2016

2016シマノ・ジャパンカップ 磯釣り選手権大会 大会ダイジェスト

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大会ダイジェスト

磯釣り選手権大会 大会ダイジェスト

詳細レポート

大会前日。スタッフによる入念な試釣の結果、釣況は例年通りと判断。グレの魚影は濃く、活性もまずまず。ただシーズン序盤とあって水温は22~23℃と高くコッパグレやエサ取りの活性も高い。それでも相当数の良型が混じることから、この3~5年と同様にキーパーサイズを28cm以上に設定しました。

予選は5試合。A(せいわ)、B(むさし)、C(増栄丸)の3つの渡船で3ブロックに分かれ、8選手が各磯でマンツーマンの競技をします。決勝進出者は上位2名のみ。勝ポイントを競うのはもちろん、合計勝ポイントが同点の場合は重量差によって順位を決定。このため短い試合時間で、たとえ相手に勝っていても気を抜かずに釣り込み、より多くのグレを手にした選手が順位を上げることができます。

大会初日。未明に稲妻が走る不安定な天候のなか午前6時15分に出船。夜明けとともに雷も遠のき、各磯で熱戦の幕が上がりました。

競技時間は100分とし50分で前後半に分けて釣り座を交換。その間のインターバルは原則5分。

第1試合の注目カードは友松信彦選手(神奈川県横浜市/インストラクター選抜2位)と鰰澤拓也選手(兵庫県姫路市/セミファイナル関西大会2位)の一戦。友松選手は全国大会の常連で優勝2回の強豪です。一方の鰰澤選手もグレにチヌと様々な大会で上位入賞を果たす実力者。舞台はサザエ島の平瀬。昨年決勝の地に選ばれた一級磯で、まず掛けたのは友松選手。しかし手前と沖とで潮の流れが大きく異なることにとまどいを隠せません。そう、五島福江地区の磯は百戦錬磨のトーナメンターをも惑わす複雑な潮が特徴。コマセの流れを見極め、良型の付き場、タナをいかに早く絞り込めるかが勝敗を分けるのです。

間もなく両者一投一尾の掛け合いとなりますが、キーパーサイズに届かない魚も目立ちます。結果は友松選手が3,839g、鰰澤選手が2,347g。軍配は友松選手に上がりました。重量を一気にアップさせたのは試合開始間もなく掛けた40cmオーバーのクチブトグレ。本大会ではオナガグレよりもこうした重量あるクチブトグレをいかに多く釣るかも順位を上げる要因のひとつになります。

初戦は昨年度チャンプの上田泰大選手(京都府京都市)や昨年度2位の田中修司選手(大分県佐伯市)、また5年連続で全国大会に進出している小谷さとし選手(岡山県倉敷市/セミファイナル四国大会1位)といった実力者も順調に白星を上げました。

第2試合の注目は上田選手と北条公哉選手(兵庫県姫路市/セミファイナル四国大会2位)の一戦。2人は同じクラブに所属し互いの手のうちを知り尽くした仲間です。北条選手も全国決勝の舞台に何度か立ったことのあるエキスパートですが上田選手が王者の貫録を見せつけます。上田選手4,302gの釣果に対し北条選手は1,984g。3日間念入りな下見をしてつかんだ上田選手の効果的な釣り方は「昨年よりもウキのシモリ速度を速め、サオ一本のタナでラインを張ってツケエを留める釣り」と言います。

このほかの熱戦を列挙すると、田中修司選手と鰰澤拓也選手の対戦は田中選手が勝利。藤原誠太選手(福岡県福岡市/シード選手3位)と小谷さとし選手の対戦は小谷選手に軍配。そして続々とグレが持ち込まれる検量所を一際沸かせたのは、友松信彦選手の釣果9,483g。対戦相手の野口真平選手(高知県高知市/セミファイナル四国大会3位)も7,623gを釣り上げ、フィッシュバッカンからドドッと検量ザルに振り分けられた釣果に選手たちがどよめきます。

予選第3試合。連覇をねらう王者 上田選手(1,512g)の座がグラつきます。金星を上げたのは藤原誠太選手(3,902g)でした。悲喜こもごものドラマは各磯で生まれます。レジェンド江頭弘則選手(徳島県徳島市/インストラクター選抜1位)と播磨聡選手(大分県大分市/セミファイナル九州大会A-4位)の対戦では「潮が味方してくれました」と言う播磨選手が快勝。また、サザエ島・エー瀬の奥で染矢正昭選手(大分県佐伯市/セミファイナル九州B-2位)が本大会初の10㎏超え(10,054g)を釣りあげました。「斜めに当ててくる潮の中を30mほど遠投してサオ1本から1本半のタナでコマセと合わせると連発。8kgは前半に釣り、後半も連発した潮筋に上手く仕掛けが入ると釣果が伸びました」と語ります。

この時点で3戦全勝、勝ポイント9の選手が4名。合計重量差によって算出された順位は1位から田中修司、小谷さとし、友松信彦、嶋田誠也(大分県大分市/セミファイナル九州大会A-3位)となりました。次いで勝ポイント6の選手は6名で5位から播磨聡、染矢正昭、藤原誠太、前畑則文(大阪府堺市/セミファイナル関西大会3位)、上田泰大、幸喜一樹(沖縄県沖縄市/セミファイナル九州大会B-1位)。

選手たちに待ちうけているのは星の潰し合い。残りの予選2試合で順位が変動するのは明らかでカギを握るのは小谷選手です。4試合目では1位の田中選手と、5試合目では3位の友松選手と激突。まさに上位3名の三つ巴となる展開です。

翌日の予選4試合目。決勝進出をかけた田中選手と小谷選手の大一番の舞台は観音小島。釣り座優先権のある小谷選手は左の釣り座を選択します。「事前にこの磯で試合をした選手から、朝は右の釣り座が有利との情報を得ました。ならば、まずは悪いほうから釣ることにします」とは小谷選手。一方の右の釣り座は上げ潮が利き始めると川のように流れ、そうなるとグレの活性が一気に高まるというのが前日の釣況。その立ち位置で気合みなぎる田中選手はサオをだします。が、前半の潮はトロリと淀んで当て潮気味。ポツポツとキーパーサイズを釣りますが、小谷選手のほうが良型を連続でヒットさせました。後半突入後は右に入った小谷選手の前の潮が流れ始めタモ入れサイズが何度もサオを絞り込みます。結果は小谷選手5,822g、田中選手2,906g。決勝に向かって前進したのは小谷選手でした。

4試合目を終えて全勝は小谷選手、友松選手、嶋田選手の3名に絞り込まれました。運命の5試合目。またも全勝対決となるのが小谷選手で友松選手との1戦が始まります。「これまで5回全国大会に出場していますが大きな壁を感じました。それを打破するために研究したのが田中選手と友松選手の釣り方です。両選手に共通するのは仕掛けを入れ込み、イトを張って小さな前アタリを拾うことです」と語る小谷選手。しかし一見すると田中、友松両選手の釣り方とは似ても似つかない独特な釣法を繰り出します。仕掛けはフロロハリス1.7号を7m取り、その中にガン玉B相当(0.6g)の板ナマリを貼った00号15gのクロダイ用円錐ウキを通し入れます。ウキ下のストッパーはズレにくい大きめのカラマン棒。そこからハリまでの距離は約4~4.5mが標準。着水とほぼ同時にシモリ始めるウキ。じわじわと沈んだウキを引き戻すようにゆっくりとリーリングし、常に仕掛けを手前に引っ張って探るスタイル。

試合開始時刻は上げ止まりの時間帯。前半は左のワンドに小谷選手、潮通しのよい右の釣り座に友松選手が立ちます。早々に掛けてスタートダッシュを決めたのは友松選手ですが、小谷選手も丸々と太った30cmオーバーのクチブトをタモ入れ。しかも同サイズが3連続でヒット。友松選手はキーパーあるかないかの微妙なサイズも多いですが数では優勢。前半戦中盤に差し掛かったころ小谷選手に立ちはだかったのが小型のフエフキダイ。一口でツケエを丸飲みにする厄介なエサ取りで、本命が遠のきます。後半になり釣り座交換をすると友松選手もフエフキダイに手を焼きますが、浮いてくるグレを巧みに掛け、キーパーバッカンを重くします。小谷選手は単発ながら深ダナの良型を着実にキャッチし2人の差は大きく開きません。まさに一進一退の攻防のなか終了1分前に劇的な1尾が小谷選手にヒット。愛竿プロテック1.5号を満月してのやり取りの最中に、試合終了のホイッスル。3分以内に取り込めばOK。ハエ根をかわし小谷選手が落ち着いてキャッチしたのは40cmに迫る良型です。そしてこの1尾が勝敗を分けます。検量は友松選手が釣果3,475g、小谷選手が3,648g。重量差173gの僅差で小谷選手が競り勝ちました。

接戦を終えた小谷選手は「自分の釣りは1投50秒でねらいのポイントを探れるように計算しています。終了1分前にアタリがあって掛け損じた魚がいましたが、1分あれば掛けられる。そう思って再投入すると、ねらいどおりに手にすることができました(笑)」と喜びを語ります。友松選手は「今年の福江は初戦からずっと違和感がありました。いつもなら潮通しのよい潮目で良型が1ヒロくらいまで浮いてくるのに、今回は緩い潮の潮目でツケエを深く入れ込まないとヒットしません。小谷さんは深ダナにねらいを絞ってそれが当たった。私は浮いてくる30cmそこそこのクチブトにねらいを絞りましたが、残念でなりません。試合終了間際に掛けた小谷さんの一尾にやられました」とその表情には悔しさがにじむ。

もう1人の決勝進出者は誰か。注目は4戦4勝の嶋田誠也選手の勝敗です。勝てば決勝進出は確定ですが、対戦相手は藤原誠太選手。予選3試合目で前年度チャンプの上田選手を破り、4試合目ではレジェンド江頭選手に6,052gもの大差を付けて勝利と勢いがあります。選手役員報道が見守る注目の検量結果は、嶋田選手が785g、藤原選手が860g。重量差75gという大接戦で藤原選手が勝利しました。 予選5試合を終えて、唯一全戦全勝の小谷選手が勝ポイント15。4勝1敗の勝ポイント12の選手は藤原誠太、染矢正昭、友松信彦、上田泰大、嶋田誠也の5名。大混戦のなか重量差で順位が算出されると、2位に躍り出たのは藤原選手。決勝進出者のアナウンスが流れると「まさか自分が」と驚きを隠せない藤原選手でしたが、すぐに闘志が燃え上がります。 3位は染矢正昭選手。田中修司選手を師と仰ぎ、10kg超え釣果を出すなど釣技が花開いた今大会。その結果に田中選手も我がことのように喜びます。

決勝の桧舞台は、久賀(ひさか)島の金剛崎の沖に位置する通瀬(とおりぜ)。 選手、役員、報道が全員渡礁し熱戦を見守ります。

13時45分に試合開始のホーンが響きます。開始直後の潮向きは磯の左(東)面から沖に向かって本流が走り、正(南)面は本流に引かれるような格好で潮が左に流れます。釣り座優先権のある小谷選手は右に立ち、藤原選手は左。小谷選手は「これまで勝ち上がってきた釣りを貫く」と言って仕掛けをセット。30m以上沖まで大遠投をし、速くウキをシモらせ手前に引っ張る釣りを展開。早々にタモ入れサイズを掛けますが後が続きません。手前と沖とにコマセを打ち分けてもキーパーサイズに満たないコッパオナガが邪魔をします。一方の藤原選手の数メートル沖には、本流と引かれ潮がぶつかるよい潮目ができていました。開始10分、愛竿の極翔1.2号を満月にする大型がヒット。根に突進する鋭い突っ込みをかわす緊迫感のあるファイトの後で、浮上したのは40cmクラスのよく肥えたクチブト。一気に重量を増やします。その後も30cm超の本命を立て続けに掛け、コッパの連発に苦しむ小谷選手を引き離し前半50分が経過。釣り座交換で流れを変えたい小谷選手ですが、またもコッパの猛襲を受けます。

藤原選手の決め手のひとつはムキ身エサ。沈下の速いムキ身をエサにハリ上20cmにG4のジンタンを噛ませて素早く沈め良型を拾います。コマセの打ち方を見るとかなりランダムに見えますが、これもコッパオナガを拡散させる作戦。クチブトの出そうな沖の潮目にコマセをある程度まとめ打ちし、ムキ身のツケエを投げ入れて合わせます。遠投で沖ねらいに徹する小谷選手に対し、藤原選手は手前のポイントも丁寧に探ります。迷いのない堂々とした釣りでキープサイズを掛け取る試合運びに観戦する選手たちも唸ります。終了まで残り10分となったところで、小谷選手が快心のアタリをとらえます。円弧を描くサオの曲がりからしてかなりの大型。しかし穂先が跳ねてサオが元に戻ります。痛恨のバラシに天を仰ぎますが、再度同じ筋をねらうと残り10分を切ったところでタモ入れサイズが連発します。粘り強く勝機をつかもうとする小谷選手に拍手が沸きます。しかし前半で付けられた藤原選手との差は埋まらず、終了のホーンが潮騒をかき消しました。

お立ち台を前にした最終検量。まず藤原選手の釣果を計ると4,379g。続いて小谷選手は1,905g。ジャパンカップの栄冠を頭上に掲げたのは藤原選手となりました。

藤原選手は23歳。九州大学に通う4年生。祖母の家が五島にあり、小学生のころから波止で釣りを覚え、高校生になると磯にも立つようになりました。本格的に磯釣りを始めて8年、トーナメントに出て3年目、そして昨年3位から頂点に上り詰めた実力は素晴らしく、何よりもグレ釣りが大好きなことが見て取れます。

「この喜びを五島のばあちゃんに伝えたい」

と目を輝かせて語る勝利者インタビューが印象的です。若手の大躍進に沸いた第32回大会は、無事幕を閉じました。

(※文中 敬称略)

フォトレポート

前夜祭会場ではまず受付を行ない、予選5試合の組み合わせが決定する。

前夜祭では、今大会の主催者を代表し、株式会社シマノ 取締役 釣具事業部 開発設計部 部長 人見康弘が挨拶を述べた。

ご多忙中にもかかわらず、五島市 副市長の東條一行様にご臨席賜り、ご挨拶を頂戴しました。

ご多忙中にもかかわらず、一般社団法人 五島市観光協会副会長の市来敦様にもご臨席賜り、ご挨拶を頂戴しました。

乾杯の発声は、前年度チャンピオンの上田泰大選手が。

前夜祭で行なったインタビューでは各々が明日への意気込みを述べた。

早朝から行なわれるマキエ作りでは選手全員に大型セメントコンテナとスコップが貸し出され、スタッフは選手のサポートにまわる。また、恒例のタックルチェックは各試合ごとに行なわれた。

1組の対戦カードに対して必ず1名の審判が同行。審判業務のほか、磯の説明、荷物移動、磯の清掃を行なった。

第1試合から釣果の応酬合戦となった今大会。今年も100分という短い試合時間の中で10kgを超える釣果を叩き出す選手もおり、福江地区の磯のポテンシャルの高さが伺える大会となった。

 

 

 

 

初日を戦い終えた夜には懇親会を開催。懇親会での挨拶と乾杯の発声は株式会社シマノ ロッド企画課 課長 松本志朗が。

 

司会進行のMCは荒井沙織さん。

 

懇親会では五島の磯で一日を戦った感想を選手へインタビュー。インタビュアーは五島の磯に精通したシマノ磯アドバイザーの柴原啓二さん。磯師ならではの鋭い質問で会場は終始賑やかな雰囲気に包まれた。

決勝戦進出を決めたのは小谷さとし選手と藤原誠太選手。

決勝戦の檜舞台は「久賀島の通り瀬」過去にも決勝戦の舞台として使用された実績のある磯で、今大会では予選で使用せず、手つかずの状態で決勝を迎えた。

今大会でも撮影の一部でドローンを使用した。

コッパ尾長に阻まれながらもキーパーサイズを手にしていく両者。真っ先に良型の魚信を捉えたのは藤原選手。小谷選手も予選を全勝した釣り方を貫き通すが…

大きめのハリでムキミ使用、ランダムなマキエ打ちでコッパを散らせ、その後もコンスタントに30cmクラスの本命を手にしていく藤原選手。一方の小谷選手も快心の魚信を捉えるものの、痛恨のバラシ。その後、タモ入れサイズを連発し、粘り強く勝機を掴もうと奮闘した。

本部に戻り、全選手の見守る中で行なわれた検量。小谷選手の奮闘も虚しく、2kg以上の差をつけた藤原選手の優勝が決定した。

表彰式での主催者挨拶と上位3選手へのインタビューは、自身も磯釣りが大好きだという株式会社シマノ 取締役 釣具事業部 開発設計部 部長 人見康弘が。

優勝者に贈られるジャパンカップ刻印入りタグホイヤー腕時計をはじめ、上位5選手にはシマノより豪華副賞が。さらに、優勝者には、五島市観光協会様より「椿製品セット」、カンパーナホテル様より「スイートルームペア宿泊券」、上位3名には、五島市様より「焼酎 五島麦・五島芋セット」「五島ワイン マスカットベリーA」「清酒 島楽」が。他にも、今大会でご協力いただいたむさし丸船長より、活きの良い大型の伊勢海老が贈られた。

上位選手のシャンパンシャワーで大会の最後を飾り、2016年最後のジャパンカップは幕を閉じた。

最後まで熱い戦いを繰り広げた24名の精鋭たち。