グレ)釣り選手権大会

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シマノ ジャパンカップ 磯(グレ)釣り選手権全国大会 大会詳細

上位3名

優勝 友松 信彦 選手
準優勝 幸喜 一樹 選手
第3位 上田 泰大 選手
PE釣法がタフコンディションの激闘を制す
友松信彦選手が完全試合。2連覇4度目の頂点!
日時 2019年11月16日(土)、11月17日(日)
場所 五島列島 福江島 福江地区の磯(長崎県五島市)
主催 株式会社 シマノ
後援 長崎県五島市、一般社団法人五島市観光協会、カンパーナホテル
天候 晴れ

11月15日前夜祭。ディフェンディングチャンピオンの友松 信彦選手は乾杯の挨拶で次のように語りました。
「全国大会に出場するのは10回目です。私の釣りはジャパンカップのおかげで進化し、グレ釣りが一段と楽しくなったのもジャパンカップのおかげです。今大会で連覇の権利を持っているのは私だけ。負ければ次の優勝までできません。連覇をした選手はずいぶん長い間(16年間)出ておらず、それだけレベルの高い大会だからこそ、私は連覇を成し遂げたい。1年間この日のために準備をしてきた練習の成果をぶつけたいと思います!」
いわば友松選手の強い決意表明で幕開けとなった35回目のジャパンカップ磯。前夜祭の各テーブルで選手、スタッフが料理を囲み、杯を交わして談笑するなか、抽選により決まった対戦表が配られます。予選5試合のマンツーマン対決の相手が誰になるのか? 席が静まり一同が対戦表に注目します。
好カードがいくつもあるなか目を引くのは、田中 修司選手(大分県佐伯市/シード選手3位)と幸喜 一樹選手(沖縄県沖縄市/SF九州大会2位)が対戦する1試合目。ふたりは2017年の全国大会で決勝の舞台で激突。結果は田中選手が2013年以来2度目の頂点に返り咲きました。リベンジとなる幸喜選手は今大会最年少の22歳。全国大会に4年連続で出場し着実にレベルアップをしている沖縄の若武者です。準優勝となった2017年から田中選手と親交を深め、多くの釣技を教えてもらったと言います。成長した自分の釣りで優勝候補の田中選手とどれだけ戦えるのかと闘志を燃やし、田中選手もまた手加減はしないと気力がみなぎっています。
友松選手の1試合目も注目のカード。相手は全国大会4年連続出場の野口 真平選手(高知県高知市/SF四国大会5位)。2018年の前回大会は初日3試合を全勝し2位の好位置をマーク。2日目に2敗し総合順位は8位となりましたが、五島の釣りをよく知る実力者。まずは今年の五島の海がどんな状況かを見定めるディフェンディングチャンピオンの熱戦を観ていきます。

昨年同様A(せいわ)、B(むさし)、C(増栄丸)の3つの渡船を使用し、各船ごとに8選手がマンツーマンで競技。7尾の総重量を競う予選5試合を行ない、決勝進出者は上位2名のみ。競技時間は100分とし50分で前後半に分けて釣り座を交換。勝ポイントを競うのはもちろん、合計勝ポイントが同点の場合は重量差で順位を決定。よって大型の魚を、短時間により多く揃えることで重量の差が開き順位を上げることができます。

友松選手と野口選手が上がった舞台は屋根尾島の北浦バナ。島と島の間を走る水道筋で潮は速く、境界線を決めるのに難儀します。選手、審判が納得のいくかたちで境界線が引かれて間もなく試合開始。と同時に70cmクラスのヒラマサがナブラを起こし、小型のキハダが派手にジャンプしています。騒々しい青物が回遊するなか、両選手ともヒット!
野口選手はまずまずのグレをタモに入れ、友松選手はコッパオナガ。その後は両者ともコッパの掛け合いとなり7尾揃っても決定打となる良型を出せないまま後半戦に突入。ここで友松選手は潮上の釣り座となります。沖には青物が回りグレの気配がなく、遠投しても激流に弾かれて仕掛けが落ち着きません。そこで繰り出したのが当ててくる潮に合わせて絶えず巻き続ける「リーリング釣法」。ジンタン7号を2つ打つと仕掛けを引っ張るように探って小アタリを掛け取り、終了間際に良型をキャッチ。この1尾の重さが決め手となり野口選手に185gの重量差をつけて白星発進となりました。

一方、注目の田中選手と幸喜選手のリベンジマッチは田中選手が貫禄の釣りを展開し幸喜選手を圧倒。型を揃えるのが難しい状況下、良型で形成された湧きグレを狙い撃ちし、ものの見事に40cmオーバーを釣り上げて検量所へ。しかし、検量に持ち込まれた田中選手のフィッシュバッカンには、なんと8尾のグレが入っていました。ルールは『8尾入っていた場合スタッフが目視で大きい個体から順に除外し、ペナルティとして6尾で検量』となります。大型を抜かれた田中選手の釣果は1,780g。幸喜選手は2,787g。勝利の女神がほほ笑んだのは幸喜選手でした。

全体的にコッパの釣り合いが多いせいか、大きな重量差をつける選手がほぼいません。特にサザエ島周りの磯はタフコンディション。芳しくない釣況でドンと重量差をつけたのは森井 陽選手(徳島県徳島市/SF四国大会1位)。時吉 長稔選手(宮崎県宮崎市/SF九州大会4位)に3,178g差を付けての勝利はこの後の試合でも大きな貯金となります。

2試合目は満潮の潮止まりを挟んだ時間帯。おまけにベタナギでグレの活性が上がらず1試合目以上に低釣果の試合が続出。この状況を象徴していたのが幸喜選手と時吉選手の試合です。両者沈黙のまま刻々と終了時刻が迫ります。幸喜選手は磯際にコッパが沸いた瞬間を見逃さず、0.8号ハリスに1号のハリという繊細な仕掛けでねらうと1尾食わせることに成功。その重量わずか90gですが、寸法制限なしのルールだからこそ、コッパがドラマチックな1尾になり勝敗を分けました。
2戦2勝選手は森井選手、上田選手、赤木選手、幸喜選手、友松選手、桑原選手の6名。注目株が2015年の覇者、上田 泰大選手(京都府京都市/SF関西大会3位)です。タフコンディションの多い若狭湾や紀東で磨いた釣りを今大会の五島の状況にアジャストさせます。そして3試合目は北条公哉選手(兵庫県姫路市/SF四国大会4位)と対戦します。上田選手、北条選手ともにジャパンカップに限らずトーナメント仲間として何度も対戦しています。「上田選手にはいつも負けてばかり」と言う北条選手でしたが、いざ試合が始まると大型を連発させたのは北条選手でした。舞台となった多々良島の白灯のハナレは激流が通す釣り場。潮は沖の本流に向かって右から左に引かれています。優先権のある北条選手は潮下となる左の釣り座を選ぶと2ヒロに満たない浅ダナに設定。ウキが潮目で勢いよく消し込み、竿が何度も満月にしなります。
大きな先行リードを許した上田選手は追いつけないまま土がつきます。

初日の激闘を終えて3戦3勝は4名。暫定順位で並べると1位森井 陽選手、2位友松 信彦選手、3位幸喜 一樹選手、4位赤木 寿成選手(岡山県浅口郡/SF四国大会2位)。2勝で決勝進出の芽があるのは3試合の合計重量差がマイナスになっていない5位竹石 航太選手(神奈川県三浦郡/シード選手2位)、6位上田 泰大選手、7位桑原 英高選手(和歌山県有田市/SF関西大会2位)までと予想されます。上位陣が総崩れにならない限り2勝選手は2日目の2試合で勝利するのはもちろん、どれだけ重量差をつけられるかがポイント。そして2日目に控えし注目カードはなんといっても5試合目。森井選手と友松選手の激突です。

熱戦の幕開けを告げる美しい朝日が昇り、午前7時に予選4試合目がスタート。昨日の穏やかな海況と変わり南寄りの風が強く吹きザワザワと波気が出ました。これが好条件となったのか、各磯好釣果に沸きます。中でも3戦全勝の幸喜選手は安斉 優選手(神奈川県鎌倉市/SF東海大会1位)と激闘を繰り広げ、オナガ40cmオーバー2尾を含めた7尾で4,510gの安斉選手に対し、幸喜選手はオナガ・クチブトともに40オーバーを4尾、計7尾で6,048gと4試合を通じて最重量の釣果。素晴らしい潮が差してきた朝の状況を楽しむように釣りを組み立て豪快に何度も竿を絞って4つ目の勝ち点を獲得します。
暫定トップの森井選手は上原 康平選手(沖縄県沖縄市/SF九州大会6位)に2,343g差で勝利。暫定2位の友松選手と鈴木 祐介選手(静岡県伊豆市/SF東海大会3位)の対戦は鈴木選手が2尾の40cmオーバーを釣って迫りますが、平均的に型を揃えた友松選手が878g差で4勝目。そして3勝していた赤木選手は0対1尾の苦しい試合となり32g差で鈴木 稔之選手(和歌山県田辺市/SF関西大会5位)に敗退。よって4勝した選手は森井、友松、幸喜の3名に絞られます。

いよいよ運命の第5試合。友松×森井の直接対決の舞台は4試合目に幸喜選手が6,048gの釣果をだした「屋根尾島の長瀬」。潮は岬の先端をかすめるように北に向かって流れ、左の湾奥から右の岬方向に引かれ潮が発生しています。試合途中に満潮の潮止まりとなることから、優先権のある森井選手が潮通しのよい岬側の右の釣り座を選択。少しでも潮が残っているうちに先端を攻めようとの目論見です。友松選手は潮のたるい湾奥側の釣り座で試合がスタート。森井選手は00浮力のウキを使用。ウキ止メとガン玉調整で、きっちりとウキ下を決める半遊動仕掛けでタナを細かく刻みます。友松選手はフロロハリス10mに通した000号ウキをフロロの自重で押し込む得意の仕掛けでカウントダウンとイトの張り加減でタナを見極め探る。前半の釣り座は森井選手が有利かと思われましたが、良型クチブトを連発させたのは友松選手でした。ほぼ一投一尾のハイペースで竿を曲げ50cmに迫る大型魚混じる好釣果で早々にリミットメイク。一方の森井選手は潮の中を最初は探るも大型が出ず、深く入れるとマダイがヒットするなど本命をなかなか引き出せません。それでも何度も投入ポイントを替え、大型グレのタナを探り当てると猛チャージ。攻略パターンをつかんで2尾、3尾と良型を追加します。とはいえ前半は友松選手優勢のまま後半に突入。今度は左の釣り座で森井選手が大型魚のヒットを量産! 対する友松選手は入れ替えできる大型魚を求めて深ダナをどんどん探りますが沈黙。岬をかすめるように流れていた潮は潮止まりと同時に沖のほうに離れ、刻一刻とそして数メートル毎に複雑に変化する沖の引かれ潮を読み、的確にコマセと仕掛けを合わせていくと、まるで抱卵魚のような重量級とのコンタクトに成功! 居食いをされていたことから「タナは浅い」と判断するとカラマン棒下とハリスの真ん中に段打ちしていたG7ガン玉を外してウキを入れ込む速度をスローに調整。竿一本強のタナでウキをホバリングさせるのがよいと判断。この調整で連発モード。そして両者一歩も譲らぬ竿の曲げ合いは歴史に残る激闘。試合終了のホイッスルと同時に大量釣果から型の良い魚を7尾選別します。両名ともに6尾は35cmオーバーで1尾のみ24cmクラス。勝敗は検量するまで分かりません。まず森井選手がフィッシュバッカンの魚を空けると型ぞろいの釣果に選手スタッフが沸き立ち、結果は5,330g。続いて友松選手がドドッと空かした魚は乗っ込み個体のような超重量級のグレが数尾入っています。そして6,837gとほぼ1kgフィッシュが揃う7尾の圧倒的釣果で勝利をつかみ取りました。検量終了後はお互いの健闘を讃えて両者がっちりと握手を交わし、友松選手が決勝の檜舞台に上がりました。
そしてもう一人の決勝進出選手は5戦5勝の幸喜 一樹選手です。同郷沖縄の先輩、上原選手に2,351g差をつけて予選トップの成績で決勝の舞台へ。
もうひとりのシード枠となる3位は大混戦の模様。4勝1敗選手3名(森井選手、上田選手、赤木選手)の中では、4試合目まで6,120gと2位以下に約3,000gもの差をつける大きな重量差の貯金を持っていた森井選手でしたが、友松選手に1,507g差で敗退したことから5試合の合計重量が4,613gとダウン。そして5試合目で5,384gと驚くほどの重量差をつけて勝ち上がってきたのが上田 泰大選手。5試合目に加算された重量差により合計6,603g。これで順位がひっくり返って3位に急浮上! 上田選手は語ります。
「今回の五島はタナの見極めがとても難しかった。良型のクチブトが群れていたのは2ヒロ半、3ヒロ超えるとオナガが食って、さらに深く入れるとイサキ、フエフキとなります。この浅ダナに気付くまで時間がかかりました」

いよいよ決勝のスタートです。幸喜選手が優勝すれば2016年の覇者である藤原 誠太選手の最年少優勝記録(23歳)を塗り替える22歳での栄冠をつかむことになり、友松選手が優勝をすればV4、連覇という快挙となります。
檜舞台は久賀島の金剛崎の沖に位置する通瀬(とおりぜ)。右から左に流れる下げ潮の利いた時間帯で風波は高く、特にハエ根のきつい右の先端釣り座はしぶきがかかる状況です。予選1位通過の幸喜選手には優先権があり海に向かって左の釣り座を選びます。潮下となる幸喜選手は右の釣り座に比べ風も波もまともには受けません。
選手役員が見守る中で14時に試合開始のホーンが鳴ります。風と喧嘩する格好の友松選手はなるべく穂先を海面近く下げ、ミチイトをサラシに乗せて探りたい。しぶきを浴びながらも前に出て釣りを組み立てようとしますが、逆巻く波がバッカンに被りコマセが水浸しになってしまいます。侵入した水を大急ぎで掻き出しますが時すでに遅く、まとまらないドロドロのコマセで戦わなくてはならない苦しい展開。
幸喜選手は友松選手を見ることなく目の前の海に対峙して集中。大型の出る筋を淡々と探ります。予選で何度もサイズアップに成功したという「芝エビのムキ身」や配合エサの粉と沖縄の黒糖シロップに漬け込んで「熟成させたオキアミ」を使い分け、試合開始15分後に竿引きするほどのアタリを得るとこれが40cmオーバー。仕掛けはミチイトとハリスの間に中ハリス1.5号をセットし、その中ハリスに通したウキは大粒の00号。これにジンタン8号相当の板鉛を張ったもので深く入れ過ぎず、仕掛けを立てかつ沈め込む釣り方です。そして集中砲火のように大量に先打ちしたコマセの煙幕の先でサシエを合わせる巧みなキャスティングを披露。それは「ノンサミングキャスト」というウキのすぐ側にサシエを落とす田中修司選手直伝の投げ方です。狭い潮目のピンスポットにウキとサシエを離さずに投げ込むことでコマセとずれにくいうえ、イトを弛めて落とすフリーフォールはサシエの沈下が早い。かつノンテンションになるため食い込みもよいという高度なキャスティング技術です。エンジンのかかった幸喜選手は畳みかけるように良型3尾を釣り上げ、愛竿「ファイアブラッド グレ クレバーハント」が気持ちのよい弧を描きます。竿尻を魚に向けるように曲げる豪快なやり取りで1号パワーの竿が最大限のチカラを発揮し良型を難なく浮かせます。
一方の友松選手は終始耐える釣り。途中大型のイスズミを掛けますが、これも慎重に取り込み、コッパではあるもののなんとか7尾を揃えて前半戦が終了。しかし幸喜選手が優勢なのは明らかです。後半に勝負を賭けたい友松選手ですが、釣り座入れ替え後も簡単にはサイズアップできません。状況が好転したのは潮が緩んだ時間帯。000号の「CORE ZERO-PIT DVC TYPE-D」で25mほど沖の深ダナを探り、回収をしようとしたところでドスンと竿に激震が走ります。やり取りの途中で転倒し膝を強打するアクシデント。ギャラリーが立ち上がり騒然としますが愛竿「ファイアブラッド グレ クォーターマスター」が強烈な突進を受け止め、浮上したのは40cmオーバーのクチブト。この1尾が友松選手挽回のターニングポイントとなりました。水で溶けたコマセも飛ばせるような追い風になる立ち位置を選び、ジンタンを外しスローに入れ込む浮力に調整。この時合をリズムよく釣っていきたいところで、マダイ、イスズミと大型他魚が邪魔をします。終了まで残り10分をきりますが、友松選手は焦りません。まるでアタリを絞り出すかのように集中して潮、タナを見極めてコマセとサシエを的確に撃ち込むと良型を1尾、2尾と追加。対する幸喜選手は終始コッパに翻弄されています。逆境から立ち上がった友松選手の見事な釣りの組み立てに選手、役員から大きな拍手が沸き立って間もなく、試合終了のホーンが潮騒をかき消しました。
検量の結果は幸喜選手3,410g、友松選手3,785gで友松選手が前回大会に続く負けなしの完全勝利であることから12連勝という強さを発揮。35回のジャパンカップの歴史の中でV6の立石 宗之選手、V5の江頭 弘則選手、V4の小里 哲也選手とレジェンドに肩を並べる4度目の優勝。そして第19回大会優勝の江頭弘則選手以来、実に16年ぶりの連覇という快挙を成し遂げました。

※文中敬称略

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