2015

2015 シマノ ジャパンカップ 投(キス)釣り選手権大会

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大会レポート

投釣り選手権大会

優勝 吉野 海洋 選手 841g
準優勝 岡野 宣也 選手 550g
第3位 伊藤 幸一 選手 538g
日時 2015年7月4日(土)、7月5日(日)
場所 鳥取県弓ケ浜
主催 株式会社シマノ
後援 鳥取県米子市、米子市観光協会、公益財団法人とっとりコンベンションビューロー

7月4日(土)、7月5日(土)の2日間にわたり、鳥取県弓ケ浜にてシマノ・ジャパンカップ投げ(キス)釣り選手権大会が開催されました。

今大会に出場したのは、全国各地で開催された地区大会からセミファイナル大会(東日本、西日本、北日本)の激戦を勝ち抜いた精鋭20選手に、インストラクター選抜より1名、昨年度全国大会上位入賞者3名のシード選手を合わせた24選手になります。

大会会場の弓ケ浜は、数・型ともに期待が持てる釣り場。近・中・遠投のどこでもシロギスが面白いように釣れるためキャスター達に大人気の釣り場です。またキスの数が多く、状況に応じたテクニックの使い分けにより釣果に差が出るため運の要素が極めて少なく、トーナメントとして最適の釣り場です。

地元のトーナメンター曰く、「今年は早い時期から夏の海」とのこと。6月中旬頃までは良型のシロギスが楽しませてくれたそうですが、6月下旬から7月頭になるとチャリコ、フグといったエサ取りに悩ませるようになってきたそうです。しかし、大会の数日前にまとまった雨が降り、いったんリセットされたことで、徐々に上向いてくるのではと期待もありました。

大会の大まかな流れは予選リーグが5試合行なわれ、勝ち抜いた3選手で決勝戦を行ないます。まず、初日の土曜日に予選リーグの3試合が行なわれました。予選リーグの組み合わせは、金曜日に前夜祭の抽選会によって全ての試合の対戦相手やブロック、スタート順が決定し、選手全員がA、B、Cの3ブロックに分かれて戦います。
試合は釣りあげたシロギスの総重量(検量最小単位1グラム)によって各ブロックで順位が決まり、その順位に応じてポイントが与えられます。同ポイントの場合は占有率で順位を決定し、予選リーグ5試合の合計ポイントで総合順位が決まり、上位3名が決勝戦進出になります。
また今年度から安全性と環境保全、等の観点から、使用できるハリは10本までとなりました。

初日の天候は終日曇りで、この時期にしては半袖で過ごすのにちょうどよい状況。選手にとっては戦いやすい環境でした。ただ、海上はベタ凪で大会前に降った雨の影響が尾を引いているのか、若干ニゴリ入っている状況でした。
7時20分、ホーンの合図で競技がスタートし、選手たちは緊張のなか第1投。まずは3色前後の中~近投で手返しよく様子を見る選手が多かったようです。一定のスピードで止めずにリーリングする選手や途中、サビくのを止めて大型を狙う選手など、サビくスピードは様々であり、シロギスの反応を探っていました。

初戦から注目の戦いがありました。昨年の優勝者・大野正浩選手と準優勝の伊藤幸一選手の直接対決が見られたBブロックです。「大野君とは予選で何度か当たるから、昨年の雪辱を晴らしたい」と前夜祭の壇上で語っていたことから、意識していたことは明らか。流れ込みを渡り、Bエリア右端ギリギリに釣り座を構えた伊藤選手、流れ込みを挟んだ対岸に大野選手というお互い意識せざるを得ない状況でした。一投目から良型キスを掛け、20㎝クラスを数本持ち込んだ伊藤選手が合計586グラム釣りあげ、Bブロックの1位を奪取。
そして、Aブロック1位は山崎和也選手、Cブロック1位が田中義一選手という結果でした。
検量に持ち込まれたシロギスは5㎝ほどのピンギスから20センチオーバーの大型までサイズはバラバラ。20センチクラス1尾でピンギス10~20尾にも相当するため、良型が何本か混ざらないと上位には入れない状況でした。

続いて9時半から第2試合がスタート。第1試合に得た状況を元に作戦を絞り込んでいく選手たち。一見、平坦な浜ではありますが、場所ムラが見られたため、釣れた場所には選手が集まっていました。1試合目同様に3~4色の中~近投でシロギスをねらう選手もいれば、1試合目ではまだ探られていない7色近くを遠投で狙う選手も出てきました。90分の戦いを終え、検量所に持ち込まれたシロギスは全体的に小さく、数も伸びず。20センチクラスの良型を1尾でも持っていると頭一つ以上抜けられるという状況でした。
Aブロックの1位が吉野海洋選手、Bブロック1位が西向雅之選手、Cブロック1位が伊藤幸一選手という結果でした。

第2試合が終わり、昼食休憩を挟む挟んだ後は、選手、報道、役員、スタッフ全員で海岸のゴミを拾い集める清掃活動『シマノ・クリーンナッププロジェクト』が行なわれました。選手たちはまだ戦いが残っていますが、この時は全員が協力し合い、弓ケ浜の清掃を行ないました。

続く初日の最終ラウンド。午後からやや向かい風が吹き始め、シロギスの活性が上がることが期待されました。
上位にランクインしている選手は落とせないというプレッシャーと戦い、ここまで苦戦している選手は少しでも順位を上げて明日へ繋げたいと思っていたことでしょう。
3試合目まで来るとさすがに釣り荒れ感は否めず、釣果が落ちる選手も見られてきました。遠投で手つかずのポイントを探ったり、波口まで丁寧にサビいたりした選手が好釣果を出していたようです。
Aブロックの1位が清水浩之選手、Bブロックの1位が吉野海洋選手、Cブロックの1位が健代利夫選手という結果でした。

初日の夜には懇親会が行なわれ、予選リーグ3試合での暫定総合順位が発表されました。上位選手は1位吉野海洋選手、2位伊藤幸一選手、3位が谷本栄一選手、4位が西向雅之選手、5位が健代利夫選手、6位が岡野宣也選手、7位が朝倉勇穂選手、8位が山崎和也選手、9位が渡辺史緒選手、10位が斎藤誠選手という結果でした。4~6位、8~12位が同ポイントのため占有率で順位が決定するという接戦。重量戦では単に数を追うだけでは勝てず、良型も混ぜたいところですが、ピンギス1尾で順位が入れ替わるケースが16もあり、トーナメントの難しさと面白さが垣間みられた瞬間でもありました。まだまだ結果は読めず、明日の2試合の結果で大きく順位が動くことも充分考えられます。

翌、日曜日に残りの予選リーグ第4試合、第5試合が行なわれました。雨の予報でしたが、直前の予報では曇りに変わりました。ですが、どんよりとした厚い雲に覆われ、今にも空は泣き出しそうです。

5時半に第4試合がスタート。注目は、暫定1位の吉野海洋選手、2位の伊藤幸一選手、3位の谷本栄一選手、4位の西向雅之選手、8位の山崎和也選手という上位選手が5名もいる激戦のCブロック。順位を上げるには直接対決で勝ちポイントを稼ぎたいところです。注目のCブロックを制したのは暫定8位の山崎和也選手、続いて2位が清水浩之選手、3位が暫定2位の伊藤幸一選手。気になる暫定トップの吉野海洋選手は6位と失速。
Aブロック1位に入ったのは暫定6位の岡野宣也選手、Bブロック1位が鈴木剛選手でした。
その結果、順位が大きく入れ替わり、暫定トップが6位から急浮上した岡野宣也選手、2位が吉野海洋選手、3位が伊藤幸一選手、4位が谷本栄一選手、5位が西向雅之選手となった。

7時40分に生き残りをかけた最後の90分がスタート。結果はAブロック田中選手、吉野選手、伊藤選手、Bブロックが清水選手、桜井選手、谷本選手、Cブロックが岡本選手、大野選手、岡野選手の順。
結果、予選リーグの接戦を制し、決勝戦に駒を進めたのは吉野選手、岡野選手、伊藤選手となりました。
今大会の予選リーグ、上位3選手が圧勝のように見えますが、1位から6位の西向選手までなんとキレイに1ポイント差。以下に接戦であったかが見てとれます。

決勝戦は予選リーグでは使用しなかった手つかずのエリアを使用しました。朝の曇り空から一転し快晴。頂上決戦にふさわしい天候となりました。
決勝戦の対戦カード、予選リーグを総合1位で通過したのは、5試合を2位、1位、1位、6位、2位と上位成績をコンスタントに取り、昨年度の全国大会は5位入賞の若手24歳の吉野海洋選手。
総合2位は、第9回大会で優勝した経験を持つベテラン岡野宣也選手。今回はインストラクター選抜戦を勝ち抜いての出場です。第3試合が終わって6位から第4試合では一気に1位に浮上し、2度目の全国制覇を狙います。
総合3位は、第26回大会、第29回大会では優勝し、昨年は2位の雪辱を晴らすべく、3回目の全国制覇を狙うべく燃えている伊藤幸一選手という顔ぶれです。

また、今年から決勝の試合形式が変更されました。昨年までは約100mの1つのエリアを前半40分、後半40分で区切り、前半は予選リーグの1位から、後半は3位からスタートし、釣り座を決めるルールでした。
今年からはエリアをA、B、Cの3つ、各30m・エリア間10mで設定し、予選リーグ1位の人から好きなエリアに入り、30分で3ラウンドをローテーションしていくルールです。ローテーションはABCの順。つまり、Aを最初に選んだ選手はA→B→C、Bを最初に選べばB→C→A、CならC→A→Bという順番で釣って行くことになります。今までと違い、いい場所を見つけて、逃げ切るという作戦が通用せず、より戦略性が高くなります。また、いいポイントは攻める順序こそ差はあるものの、全員にチャンスがあり、そこを攻める技術により最後まで分からないというゲーム性があります。

海に向かって左からA、B、Cのエリア分けになっています。まず予選1位の吉野選手がCを選択。「Cエリアにある流れ込みから冷たい水が入り、温かい海水と混じりいいポイントが形成されていると思いました」とのことです。2位の岡野選手がBを選択し、残りのCに伊藤選手が入りました。

各選手タックルや仕掛けの最終チェック、エサ付けを行ない、その時を待ちます。いよいよ決勝がスタート。まずは全員中近投で3~4色付近をねらっていました。回収に掛かるとまずは吉野選手が6連掛け、続いて岡野選手も8連掛け、伊藤選手は4連。
ところが、出だし好調の岡野選手が何と2投目でライントラブル。短い競技時間内では投てき回数は限られているので、トラブルは命取り。その間、伊藤選手が5連、吉野選手は8連と数を伸ばし、離される岡野選手。なんと5分近くもロスした岡野選手ですが、落ち着いて釣りを再会し、多点掛けを続けました。ポイント選びが的中したのか、吉野選手は数を釣りながら良型も混じっています。
30分経過し、第1ラウンドが終了。数・型ともに吉野選手がリードし、それを伊藤選手、岡野選手が追う形になりました。

5分のインターバルを挟み、中盤戦がスタート。Aに吉野選手、Bに伊藤選手、Cに岡野選手が入りました。一投目を回収すると吉野選手が2尾、伊藤選手が7連掛け、岡野選手が4尾という結果。この後、伊藤選手が6連2回を含む、多点掛けの連続を見せました。岡野選手は最も良いと思われるCエリアですが、なかなか数が伸びずに苦戦の様子。吉野選手は2投目に良型を含む9連掛けがありましたが、その後は1~3尾。最後の1投は素バリを引きました。
この中盤戦、数では伊藤選手が頭一つ抜け、吉野選手に追いついたのかと感じられました。但し、一方では良型を持っている吉野さんの重量が気になるところです。

ここまでデッドヒートが繰り広げられるなか、泣いても笑っても最後の30分、第3ラウンドが始まりました。まず口火を切ったのが吉野選手で、8連掛けを見せ、2人にプレッシャーを与えます。伊藤選手も負けじと7連掛け、岡野選手は4連と出遅れましたが、次の1投では6連掛け。吉野選手も2投目に再び9連の多点掛けを見せます。この後は少し釣果は落ち着き、2~4尾でしたが、吉野選手がラスト2投で良型を釣り上げ重量を伸ばしました。後半戦は数では吉野選手と伊藤選手が拮抗していましたが、良型を釣り上げた吉野選手に分があるか……といったところです。

そして注目の検量結果は、伊藤選手が538グラム、岡野選手が550グラム、吉野選手が841グラム。見事、予選から一度も上位争いから落ちることなく戦った吉野海洋選手がジャパンカップの栄冠を勝ち取りました。準優勝が岡野宣也選手、第3位が伊藤幸一選手。

試合後のコメントでは「試釣をもとに釣りを組み立てました。主に予選の第1~第3試合では3~4色の近投でピンギスの連掛けをねらっていました。釣れなくなってきた後半戦は遠投に切り替えたり、波口までじっくりサビいて数を伸ばしました」と吉野選手。また、決勝では良型がヒットしていたのが目立った。
「まず、最初にCに入ったポイント選びが的中しました。その後は伊藤選手、岡野選手よりも1色多めに投げて良型のシロギスを捜しました。20センチクラスのシロギスが掛かったらラインを送り込みたるみを作ってシロギスをしっかりとハリ掛かりさせるのと、クッションを作ることでハリス切れを防ぐようにしました」とのことです。
昨年のジャパンカップはあまり移動しなかったり、仕掛け絡みが多かったりと、自分によるミスが多く、悔しい思いをしたという。その反省点を顧みながらの出場となった。
「家族や、釣りを教えてくれた先輩や仲間とこの喜びを分かち合いたい。素直にうれしいですが、また来年も頑張りたいです」
24歳の若手トーナメンターは謙虚に喜びを語った。

※文中敬称略